夢のごみ処理法

   

夢のごみ処理法などない。暮らしの中で一人一人がごみ減量に、取り組む以外方法はない。しかし、繰り返し大企業は、ごみ処理を有望産業としてとらえて、その施設建設で利益を上げたいと、「夢のごみ処理法」を提案する。思惑で、次から次に新しい夢のごみ処理法を提案する。国も「夢の処理法」で、一気に問題が解決すると騙された振りをする。そう思いたいがために、乗せられてしまう。今、盛んに進められているのは大型溶融炉による、1300度場合によっては1500度と言う高温でごみを混合焼却して、灰すら出ないという方法である。これは焼却灰の最終処分場の確保が出来なくなったために、起こっていることだ。溶融炉の安全性は確認されたものではない。私の調査では将来に禍根を残す、絶望的な方法なのだが、このことは以前にも書いているし、また次の機会に問題点をまとめて書いて置きたい。今は、15年ほど前盛んに夢のごみ処理法として、もてはやされたPDF法の問題点が明らかになったことを書きたい。

「夢の新エネルギー」として、全国88自治体が導入したごみ固形化燃料(RDF)。お隣の小山町と御殿場市がいち早く取り入れた。そして、財政的に破たんしてその処理問題で行政と企業との訴訟まで起きている。その作るという時から、出来上がった時、そして現在の状況まで、見させてもらった。小田原市はこのごみ処理法「PDFの顛末」を充分に事例研究しなければならない。夢の処理では、元神奈川県知事で環境省の事務次官をされた人が、社長になって、エコループという「夢のごみ処理」会社を山北に作ろうとしたことがあった。理想的な処理施設を作って、全国から処理困難物を集めて処理しようという構想と読めた。下水道の無い酒匂川の上流部にそんな施設を作り、とんでもない話だということで、反対運動を必死に行った。何とか阻止することが出来た。その後、開成町の露木町長はあれは最善の夢の処理法だったと言われるので驚いた。焼却施設を持たない町の町長はごみのことが他人事だ。理想だというなら、開成町で誘致すればよかったのだ。

PDF法とは一言でいえば、一切合財のごみを粉砕して、石炭のように固形化する。そして燃料として販売しようというものだ。誰が考えてもそんな危険な燃料が売れる訳が無い。御殿場にあったPDF反対の市民団体は、建設前にごみ処理費の増大を試算して、2から3倍になると主張していた。行政と企業はPDFが売れるから処理費は半減すると言っていたのだ。企業はいかにもというモデル試算を作り、理解力のない行政を騙して、事業を推進した。反対運動の市民の方が先見の明があったことは、今になれば誰にだってわかる。当時は「夢の処理法」に負けた。一気解決という理屈には弱いのだ。問題は身近にPDFで作った燃料を使う、工場があるかどうかである。計画では市民が無料で薪ストーブで使うなどという馬鹿げたことまで言われた。引き取り手が無く、御殿場から岩手まで運んで処理していた。しかもPDFを使う工場は、この危険な燃料を安全な処理が出来る「夢の工場」出なければならない。結局利用段階で費用がかさむから、PDFは売れるどころか、引き取り手も無いものになる。

何時の日か、何でも入れれば消えてしまう、ドラえもんのごみ処理機が完成したなら、地球も消えてしまうだろう。循環の輪は断ち切ってはいけない。人間の暮らしが、循環の輪を滞らせることが問題なのだ。暮らし方を変えることなく、より快適に、より便利に、こうした方向に進めば進むほど、問題の行き詰まりは大きくなる。ごみは出さない。各自が処理する。江戸時代のようにとことん循環させる社会の仕組みを模索しない限り、ごみ問題は解決できない。自分で処理できないような製品は作らないこと。儲かるからと言って、ゴミを出すような商品は製造禁止にする。PDF全国88の行政は処理施設を持てあましている。その愚かな選択を、日本中に広告をしている。小田原市は、ごみ処理の一番遅れた町で結構。あちこちの失敗事例を充分に研究して、各自が、ごみを減らす以外ないという原点に戻れば、今の処理施設で十分だという、小田原評定青い鳥計画である。

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