エネルギー基本計画

   

桂林陽朔 10号 南画と水彩画の関係というものは、常に考えている。何故日本画がつまらなくなったのかということもそのあたりにあると考えている。

国のエネルギー基本計画は矛盾だらけである。私のような素人が読んでもあちこちにおかしな部分があり、腹が立つ。富士通総研の高橋洋氏がシノドスで問題点を上げておられる。何故、コストが計算されないかの意味が、良く分った。やはり原子力発電は割高なエネルギーという結論だ。ソーラー発電などおかしいだろうという意見は、私自身も良く考えるところである。ソーラー発電がもうかるからやる訳ではない。エネルギー基本計画にもあるとおり、自民党は再生エネルギーは止める方針である。私にはそう読める。再生エネルギーの買い取り価格も一気に下がるだろう。その意味でも利益が上がるからソーラーをやった訳ではない。すべては原発を止めさせたいからだ。原発を続ければ、日本は滅亡すると考えるからだ。福島の事故が起こる前に、もっと原発阻止の努力をしなければいけなかったと思っている。努力が足りなかった。それで福島の事故を起こしてしまった。未来の世代に私自身大きな負の遺産を残したと考えている。今、政府のエネルギー政策に反対しなければ、後で後悔することに成る。

結論から書けば、自民党政権が原発を止められないのは、核抑止力である。いつでも核武装できる体制でいたいからである。可能性の薄い核廃棄物の再処理を止められないのも、同様の理由である。これは電力コストとは関係のない理由である。核武装準備も一つの考え方であるのだから、正面からそのことを議論すべきだ。核武装論議をあいまいにしたまま、実は安倍政権も潜在的核保有状況を重視している。重視しているからこそ、あらゆる偽装的論理をもちいて、原子力発電の再稼働を目指している。原爆保有についてはすでに十分の、プルトニュームを日本は確保している。ロケットのミサイルかも、準備済みである。いまさら、新たな原子力発電などしなくとも、核武装の準備は出来ている状況である。もちろん建前としては、原子力は平和利用である。その意味では建前的にはイランと同じ状況ということだろう。そしていつでも、北朝鮮のような転換をする準備をしている。日本だけがきれい事を言ってはいられないという、安全対策が核武装論だろう。原発再稼働の前に、このことをきちっと議論すべきだ。

話はさらに外れてゆくが、中国が軍事大国化している。しかも、北朝鮮同様の不安定要因を秘めている。後10年すれば、中国は日本の軍事力をはるかに越えてゆくだろう。日本の国防対策をどうすべきなのかを、正面から議論することが重要である。やはり、国の安全保障を考えるときに重要なことが、アメリカとの同盟関係である。アメリカは日本の核武装を深刻に心配を始めた。日本がアメリカの核の傘を出そうだからである。沖縄の米軍基地は、アメリカへの核爆弾の投下を避ける犠牲と考えているとしか思えない。それは日本政府も同様で、沖縄に米軍基地を集中させ、沖縄が壊滅させられても、日本本土は生き残り得るという戦略なのだろう。だから辺野古移設以外にないのだ。それならば、報復原爆を受けても、被害が最小にとどまる。離島の無人島の基地というのが由一の妥協策だと思う。もちろん、私としては武器を放棄する方が安全だと考えている。しかし、それもすぐに実現できないのだとしたら、道筋としては、先ずは、沖縄の犠牲で日本の安全を確保するという構図は、止めなければならない。

エネルギー基本計画は論理的に、書き直さなければならない。民主党は曲がりなりにも、国民の声を聞き、2030年代には原発を0にすると決めた。今でも世論調査では、原発を徐々に縮小し、30年代には再生可能エネルギーに転換するということが、世論の中心である。この国民の声を聞くことなしに、うやむやにして、180度転換し原発依存を打ち出すのは、目先の経済にとらわれているからだ。大きな日本の将来を考えれば、今苦しくとも、自然エネルギーの技術開発に取り組むべきだ。原発に未練を持つことは、進取の精神を失っているからだろう。日本に石油が出ないのと同様に、日本は地震と火山の国なのだ。その条件を正面から受け止め、原発に踏ん切りをつけるべきだ。ソーラー発電に問題があると考えながらも、あえて取り組んだのは、原発を止めるために少しでもやれることをやりたいからである。

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