砂糖中毒

   

ある人の講演の中で「砂糖中毒」という話を聞いた。初めて聞く言葉であった。砂糖が中毒になると言うのは聞いたこともなかったが、甘いものから逃れられなくなるということらしい。この中毒は麻薬並みと言われていたが、砂糖も食べることがあるが、中毒性であるとは感じたことがない。砂糖の効能や、有難さをラジオで流している。社団法人糖業協会と言うようなものがある。ホームページには所蔵美術品の案内が出ていた。何と、児島善三郎の芥子の花の絵が出ている。これは素晴らしい絵だ。梅原龍三郎の「紫禁城」の絵もあるようだ。相当の目利きであり、資産もあるのだろう。一度見に行ってみたい。この糖業協会は農水省の天下りもいる、社団法人のようだ。事業計画を見ると公益法人化を目指すとある。○ホームメイド協会を媒体とした更なる全国展開により事業を促進する。○各都市のラジオ局と連携を取り意見交換を図り、糖類に対する正しい知識の理解を図る。○ボウリングを通じて、普及・啓発事業を実施する。3億円位の事業費で活動している。

糖業協会は不思議な組織だ。糖類が健康を害するという間違った情報があるので、これを取り除き、砂糖の正しい知識を啓発する、と言う協会である。最近ではバレーボールの三谷さんが、東北の人が砂糖でホットで来たと発言している。砂糖は安全性を宣伝していないといけないようなものではないはずである。却って不安に見える。ネットでは、砂糖は麻薬と同等の中毒性のある、良くないものと言う情報が、根拠なく無責任に広がっているのも事実だ。ダイエット情報が、ネットの情報の大きな割合で存在するので、ダイエットの天敵が砂糖と言う図式は想像出来る。成人病も社会的課題で、カロリーの摂りすぎが砂糖中毒説となる。それ位砂糖は美味しいものと言うことが言える。美味しいのでつい食べ過ぎてしまう。何故だろう。

疲労すると甘いものが食べたくなる。ストレスが溜ると甘いものが欲しくなる。たぶんこの身体の仕組みは、自然なことだ。中毒性ということではない。疲労やストレスが解消できない社会と生活にも問題がある。江戸時代には、塩あんが主流である。戦前には普通に塩あんがあったらしい。今でも名物として各地に残っている。砂糖と言うものはとても貴重品であった。サトウキビが日本で栽培されたのは江戸時代後半に入ってではないか。それでも気候的に難しいために、広がることはなかったから、砂糖は貴重な輸入品で余ほど高価なものであった。当初は薬であって普通に口にするようなものではなかった。子供の頃の山梨では、甘いということが御馳走であり、贅沢であった。甘い大きなおはぎが、砂糖だけで作ったものすらあった。購入すれば砂糖は驚くほど安い。自給するとなれば、とても手間がかかるものだ。

砂糖が悪者と言うより、いくらでも格安にあるということが不自然なことだ。プランテーション農業の結果である。その土地で出来るものを作る。その土地で出来る食糧に合わせての人口が暮らす。そうなれば、その生産量が人間にとって適正な量である。中毒になるほど砂糖が作られる訳がない。まずコメや小麦や大豆が作られ、野菜が作られる。必需的食品が十分確保できてから、砂糖のような嗜好品になる。砂糖が麻薬のようなものなのかどうかより、自分で作ると考えれば、甘いものは干し柿であったり、蜂蜜であったり、その位が適量なのだろう。子供の頃はミツバチを飼っていた。手間の割にさしたる量とれない。それで結局は家族の口までなかなか届かなかった。最近は化学合成の甘さと言うものに置きかえられてきた。カロリーのないというのが売りであるが、大丈夫なのだろうか。

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