植物性乳酸菌
植物性乳酸菌というものが言われだして、数年が立つ。2006,2にカゴメのだした「植物性乳酸菌ラブレ」が先駆的商品のようだ。京都のすぐき漬けの菌から取り出したらしい。動物より、植物の方が健康的であるという、信仰的な思いに便乗しているものだと思う。何でも過大な期待は良くない。笹村農鶏園でも、オカラの乳酸発酵を20年以上やっているので、ほんの一部分だが、実際の所で分かる所もある。乳酸菌といえば、牛乳を発酵させるヨーグルトというのが普通だ。ラクトバシラス属の菌の印象が強い。乳酸を作り出す菌が、乳酸菌。すっぱいものを作り出す微生物。漬物やヨーグルト。食品加工に古くから、利用されてきた微生物で、一般に健康に良いと言う事になっている。私はオカラを乳酸発酵させて、鶏の餌に使ってきた。私のように化学合成の薬を使わないものには、必需品のようなものである。確かに効果がある。鶏がこの暑さのなか、下痢をしていないのだから、効能は高いと言える。
自分も食べて見ている。犬にも与えている。乳酸菌のおかげかどうかはわからないが、長生きしてくれている。雄犬の雷田は神経質なのか下痢をしやすい。少しでも下痢をしたらおからを与える。すぐに効果が出る。あまりに効果が明確なので、かえって不安になるないくらいだ。ではこれはどんな菌か。これは全く不明である。乳酸菌の一種ではあるが、植物系だか、動物系だか、こう言う事もわからない。ヤクルトミルミルを昔は使っていた。それを止めても生き残っているかもしれないし。ラブレというのも使ってみたから、どれがどうという結果になっているかもわからない。想像では、その辺に一番いる乳酸菌が、元気に繁殖しているのだと思う。家の糠漬けと同じ菌ではないだろうか。特別に選抜した乳酸菌だから、そのあたりに居る乳酸菌とは決定的に違うというようなことはない。
「人には人の乳酸菌。」これは衝撃的な広告であった。美しい女優さんであっても、排泄物、から取り出した乳酸菌であるのは、間違いがない。もちろん蒼井優さんの乳酸菌というわけでもなかろう。それでも宣伝はそういうイメージを作っている。そう思って飲んでいる人もいるのだろうか、何か怖い。乳酸菌はヒト由来であろうが、動物でも、植物でも、さしたる変わりはない。昔のビオフェルミンと、今のものは違うのだろうか。薬品なのだから、それだけの臨床実験はされているのだろう。そういえば、ビオフェルミンをおからに混ぜたこともあった。ヒト由来であっても、鶏に効果がないわけではない。これも特別な効果を期待すべきでない。そこそこの範囲で考えた方がいい。乳酸菌でがんが治る。間違いなくこういう能書もあるだろう。かかわってはいけない。治るものは治るし、治らないものは治らない。乳酸菌も悪くない。というぐらいのことだ。
植物性乳酸菌はカゴメの造語である。そんなものが学問的にはあるわけがない。健康志向の人は、牛乳を目の敵にしている。牛乳と乳酸菌を切り離せば、大成功だろう。大塚食品の「スゴイダイズヨーグルト」これもいい線をせめている。すぐ買って食べた。大豆のタンパクと、植物性乳酸菌のダブルアタック。何かの味を消そうとしてか、変った味付けである。よほどの期待が無ければ、美味しいとは思わないのではないか。美味しいなど、主観の問題ではあるから通用はする。乳酸菌は偉いが、発酵食品はむしろ保存だ。冷蔵庫の無い時代。どう保存するかを考えただけだ。健康のためなどとすぐ結びつけるのは、今の病んだ時代の発想である。効果はあるが、それなりの範囲と考えておきたい。