塔の峰青少年の家

   

塔の峰の青少年の家に行って来た。住所を見ると、久野4866-2とあって、久野地域内の施設であることがわかる。小田原市の所有する施設で、教育委員会管理している。宿舎、バンガロー、テントとあって、100人くらいがはいれる大きな講堂のような施設もある。以前行った時と変わっていたのは、木が大きくなったことである。昔は眺めのよさが際立っていたが、今は海の方の眺めは一部でやっと檜の梢からしか見えようだった。アメリカからのボーイスカウトのグループが見えていた。山へ行きといえば、必ずテントを担いでだったから、どこか懐かしかった。この施設が出来たのが、昭和39年とある。建物はそのままというから、私がよく山に行った頃と重なる。能登だったと思うが青少年の家に泊まって、閉口したことがある。国旗掲揚に出て来いとか、朝のラジオ体操をしろ、とか言われた記憶がある。どこかそのままが時間が止まっている。

ここに行ってみようと考えた理由は二つあった。先日の小田原市行財政の説明会で、最も利用状況の少ない施設として上がっていたからである。貸し室利用率で、5%。収入が年間76万円。支出が1204万円。どういう実体か、ともかく見てみないとわからない。もう一つは美しい久野里地里山協議会で作った、明星山登山道の回遊路が出来ないかと言う事であった。距離的には明星岳山頂に一時間くらいの位置にある。良い利用法が見つからないかと思うところがあった。似たような施設として久野には「いこいの森」がある。こちらの施設は指定管理者制度で対応されていて、「小田原市森林組合」に1211万円で委託されている。いこいの森の施設は農の会でも使わせてもらったことがあるが、とても立派な施設だった。こちらでのキャンプは夏休み期間となっている。

塔の峰青少年の家を見に行くに当り、電話を入れた所、最初は混んでいるから今日は駄目だといわれた。邪魔しないので、脇から見るだけでいいのでお願いしたいと頼んで、特別に許可を得た。この施設は事前の下見も、前日までに教育委員会に申し込むとなっている。しかし、土曜日で役所は休み。仕方がなく直接電話をしてお願いした。今思えばルール違反であったが。普通のキャンプ場にそんな特別なことがあるとは思わなかったのだ。改めて小田原市のホームページを見ると、これはちょっと普通の人には使えない施設だと判る。利用できるのは団体に限定される。
「青少年団体、会社・工場・商店などの勤労青少年、青年学級生、学校の生徒あるいは学生等で責任者が引率している団体 。青少年の指導者で研修を目的とした団体。 その他、小田原市教育委員会が適当と認めた団体。」とある。
1 小田原市教育委員会青少年課へ、直接または電話で申し込んでください。
2 使用申請書に該当事項を記入し、スケジュール表を添えて事前に申し込んでください。
「青少年の家とは、青少年及び青少年指導者が共同生活を通して、規律、協力、自主の精神を養い、新しい時代にふさわしい教養や生活態度を身に付け、健全な青少年、社会人を育成するための社会教育施設です。」

この施設の利用目的を、社会の変化にあわせて、少し変更すべきではないだろうか。この施設が作られた45年前ならこれでいいのだろうが、社会状況は動いている。どんな良い施設でも、充分に利用されると言う事が大前提にある。方向としては、小田原を取り囲む周囲の山林地域の利用形態を、検討してゆく拠点にすべきではないか。新たに箱物を作るのでなく、今ある施設の有効利用を検討すべきである。小田原の豊かさを実感できるのは、すぐそばに豊かな森が存在していることである。今はその森が厄介な管理し切れないものとなっているが、久野の里地里山協議会が象徴するように、小田原の森の意味は変わってゆくはずだ。もっと気軽に、誰でもが利用できる施設にしなければ、これだけの施設がもったいないものになってしまう。

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