トキが卵を捨てる
自然に戻す実験が続いている。今年初めて、自然の中でペアーが出来た。雛誕生を楽しみにしていた。しかし、3個産んだ卵の内2つを巣から外に捨ててしまったという。最初は雌が捨てたらしい。次に雄が抱いていて、その雄が捨てたらしい。原因はいくつか想像できる。一つは鳥が未熟なため中の雛を取り出す行動が、タイミングよく機能しないでまだ孵化に到らない、卵を割って外に放り出した可能性が考えられる。人工飼育中のトキに孵化した雛を捨てたものも居るそうなので、何かそういう異常行動が、既に少ない系統のため起きている可能性は捨てがたい。しかし、センターの観察では、トキという鳥はそういう学習をしてだんだん上手に成ると言う事も考えているらしい。次に考えられることは、無精卵を判別して捨てている可能性がある。子供の頃飼っていた黒チャボで、とても子育ての上手な雌鶏が居た。
上手というのは、孵化率が高いと言う結果になる。孵化がとても難しい卵は、その鶏に任せていた。1度に15個ぐらい孵してしまう。抱えている卵が平均して温まるように、足で外のものと中のものを入れ替える。最初のうちは、餌も日に何度か食べて、卵を冷ましたりする。2週目にはいる頃から、一切立たなくなる。そして、無精卵を外に転がしだす。これが、トキの行動のヒントになる。無精卵を外に出す行動については、何度も確認した確かな事であり、その雌鶏以外でもあったことである。抱いていて、無精卵は腐ってしまう。一方2週を過ぎる頃には、卵の雛の鼓動が強くなる。有能な親には、この判別がつくはずだ。腐った無声卵を孵化していることは、その周辺の卵にガスが悪影響をする。その卵を巣から外に出して捨てるのは、当然の行為の可能性がある。
新潟大の永田尚志准教授は「孵化(ふか)が近くなり、ひなが卵の殻を破ろうとした音で経験不足の若い雌が異物と認識して、捨てたのではないか」と分析している。これは間違っている。雛が嘴打ちを始めるとすれば、三つの卵はほぼ同時期になる。嘴打ちした雛を捨てたとすれば、卵を捨てた所を見れば分かるだろう。また、この場合、捨ててから幾日立っても、残る卵が孵化しないという事はない。二つが雄雌によって、4日の日を置いて巣から外に出された事は、無精卵を捨てる行為の可能性が高い。3つのうち2つが無精卵だった可能性が高いとすると、残る1つも、残念ながら、無精卵であると思われる。しかし、まだ二つのペアーが抱卵しているらしいので、今年度の雛誕生も希望はまだある。
トキが自然界で生息できる環境があるか。といえば、とても難しい。佐渡で田んぼの保全を続けて居一部の人達の努力が、トキの餌を供給している。雛が生れるためには、良い餌が大量に必要である。その環境が日本から失われたために、コウノトリやトキや丹頂鶴は絶滅していった。。野生の大型鳥類が絶滅が早いのは、大量の餌が必要だからである。ドジョウ等ウジャウジャ居るというような環境で、生息している生き物である。それが失われたと言うことが実は深刻な問題。この背景にあるのは自然界の汚染が原因の主である。あくまでトキの保全は象徴。そっくり生息地全体の回復が図られなければ、人間の生息を脅かす。今は、中国状態から抜け出て、自然は回復傾向にあるとの想像がふくらんでいるが、これは間違った認識である。水生昆虫の調査を続けられている学者によると「回復どころか、あちこちで絶滅は進行している。」こう言われている。