東電のいい訳
東電の事故報告書が出た。東電・勝俣恒久会長インタビューが産経新聞に出ていた。いわゆる想定外の地震津波が事故の原因としている。自分達が悪かった訳ではない。想定外の津波が起こること自体が、不可抗力であるという考え方のようだ。もしその通り不可抗力であるなら、また原発事故は起こるということにならないか。想定外の自然災害は、又ないとは言えない。事故の原因が特定できるなら、その防ぎようは考えうる。あるいは、この方式は駄目だということになる。しかし、取り返しのつかない事態が起こる、原発においては想定できないという事はあってはならない。まして、大津波後に言われていることは、過去にもこうしたことはあったし、近くはスマトラ津波があったではないかという事だ。こんな分かりやすい想定が、想定出来なかった理由の方が怖ろしいではないか。
日本という国が出来て以来これほどの悲惨な事故はなかったと思う。その責任を誰ひとりとろうとしない。そして、また原発の再開である。つまり、自己の責任に向かい合おうとしない姿勢と、十分な対策を取らないまま、原発を見切り発車させることは連動している。今度事故があれば、野田総理大臣が責任を取ってくれるらしいが、どう取るつもりなのだろう。原発事故の責任が取れると考えているとすれば、実に愚かな人だ。原発を再稼働する以上、最低限の条件がある。1、福島の事故の特定。2、それに基づく安全対策の完了。3、第3者機関による監視。4、核廃棄物の処理方法の確立。せめて、この4つが終わらなければ、どれほど電力が必要であろうとも、再稼働は出来ないだろう。総理大臣の責任というものがあるなら、電力不足が起こる前に、4つの条件をクリア―するよう努力することである。それが出来ないとするなら、代替エネルギーの稼働に努力をすべきだ。結局この間、何もしていないように、そうではなく、原発再起動の道を探っていたように見える。
東電は賠償の席にも出ようとしない。自分の枠組みに合わせろと一方的に通告し、会う事も拒否している。それが東電の賠償の実態である。にもかかわらず、国会での表向きの答弁では、枠組みを越えて、充分に対応します。等答えている。明らかに嘘である。国会での答弁なのだから、偽証罪である。「東電の賠償請求書類に書いて来い。この要求に従わないなら、話し合いもしない。」これが東電の言い分である。「それなら、具体的にどう書けばいいのか、見本を持って指導してほしい。」こうお願いしても、まずは書いて出せ以外ないという。こういう態度が、被害者に対する態度である。農の会が被害者であることは認定している。その上での、信じがたい不誠実である。まるで、責任を感じていないかのようだ。この態度は東電の事故原因報告の分析でもどうようである。
福島の原発事故裁判の方の告発文に、一番苦しいのは、責任を感じない東電と政府の言い逃れだとしている。まったく同じ思いである。生産者は喜んで食べてもらいたいから生産しているのに、消費者からは、放射能の入った農産物は食べたくないと言われている。それでも毎日農作業である。ただの生産物であり、商売だと思えば、基準値以下だから関係ないで済む。しかし、最高卵を食べてもらっているつもりだったから、悔しい。それでも止めない訳は地域の農業が無くなれば、地域全体が終わってしまうという思想である。わたし一人が止めることは、実に簡単である。既に廃業の方向で進めていた。しかし、原発事故で今辞めてはまずいと感じるようになった。それでも、給食では使うべきではない、子供たちの命をどう考えているのかと言われると、ああ今日にも辞めようかと思う。くよくよ思う。そう辞めることが一番簡単である。
昨日の自給作業:3時間コロガシ他 累計時間:70時間