麻生首相の朝令暮改

   

麻生首相は舌の根の乾かぬ内に、前言を翻す。厚生労働省の分割発言の事だ。厚労省は大きすぎる。あらゆる分野に仕事がまたがり、結局、肝心なことが疎かになっている。政府の今年度当初予算では、一般歳出52兆円のうち厚労省予算が25兆円を占める。年金問題では舛添大臣の公約まがいの年内解決発言は、どこかに消えてしまった。問題が多すぎるからだ。防衛大臣が食糧問題まで、国防に関する問題だからと、担当しているようなものだ。全ての問題が関連はしている。しかし、責任の所在は分かりやすく、分割した方が良い。豚インフルエンザが発生して救われたのかもしれない。そもそも、厚労省分割案を発言したのが、読売新聞の渡辺氏らしい。そこで、今になって、各報道機関は問題点ばかりを、このときとばかりあげつらっている。何たる哀れな反応であろうか。厚労省に問題がないと考える者などいるだろうか。官僚は組織防御が第一の仕事だ。日頃官僚批判でお茶を濁しているくせに、報道機関はこの問題の本質を見抜けない。

それにしても麻生氏のレベルは、床屋の政談。風呂屋の放言。自分の発言したことには、責任が生じることが分からないのだろうか。うっかりしたことを言い過ぎる。オオカミじじい。今では、誰が厚労省分割など、馬鹿なことを言ったのか。と言わんばかりの態度である。厚労省分割は必要である。
「健康 食品 医療 医療保険 医薬品・医療機器 雇用 職業能力開発 労働基準 雇用均等・両立支援・パート労働 労働政策全般 障害者福祉 子ども・子育て支援 戦没者遺族等への援護 生活保護・福祉一般 介護・高齢者福祉 国際関係 社会保障全般 年金・日本年金機構関係・ 研究事業」これが仕事一覧である。国際関係という仕事内容を見ると、ILOやWHOやOECDと関連してくる。守備範囲の広さは目が回るほどだ。舛添大臣がいくら頭脳明晰を誇ろうとも、全てという訳には行かない。

年金、C型肝炎、少子化、後期高齢者、病院閉鎖、派遣切り、インフルエンザ、郵便不正。と最近の問題独占の感がある。問題が表面化するたびに、前の問題がおざなりになっている。これが社会のイライラを増幅している。スッキリした解決など、なかなかできないのは誰にもわかる。問題をごまかしてしまうように見える所が、今の厚生労働省の姿になっている。不幸なことだ。以前このブログにも取り上げた。現役職員が「インフルエンザ水際作戦をパフォーマンスに過ぎない。」と国会で発言した。前代未聞である。組織が機能していないことを意味する。職員木村盛世氏の当初からの指摘に対し、担当の上司はどのように考えていたのだろう。今になって国会で発言するくらいだから、厚労省内部がぐちゃぐちゃなことが分かる。木村盛世氏のブログによると、「国会議員から出席を求められた場合それに対して応じるのが国家公務員の職務です。ところが、こともあろうに厚労省健康局長はこの案件を握りつぶしたのです。」

インフルエンザにおいての対応は、次に来る強毒のインフルエンザの予行演習になった。水際では防げない。発熱外来を増設したとしても、電話対応だけでパンクする。強毒であれば、数百万人の死者に成るという予測である。現在可能な対応は「運命として、受け入れ、あきらめること」。厚労省は、強毒の発生原因の探求と防御に目が向かない。木村氏もそのことには全く発言がない。渡辺氏が発言者であるとしても、厚労省の分割は早急に行う必要がある。政局的発言であるとしても、選挙向けの発言であるとしても、方向は間違っているとは思えない。拙速な対応とか、短兵急にとか。もっと腰を据えて、分割・再編による功罪や是非を議論すべきだ。衆議院選挙後だ。要するに上手いこと官僚の誘導に乗せられている。権益死守。しっかりお願いします。麻生総理。

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