ワールドベースボール
ワールドベースボールWBCがなかなか面白い。日本チームが小粒だといわれているそうだが、野球を知らない人の言い草だと思う。日本の野球はまさに、丁寧な野球である。相手に弱そうだなと思わせるところが、勝負の第一歩ではなかろうか。大いに期待できると思う。野球の面白いのは、トーナメント戦なら、強いチームが勝つとは限らないゲームというところにある。日本に来たベースボールが野球になって、日本独特のスポーツになったのだと思う。素人が評論家になれるスポーツである。蘊蓄をほざきながら、みるのが楽しいわけだ。日本が意外に勝つもので、勝つためには日本方式を取り入れてきたと思われることがある。韓国は一次予選で負けてしまったが、本当は強い。日本式の野球をやりながら、パワーが日本よりある。今回オランダに負けたということが、意外ではある。しかし、世界中が強くなっている。今回、日本が危うく負けそうだった、ブラジルなども実に良い野球をする。
野球で一番大切なことは、冷静で深い戦力分析である。これで戦う前に半分勝負がついているようなものだ。情報戦がとても重要である。ブラジルは日本を良く良く研究していた。ピッチャーの継投策がなかなかで、これに日本の打者は惑わされていた。自分の戦力をどのように相手にぶつけることが一番効果的であるか、そして当日の調子をどう見るかである。日本のエースピッチャーの日ハムの田中選手は調子を落としている。シーズン初めの立ち上がり、名選手がダメな場合がある。一方、調子を落としていたといわれていた、もう一人のエース広島の前田選手は素晴らしい出来上がりだった。力が抜けていた。まあシロトながらに偉そうに言えばであるが。打線の方が不調という話もあるが、毎回こんなものである。そうたやすく打てるものではない。あえて言えば、イチロウ選手が出ていないということが、吉と出るか、凶と出るか。沢選手のいない、なでしこである。チームとしてまとまるかである。
良いチームを作るということが、チームゲームではとても重要である。この点が、いちばん強いはずのアメリカのチームが上手くゆかないところである。バスケットでも、ドリームチームが金メダルを取れなかったりする。個々の選手の能力がかけ離れたものであっても、なぜか、チームというものの中で、力が出たりでなかったりする。野球は80%はピッチャーである。一人で投げているようではあるが、その力がチームによってうまく出せたり出せなかったりする。アメリカの野球に参加している日本選手は今回誰も出ない。自分のことで精一杯でWBCに出ているどころではないのだろう。それはアメリカ選手も同じなのではなかろうか。前回松坂大輔選手が日本のエースとしてWBCを必死に戦い、シーズンで疲れが出て、故障してしまったのではないだろうか。いずれにしろ、負けるのが怖い、怪我が怖いという条件下のアメリカチームは力を発揮しにくいだろう。
昨夜のキューバ戦は6対3で負けた。何度もチャンスはあり、最初は勝てるのかと思った。繰り返し得点チャンスを逃していると、勝てないのが野球である。しかし、9回には3点入れて、これがもう少し早ければと思わせた。キューバのピッチャーがフォワボールを連発した、高校野球でよくあるパターンだった。緊張して硬くなっているのが、見て取れた。途中から出た、田中投手と、沢村投手が練習で投げたのだろうか。調整になっていればいいのだが。6点差で勝っているチームが9回になって、緊張してしまうのは、戦っている選手には、0点に押さえていても日本の強さが感じられていたということだろう。もう一度闘えば、勝てる可能性は多分にある。一度負けたことを良い体験にすべきだ。今度当たるのは台湾だそうだ。これもなかなか強い。今度は負ければ難しくなる、変則トーナメント方式である。より緊張が強まる。