あしがら農の会の収穫祭

   

土曜日の一日、雨の中の収穫祭となった。野外で雨で収穫祭が、普通に行われたのも農の会らしい集まりである。場所は小田原の久野の4号古墳のある、まごのりさんの圃場である。4号古墳があるくらいで、海まで見渡せる、広い平らな圃場である。傍には、小田原市のフラワーセンターや、県立諏訪の原公園もあって、今後この圃場をどんな利用をしてゆくかという、方向性を探る試しのあつまりと言う意味もあった。先ず、人が集まりながら、準備にそれぞれが参加してゆく。誰かが準備してくれていて、それに参加するのではない。「何も用意されていない場所に、集まる人がそれぞれにやりたいことを、寄せ合ってゆく。」この考え方が基本であった。これは、以前志村さんという若い仲間が、北海道のピースイベントがそうだったと言う事を言われて、いつも頭に残っている。久し振りの野外の収穫祭で、昔の農の会の集まりが再現されたようだった。

農の会らしいのは、こうしたコンセプト自体が特別に周知されるのではなく、本当にそれぞれが、その持ち場で自主的に与えられたとでも言うような役割を受け持ってゆく。つまりこれが農作業なのだ。日頃の田んぼの作業でも、気がついた順番に気がついた作業をこなしてゆく、訓練がある。こんなやり方の良いのは、気持ちがよい空間が出来ると言う事。やりたいからやっているから、誰もが楽しそうに作業がされている。ノルマもなければ、義務もない。一番特徴的だったのは、会の代表が、どこかに消えてしまったと思っていたら、会場の隅の見えない所で、森の喫茶店をやらっていた。雨のなかテントを張って、焚き火を囲んでのんびりとしている。実に良かったそうだ。総指揮者がそのくらいだから、全体の進行も全く誰も取り仕切らない。多分始めてきた人は、面食らった事だろう。随分不親切な集まりだと感じたかもしれない。そういえば初めての人が多かった。あれで100人くらいが出入りしたのだろうか。

農の会の収穫祭はあまり宣伝すると、300人とか500人とかになってしまうので、駐車の問題がおこる。今回は100人以下がいい数だと思っていたので、雨が幸いしたのかもしれない。なんと言っても、メイン行事は『お米』と『かまど』。岩越さんが急遽大谷石のかまどを作ってくれた。これが立派なもので、来る日と来る人、常設されているのかと聞いていた。このかまどで、農の会の色々の田んぼのお米を食べてみたかった。味というのは、好みの問題で、どれがおいしいというのはないが。目隠し比較なども提案があったのだが、雨の中でそういう企画まで出来なかった。後は焚き火とやきいも、焼き芋は落ち葉の焼き芋と、つぼ焼き芋と、タンドール釜と、三種類あった。何とつぼ焼き芋屋さんはプロの方で、小型リヤカーに素晴しい準備で、登場した。初対面の若い方なのだが、全て持ち出しで参加してくれた。

大磯田んぼの若者達は、モチツキをしてくれた。すごい数のもちをついてくれて、ドンドン振舞ってくれた。雨のなか、テントを張ってのモチツキで、苦労はあったのだろうが、とても楽しそうにやっていた。あれだけのもち米を食べてしまったのはあまりに申し訳がない。そうだ、タンドール釜もあって、そこで我が家の『笹鶏焼』も作った。一晩、伊藤シェフ直伝のたれに漬け込んで、それをタンドール釜で焼いた。これは確かに美味しかった。3歳と、4歳の雄鶏の肉である。普通硬くて食べることは出来ない。これをみんなが普通に食べれたのだから、ビックリである。今までの調理法で、最も肉を柔らかく、焼ける方法である。タンドール釜ではもう一つ、小麦粉を水で溶いただけのものを、貼り付けて焼いてみた。この香ばしい美味しさにもビックリ。焼き方で、こんなに味が変わるのかと、驚きである。石楠花の家に常設するつもりだ。

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