自然農法技術交流会

   

なんくる農園において12月12日自然農法技術交流会が行われた。農の会のメンバーも5名参加していた。なんくるさんが小田原に見えて、始められる時から、つぶさに変遷を見てきたので、興味深く、感慨深く、見せていただいた。一つの家族が新規就農し、10年間かけて農家になって行く姿は感銘を受ける。なんくる農園は面積1町歩だそうだ。多品目の野菜と、田んぼや大豆小麦と、大抵のものは耕作している。身体が丈夫でも無かったそうだ。喘息の転地療養で会社を止めて、沖縄の蘭農家等で、2年間研修したと言われていた。農業技術は今でも年々向上している。できた野菜を毎週見せてもらっているからそのことは、良く分かっている。私にとって野菜作りの先生である。農家の人に聞いても、自然農法の技術は分からない。新規就農者として、技術を学び試行錯誤の中で進歩させている人の意見は、実際参考になる所がある。

理屈ではそうなっているが、実はそうやるにはこういう経過がいる。良いとしても、作業や畑の手順でそうはいかない。こういうことはいくらでもある。又、なんくるさんの背景には、自然農法国際研究開発センターがある。研究員の石渡さん程土壌の自然を理解している人を知らない。おかしなことが自然農業では繰り返し起こる。つまり、繰り返して自己否定することになる。思い込みを自己否定して進めるかである。この時、正しい指針を持った人が近くにいるかいないかで、どこで停滞するかになる。新しい、一挙に解決できる農業技術というものは、日々登場していると言ってもいい。それに惑わされて右往左往することもある。そしてすべての技術に目を閉じることもあるだろう。農業者は全員が一国一城の主になりやすい。こうやるものだと決めつけてしまう事になりがちだ。なんくるさんの進歩は、その柔軟でありながらも、正しい方向を捕まえている所にある。

基本は緑肥作物を、織り込んでゆくことである。圧巻は自生えしてきたクリムソンクローバーの中に、ターサイが埋もれるように、しかしがっしりと立派に生育していたことだ。クリムソンクローバーの花が好きなのだそうだ。だからいつまでも残していて、それが種になり、自生してきたのだそうだ。びっしりと覆い尽くすようなクローバーの中に野菜がある。幸せそうな野菜である。条件の悪い畑ばかりで始めている。雑草さえ生えないような、山の真土を客度した場所。酒匂川に接するような、水が何時でも上がってくるような条件。野菜など出来るはずがないという、周辺すべてが田んぼという場所。その悪条件を乗りこなしながらの農業である。そう言う困難な農業であるから、その技術や観察力が磨かれているとも言える。循環農園さんが、苦労していると感想を言われていたが、この苦労こそ何かを磨いているとも言える。

後半は自然農法の概論のようなものの解説があった。岡田茂吉氏の「大自然を尊重し、その摂理を規範に順応する。」これは農業を行うものすべてに大切な理念であろう。だったら、EMにこだわるのはどうかと思う。と頭をかすめた。EMが放射能低減に利用できるなど、本気で主張するのは、自然の摂理に従おうとしていないという事だ。素晴らしい方々なのだが、このゆがみというか、意固地が、どこかにあれば、素直な成長は出来ない。この技術交流会に参加した動機は、田んぼのトロトロ層を形成するヒントをもらえないかという事であった。正直もらえなかった。トロトロ層形成には微生物が関係していると思っている。トラックタ―の耕しかたで、作られるトロトロ層ではない。確かにそれもあるが、トロトロ層というものの自然の摂理に入り込みたい。

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