すこしも新しくは無かった岸田総理大臣

   



 岸田総理大臣の新しい資本主義はたちまちに消えてしまった。渋沢栄一氏が生きていたら、どれほどがっかりしたことだろう。カジノを経済と考えるような反社会的勢力の政治家に道徳を期待できるはずはないか。少しでも期待したわたしのような者が馬鹿だったようだ。

 岸田氏は何故、倫理のある資本主義を口にしてしまったのだろうか。NHKドラマに便乗したかったと言うことか。少なくとも選挙期間中は、新しい、あたらしいを連呼すると思っていた。総理大臣に対する、こうした圧力は誰からかかるのだろうか。

 経済成長が起これば必然的に分配も増えるとする、アベノミクスは成功だという間違った経済は流されてきた。ところがもう10年間も分配の方は忘れられてきたのだ。新自由主義経済の罠に岸田氏もはまり込んだのだろうか。生長すれば自然と分配が増えると言う言い草に、長いこと日本国民は騙されてきてさすがに限界に達している。今度の選挙でそれが現われてきて欲しい。

 新自由主義経済は一見すると、正しい自由競争によって経済の発展を推進する考えのように見えるのだ。正しい競争とは能力主義競争である。ところがすでに資本が偏在している。人間の能力は様々である。どれほど努力しても100メートル10秒どころか、12秒でも走れない。

 階層が生まれている社会のなかで、正しい自由競争などそもそも無い。どこまでも資本家と有能な強者が有利な競争なのだ。不当な競争を正当化するための新自由主義経済。現実社会では社会的正義をないがしろにした競争になってしまうものなのだ。だから分配が遅れて貧困層が増大し、格差社会が生まれたのだ。

 「テレワークやスマート農林水産業で若い人が地方で活躍できる。農業も経済成長の大きな役割を果たしてもらう」 これが佐賀県での総理大臣岸田氏の応援演説の言葉である。成長も分配もと言うのが岸田氏の最近の主張の訳だが、要するにこの10年間出来なかったことを、また蒸し返して言っているとしか思えない。

 テレワークを現実化するための様々な条件整備をするのは政府の仕事である。岸田氏が発言すべき事は古い標語では無く、倫理に基づいた新しい具体的な政策である。どうやって地方での情報インフラを進めるのかを具体的に知りたい。5Gインフラは日本中同じでは無い。地方格差の原因になりかねない。

 5Gを日本中に広げるためには膨大な中継基地局が必要になる。これは誰が進めるのだろうか。スガ氏が自慢した携帯電話料金の値下げは、5Gインフラの地方への推進を難しくしたのでは無かったのか。地方の活性化を言うなら、政府は地方の中継局の整備の具体的な計画と、その公費での費用負担を公表すべきだ。

 どうすれば若い農業者が地方で活躍できると言うのだろうか。是非ともスマート農業の具体策を示して欲しい。得に主食であるイネ作りとスマート農業が関係した提案が欲しい。スガ氏は何しろ主食はもういらないと発言したくらいの人だった。

 本来食糧自給を国の安全保障として、考え準備することが総理大臣の役割では無いだろうか。スマート農業のどこが未来への可能性というのだろうか。スマート農業は伝統農業に競べて、はるかにエネルギーを消費する農業である。脱炭素はどうなるのだろう。問題点を含めた農業の展望を示しながらその推進を述べるべきだろう。

 コロナで日本の医療の弱点が見えてきた。病院とベットは充分にあるにもかかわらず、入院できないで感染したまま自宅に置き去りにされて、死んでしまった人が多数いたのだ。こんなひどいことが日本の社会で起こるとは信じがたいことだった。もう少しましな国だと思っていた。

 感染症に関する国の安全保障が抜け落ちていた。これは高病原性鳥インフルエンザが流行したときに、気付いて準備を始めなければならないことだったのだ。養鶏をやっていた私には、次は人間に感染症が広がることが見えていた。その警告は何度も発したが、完全に無視された。

 にもかかわらず、自民党政府はなんとコロナとの戦いに勝ったというような根拠のないデマを流している。喉元過ぎれば熱さを忘れるで、もうあのコロナの恐怖を忘れている。自宅で誰にも気付かれずに、苦しんで亡くなられた方がおられたのだ。アベ、スガと2人の総理大臣がコロナ対策から逃げ出したのが自民党だ。

 何故か理由はよく分からないが、コロナウイルスは急速に感染力を抑えてきた。理由は分からないが、政府の御陰で無いことだけは確かだ。全国希有な例として、石垣島は減らないどころか未だに10万に当たりの1週間の感染が50人と感染が続いている。是非この状況を調査して貰いたい。私は中山市長の無策の責任だと思っている。

 なにしろ、市長は二ヶ月前の今よりも悪い最悪の状況下で石垣島でけは緊急事態から外して欲しいと、血迷って政府に直接陳情しに出掛けたのだ。その上に、コロナ克服を祝う石垣島祭りを開催すると宣言してしまったのだ。こんな状況判断が出来ない市長だと、いつまで経ってもコロナは減らない。やはり選挙は重要である。

 政府がコロナに勝利したのではない。石垣島のように策をとらないでいれば、第六派にやられる可能性が高い。今医療体制に余裕のある内に、感染症に対する医療体制を構築すべきだ。国を挙げて医療関係者に感謝の祭典も必要では無いだろうか。

 新規産業を創出し、成長を目指すのが新自由主義経済である。そうだとすれば、日本では何故コロナワクチンの製造が、先進国から二年も遅れているのか。これが競争に敗れた現実の日本の姿なのでは無いか。新規産業が生まれない原因究明が出来ないようでは、第3の矢どころではない。

 分配を重んずるのが、新しい資本主義では無かったのか。国債を増発して、国の借金を増やして、コロナ対策として分配するのでは限界は近い。新しいどころか、昔の名前で出てきた限界に達した資本主義に過ぎない。岸田氏には標語以上のことは、何も考えが無かったと言うことなのか。

 このままの政治姿勢では新しい産業の創出は出来ないし。分配も増えるはずが無い。何かを捨てなければ、何かが生まれることは無い。新しい産業を興すためには、いままでの産業を否定しなければならない。新エネルギーを見付けるには、旧エネルギーを乗り越えなければならない。

 原発から、再生可能エネルギーへの転換。これを定めることが出来ないところに日本の政治の限界があるのだ。思いっきりが悪い。我慢が出来ない。それでは新しい事などできるわけが無いのだ。危険を承知で挑戦しなければ新しいものが生まれるわけが無い。


 

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