農業農村工学会
11月13日横浜開港記念館のホールで、あしがら農の会の活動を、事例報告させてもらった。農業農村工学会農村計画研究部会という理解できていたのかどうか、と言う学会での事だ。学会の研究発表会と言うものがどういうものか、まったく判らない。こうしたものに出席したのは当然ない訳で、他と比較すると言う事も出来ない。以前あしがら農の会を見学に見えた、東京大学の山路教授が部会長をされている。先生の下で卒論をあしがら農の会の事を、研究テーマにした人がいた。その時はどうもいい成果は無かったらしい。以前は農村土木学会というものだったということだ。農の会とは一番縁遠い分野かと思っていた。基調講演は東京農業大学長で今は教授の進士五十八先生。これは是非伺わせていただきたいと思い。早朝から出かけた。明日は雨というので、麦畑の整地だけはしてと言うので、ギリギリ間にあった。
進士先生の講演は実に素晴しい内容であった。何時も小田原植木の近藤さんから、進士先生の素晴しさは伺っていた。小田原植木さんの圃場は、先生の植え木園構想のしたがって整備されている。農村は美しくなければならない。そのとおりの事を小田原植木さんではされている。チリ一つ落ちていない。いつも掃き掃除をされている。小田原植木さんは大学の造園学科の同級生だったそうだ。進士先生の「農村は美しいくあれ」と言うのは、都市住民に農村への税金投入を理解してもらうには、必要なことだ。と言われていた。農業分野への税金の投入は、人口比率で言えば一握りの農業者に、何でこれほど多額の税金が使われるのか。疑問が出ている。それを理解してもらうには美しい農村で無ければならない、というのが、基本の主張である。その美しさを都市住民が味わい、癒され恩恵を受ける。だから、農村側は業としての合理性だけでなく、都市住民の理解への配慮が要る。
これはいつも問題になる点だ。例えば、コンクリート3面張りの水路は農家の管理の負担から言えば、一番ありがたい。しかし、自然水路であれば見た目にも美しいし、生き物の多様性が確保される。では誰が管理するか。既に農村側に管理する人手がない。税金で管理するかと言えば、地方財政にはそんな余裕はない。ここに新しい枠組みが必要になっている。現状、かろうじて田んぼ利用者が草刈など管理している。自治会総出で行う所もある。面積辺りで管理費を徴収する方式もある。美しい農村を作り出すにはこのままでは限界である。だから、3面張りのコンクリート水路が広がった。ホタルやメダカがいなくなったとしても、それは致し方がないことだとされたのが、従来の農村の基盤整備であった。それが変わり始めているというところが、農村工学会で、進士先生が基調講演を行う理由であろう。農村と都市民との交流の形態は、新規就農からグリンツーリズムまで、何通りもある。その一つ一つが、あしがら農の会が行ってきた活動に繋がっていた。
つまり進士先生を理念とすれば、その実践があしがら農の会である。農の会の説明はやりやすかった。しかし、日本全国から見えている研究者や、行政の方に参考になるように話したかったが、これは出来たのかどうか。何か弁論大会に出たような感じになってしまった。会場が立派過ぎる。皆さんはパワーポイントで説明しているので、暗い中で行っていた。私は今回パワーポイントは使わないことにしていた。どうも暗い中で写真の説明だけしても、農の会の実態は伝わらないと思った。今回は話だけにしようと決めていた。所が、急に明るくなって、舞台中央に演説台が置かれて、どうぞ。急に弁士に成ってしまった。原稿は用意しない。折角だから、肉声で話したい。出来るだけ、正確に農の会の活動を伝えようと考えたが、田んぼの会の活動を説明して、ほとんど時間が来てしまった。時計も持っていかなかったので、配分も出来なかった。充分な役に立てず、申し訳ないことであった。
昨日の自給作業:麦畑の準備1時間 累計時間:11時間