ごみをどうするか
小田原市【基本方針】
市民、事業者、行政がそれぞれの役割を認識し、廃棄物などの発生抑制、再使用、再生利用に努め、環境負荷の少ない持続可能な資源循環型社会づくりを進めます。
基本方針で書かれた、市民・事業者・行政それぞれの役割とは何か。これが素案において分かりやすく明確に反映されなければならない。市民の役割だけは現状と課題の中に書かれている。「環境負荷の少ないライフスタイルが定着し、家庭や事業所から排出されるごみが少なくなっています。」「ごみの問題は、市民一人ひとりが自分の問題と捉え、廃棄物の発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)を基本として減量化、資源化を進めていくことが必要です。また、減量化、資源化の意識啓発を図るとともに、ごみの適正処理を進めることが必要です。」市民の役割だけは、ゆるぎなく正しい。正しいが実現が出来ないだけである。市民に努力しろの掛け声だけで解決するなら、行政はいらない。市民の役割だけ明確にかけると言う事は、行政の役割に気がついていない証拠では無いか。
では、事業者の役割とは何か。これもどこにも書かれていない。ここでは製造者責任の問題を明確にする必要がある。地域主権を切り開くためには、ごみ問題は素晴しい教材になる。身近なごみ問題から地域の構成を見直す。物が作られ消費され、そして廃棄物を生み出す。農家であれば、農産物を作り、生ごみを作り出す。糞尿も作り出す。農家はウンコも作っている。その循環に対して、農家がどのような責任を持つのか。この循環の役割分担を明確化する必要がある。事業者にはどのような製造者責任があるか。地域循環においてどのような役割を持つべきか。当然国の法律の問題が大きい。しかし、国の仕組みが悪いからどうにもならないというのでは、地域主権は生み出すことが出来ない。地域行政は何が出来るのか。身近なごみの流れが循環の輪に乗るような仕組みづくり、事業者の位置づけは現在地域により、費用負担という形で違いが大きい。それは事業者の位置が明確にされていない証拠である。
以上でもわかるように、素案では少しも省みられていない行政の役割とは、ごみ処理の仕組みづくりである。この素案に見られる仕組みの一部と思われるところは、「③ごみの適正処理 委託化など民間活力の活用を進め、収集・運搬・処分体制の効率化を図るとともに、廃棄物処理施設の適正な管理・運営を行います。また、ごみ処理の広域化を視野に入れながら、新たな施設整備やごみ処理体制の方向性を検討します。」これが唯一行政の役割として示されている部分である。これでは、地域主権のごみ循環は見えてこない。特に「ごみ処理の広域化を視野に入れながら」となっているが、これはごみの市民の役割と逆行していないか。市民にはごみを出さない、暮らしを提案している。一方広域化して、ごみを暮らしから遠ざける仕組みを提案している。
広域化が大前提であるなら、広域化の利点と、市民の暮らしの整合性を考える必要がある。広域化して、溶融炉で全てを焼却するごみ処理法と、ごみを出さない暮らしは、離反している。もし、広域化を主張するなら、ごみは全て混合収集し焼却処理した方が、整合性がある。経済の合理性からも、一切分別も止めるべきだ。、市民・事業者に3Rを要求する以上、行政だけが溶融炉による一括焼却では、矛盾を抱えることになる。3Rを主張する以上、全体のごみ処理の流れもより小さく個別的な処理法にせざる得ない。それが理念と、行政の役割の一致した仕組みづくりである。大きな方向性だけを、国に支持に従い地域の意思を反映させないとするなら、市民はその矛盾を察知して、暮らしの転換は進まない事になる。行政の役割とは、市民の方角を示す事だ。観念ではなく。具体的仕組みづくりを示す事で、方角を示す事だ。