東電と国会事故調

   

東電が国会事故調に対して、捜査妨害をしていたことが判明した。今回の事故で、判断が分かれている所でもっとも重要な観点は、地震ですでに原発施設が壊れていたのか、あるいは、津波で電源が壊れたために大事故に連鎖したのか、という原因調査である。もし前者であれば、原発の安全性に対して、全面的な見直しが必要になる。東電は当初から津波による電源喪失を繰り返説明してきた。しかし、色々の学者が、地震そのものですでに原子炉に損壊が起きていたのではないかと疑ってきた。そして、いくつかの事故調査委員会が、この点の調査をした。東電は事故責任者であり、調査に全面協力しなければならない立場である。今回明るみに出た、中部は暗くて入れないという虚偽による捜査妨害は、原因調査を邪魔したいという気持ちの表れである。いまだに、妨害はしていないといい訳をしているが、調査に協力的ではなかったことは明らかだ。

今後も原発を稼働したいとする、東電こそ事故原因を本当に知らなければならないはずだ。何故、事故原因を隠蔽しようという気持ちが芽生えるのか。『検証 東電テレビ会議』(朝日新聞出版、共同執筆)『ルポ 東京電力 原発危機1カ月』(朝日新書)を上梓した記者の奥山俊宏氏の見解は興味深い。調査報道と言う事を言われている。記者に原子力に対する知識が不足していた事実。4つに分けている。事故の過小評価、過大評価、意図的に情報を隠した。出すべき情報を出さなかった。又、意図せぬ偶然によって、4号プールに脇に抜くべき水が残されていたと言う。原子炉爆発が起きなかったのは、原子炉から意図せず圧力が漏れていたこと、格納容器の蓋の隙間の抜けが原因だとみられると言う推察。東電事態に、原子炉に対する過信があったこと。壊れるとは本当に思っていなかったと思われる初期対応。そのことによる対応の遅れや、やるべきことがやれなかった点。

規制委員会から、事前に情報漏れが起きていたことも明らかになった。原案を日本原電に渡した原子力規制庁の名雪哲夫前審議官を「自分だけの判断で渡したのは、不用意で言い訳できない」と厳しく批判。ただ名雪氏の個人的な問題との認識を示し、組織的な関与は否定した。何と言うことだろう。名雪氏は8回も日本原電の人と相談している。そして、地層調査報告書の原文を渡した。事前に報告書を渡せばその問題点を見つけ出し、調査の信用をなくすような指摘が出来ると考えたのだろう。こうした、日本原電の姿勢は安全を第一とすべき、原子力事業者としての資格を取り消すべき問題だ。さらに規制する側と、規制される側がこの状態では規制委員会の信頼性も大いに疑われる。

自民党政権に変わった途端、原子力推進派の復活である。反省も学習もない。国会答弁を聞いていても、40年の耐用年数の変更の可能性を答弁をしている。経済の為には少々のリスクも仕方が無いという本音が出てきている。さらに恐ろしいことにはかなりの国民がそう考え始めている兆候がある。このようの状況である以上、、経済の為に、やる遺伝力のために原発が成るのかどうかを考えるべきだ。確かに当面はそうであろう。低濃度放射能など何の被害もないという説を主張する学者もいる。しかし、少し長い経済のスパンで考えた時、放射線廃棄物の処理は、せざる得ないことになる。確かに地中処理は一定の技術的可能性はあるだろう。しかし、どこに作るかを決めるのは不可能に近い難事業である。多分出来ないだろう。とするとリスクの高いまま、原子炉建屋内のプールに置かれたままと言う事になる。最近プールから出して容器に入れて置く方式が主張されている。リスクに気付いた周辺住民は原発を離れて行くだろう。過疎地がさらに過疎地になる。土地価格も下がり続けるだろう。原発周辺地域は企業の犠牲のままなのだろうか。

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