農地法の改正

   

農地法の大きな改正が実施される。納税猶予の土地の貸借が可能になる。これなども、今まで違法承知で行なわれてきた事を、法律の方が追認したものである。納税猶予を受けて、税を払わない農地というのは、神奈川県だけで3、500億円あり一件当たり6,140万円と言うからすごい。農業をやってこれだけの税金を納税するなど不可能な事だから、農業を20年続けるなら、相続税を払わないでいいですよ。と言う制度だ。この農地が耕作放棄の原因になっていた。相続の際納税猶予を受けては見たものの、農業をやることは状況が許さない。それなら人にやってもらおうとなると、ビックリするような税金がかかってくる。それで農地を放棄してせざる得なくなる。放棄しているのは実は違法であるが、納税猶予用栗苗と言うのを見たことがある。栗をただ植えておけば農業を継続していることになる。大抵は栗も植えてないが、それで納税させられた例は先ず聞いた事はない。始まりと20年目さえ注意すればいいといわれてきた。

猶予の農地をビクビクしながら借りている。荒らしておくより地域の為に良いと考えるからだ。やはり法律の方が追いついてきた。もう一つの大きな変化、解釈にもよるが、誰でも農地を借りられるようになった。と言ってもいい。と言う事は、農業者資格という意味はなくなったといえる。これも、いままで違法で農地を借りてきたものとして、法律の方が追認したと言う事になる。やはり、正しいと考える事は、違法であってもやらなければならない。違法の積み重ねが、法の方を変えている。農地法関連はそんなことばかりだ。例えば、ビニールハウスの高さが、230センチをこえてはいけないとか言うのがあると聞いた。ビニールハウスで、鶏を飼ってはいけないという法律があるとも言われたので、相変わらず私のやっていることは違法行為だ。食品廃棄物を鶏の餌にもらえなくなったのも、食品リサイクル法と言う悪法のためだ。

では今度の改正で期待される企業参入はどうなるのだろう。「企業参入によって、農業が大型合理化され、生産性の向上が行われる。」一般にこのように考えられているが、日本の農業の現場においてどのようなことが起こるか。企業参入と言った場合、2系統ある。一つが公共事業の縮小から来る、建設業の将来的衰退予測の中で、地域の建設業者の農業分野への進出転換である。北海道のように公共事業で成り立ってきた経済地域で顕著である。もう一つが流通、消費分野の企業からの参入である。イトウヨウカドウ、わたみ、ラディシュボーヤ等である。いずれの場合も成功するかどうかは、農協や行政の姿勢が大きく影響している。私の所属する、西湘農協においては協力的な傾向は見えない。行政も積極誘致と言う事はない。こういう背景では、企業参入はどのような形でも、起こり得ないし、又、無理に参入したとしても成功はしない。行政、農協との連携なくしてあり得ない。

足柄地域の農業が行き詰まって来た背景をあげてみる。専業的農家の老齢化と減少が目立つ。これは全国共通的要素。農地が資産管理対象になり、農業とは別の要因の影響を受けやすい。結果、不動産的に営農可能な価格より高い。農地の集積が起こり得ない。地権者が多様化し、農業での活用を期待していない場合が多い。将来の転用への期待。農業の計画的展望をもてないまま来たため、住宅、工場等と混在してしまった結果、大きな計画が建てにくい。こうした条件では、企業が参入しにくいであろう。一方、この地域の潜在的に持つ可能性をあげてみる。首都圏に存在し、消費者と近い。個性ある農業の展開には、有利である。首都圏の特殊な需要にこたえる農業。また、通勤圏にあることで、田園生活の場に成りうる。優良田園住宅などの理念を、適正に把握すれば可能性がある。生産物を販売する農業から、消費者を呼ぶ農業への可能性。少し尻切れであるが。

機能の自給作業:ハザ掛けの続き1時間30分 累計時間:15時間30分

 - 地域