イラクの内戦状態

   

朝日 10号 瀬戸内の島で描いた絵だと思うのだが、どこだか今思い出せない。燃えるような朝日というが、まさに島が燃えだしそうだった。その情景だけは今でも思い出せる。

アメリカは無人機を使って空爆を行うのかどうか、近く結論を出す。と圧力をかけている。イラクが内戦状態になった直接の原因は、アメリカ軍の撤退にある。日本の自衛隊もサモアという所に、国連の要請もなく、出掛けていって生活支援の道路や水道の整備などという名目で、参戦した。アメリカの要請を断ることもできず、海外における武力活動を憲法から禁止されているということで、兵力や軍事装備の輸送業務にあたった。この行為が憲法違反ではないかと、疑問が出されたが、政府は憲法の拡大解釈内の行為だと強弁していた。しかし、何の成果も出せないまま、日本も、アメリカもイラクから引き揚げることになった。そして、またもや内戦状態になり、アメリカの支援したマリキ政権も崩壊しかかっている。全くアメリカや日本のイラク派兵は無駄だっただけでなく、事態を悪化させてしまっただけだったのではないか。

世界の普通の国に日本もなるのだとして、アメリカのような国に日本もなろうとしている。アメリカはイスラム過激派のテロ攻撃に対する、恨みというか、報復というような意識があり、アフガンでも、イラクでも、見通しなく武力介入をする。日本には石油確保ということがある。この間アメリカの相対的軍事力は後退したとはいえ、今だ世界で圧倒的な軍事大国である。その力を持って、ねじ伏せようという意思がアメリカにはある。しかし、そんなことは何の意味もないということが、今回のイラクの内戦状態は示している。イラク人から何も感謝されず、またアメリカ兵も多数戦死して、その結果が再度の内戦である。これにアメリカが介入するなど何の意味もなさない。しかし、アメリカが介入すれば、日本への協力の要請があるのだろう。その為の憲法解釈の変更を画策している訳だ。世界の情勢は大国間の世界大戦は起こしずらくなっているが、内戦やウクライナの様な、代理戦争的な戦闘は絶えることがない。日本が普通の国になり、憲法解釈を変えるということは、この世界の武力対立に巻き込まれてゆくことになるのは、間違いのないことだ。

世界の常識は刻々と人類の破滅に近付いている。武力的競争をするということは、必ず戦争が待っていて、今度起こる核戦争は人類の終焉である。安倍氏のいう経済の国際競争に勝つという考えもそれに近い道である。勝利者はいくつかの国に限られる。勝利者の国だけが幸せな国家であるはずがない。必ず敗れた不幸と考えられる国が、追い込まれて、テロや内戦を起こすことになる。これは資本主義の限界からきている。資本主義は敗者を必要とする経済の仕組みだ。能力の劣る弱者が破れ、貧困に陥ることを当然の正義とするような考え方だ。必ず限界に至る。美しい日本は、そうした競争から距離を置く国になる以外に道はない。安倍政権が選んだ道は、先のない道だ。10年前ならまだしも、この先には食いつぶす相手がいないのだ。他国を食い物にするのでなく、貧しくとも自分の国が自立して、どう生きるしか道はないと考えた方がいい。

最近日本の政治家の過半数が、戦争のできる、集団自衛権を拡大解釈するのが、当たり前のことだと発言するようになった。それが世界の常識だと主張している。確かにそうだと思う。しかし、その世界の常識が、戦争の頻発状態を産み出している。現在難民数は5000万人を越えている。日本がこの世界の常識に入ることは、確かに、同盟国には評価されるだろう。その結果日本の普通に戦争に出掛けてゆく国にならざる得ないと考えて置いた方がいい。今の世界の常識が間違っているのだ。せめて日本だけでも、平和憲法を掲げ、馬鹿げた非常識かもしれないが、平和主義を主張し続けることは、評価される面も必ず出てくる。アメリカの国内にもそうした平和主義に同調する人たちは居る。あの中国の中にすら存在する。確かに少数派かも知れなが、現状では、変わった考えかもしれないが、この道以外人類の悲惨な破滅から逃れる道はない。日本が選んでいる非常識な平和主義こそ、人類の生き残りの可能性だと考える。

 - Peace Cafe