台湾は中国が民主国家になるまで、独立国でいるべきだ。

   



 台湾海峡を中国の戦闘機が頻繁に通過し、中国は台湾に対して軍事的脅しを続けている。まったく軍事大国の取るべき態度とも思えない。武力的に台湾を中国に併合するようなことは、国内的にも良いことは無いだろう。力によって一次的に抑えられたものは結局歴史の時間軸で見れば、悪い事の種になるだけだろう。香港で行った民主主義を破壊した種は、必ず中国の衰退の原因になるはずだ。

 台湾と中国の関係を考える前に、台湾の歴史を考える必要がある。台湾は日本の植民地時代が50年続く。それは過酷な皇国化政策であった。まったく愚かなことに、日本は西欧の帝国主義を後追いして、東アジアの帝国主義国家として覇権を争っていたのだ。そして日本の歴史に汚点を残した。

 台湾人に対して、日本名を名乗らせ、日本語を教育し、日本人と同化させようとした。台湾における植民地政策は日本ではとかく美化されることもある。理由は台湾が親日的であるからだが、それで日本の暴虐が無かったと考えては成らない。

 実際の所は朝鮮の植民地政策と少しも変わらないものである。人権を無視したひどいものであった。ただし、台湾は日本が植民地化する前の時代もそのあとの時代も、韓国とは少し違っている。その結果植民地政策に対する受け止め方が異なっている。

 台湾には古くからその地に暮らしていた少数の原住民に対して、中国から大量の中国人移民が進出する。そして女性の移民が禁じられていたこともあり、原住民と中国人との混血が進み、新たな台湾人が形成されていた。そこに日本人が植民地化を進めることになる。日本は原住民を追い詰め殲滅するようなこともしている。

 一方で中国系の台湾人は台湾に移民して台湾人になったという背景から、台湾というアイデンティテーがそれほど強くないと言うことがあった。日本の皇民化弾圧も極めて厳しいものであったのだが、日本の進出によって国が近代化されて行くという現実がある程度、新台湾人の日本化に対して一部で受け入れられる背景があったと思われる。

 そして、日本が敗戦の結果台湾は中国の一部に戻ることになる。ところが、戦後国民党軍と、共産党軍が内戦を行う。内戦は中国人同士の、日本の占領時代以上に悲惨な戦いになる。その非常な戦いに敗れた、国民党軍は台湾に逃げ延びる。

 その台湾に逃げた国民党軍とそれに伴う中国からの脱出した外省人といわれる人々が、今度は台湾人を日本以上のひどい弾圧を行う。次々に罪の無い知識人がむやみに投獄され処刑された。敗戦してひどい状態の国民党軍の自暴自棄のような殺戮が繰り返されたのだ。

 その結果台湾人と言うものはある意味変質したとも言える。その台湾を共産党中国に対する防波堤として、今度はアメリカが支援する。日本の沖縄と同じようにアメリカの世界戦略場の拠点になる。そのためもあり、優秀な台湾人は日本と同様に経済的にめざましい成長をする。

 アメリカは台湾を軍事的基地にして支援していたにもかかわらず、中国との国交を回復し、台湾との正式な関係を終わりにする。その後の台湾排除は日本政府も同調することになる。そして、国連には中国が加わり、台湾は排除されることになる。この間も台湾は経済成長をつづけ独立国家としての自立性を高めて行く。

 台湾には経済的安定が生まれ、徐々に台湾地域の台湾人国家という意識が高まり、中国に吸収されない独立国家としての活動を展開するようになる。それはこの間の中国が、社会主義国家といえども、民主主義をまったく無視する、自由の無い国になったと言うこともある。

 香港に対する弾圧の姿を見た台湾はその危機感を一層強めている。一方中国は覇権主義的傾向を強め、なんとしても台湾を併合すると宣言をしている。日本およびアメリカ、オーストラリア、インドはその中国の武力主義に対して、共同で対応しようと言うことになってきた。

 台湾と中国は現状では違う国として進んだ方が良い。日本の為に良いと言うこともあるが、台湾人にとってその方が明らかに幸せだからだ。人間の尊厳が無視されているような、中国に飲み込まれることは耐えがたいことだろう。まずは中国が民主主義国家になることが大前提である。

 中国は20年前から見ると、独裁国家の様相を強めている。特に習近平政権の登場以来、経済成長に自信を持った。国家資本主義と言うべき新しい資本主義のかたちが、世界での経済競争に有利だったのだ。独裁的国家運営と結びついた資本主義は競争をすれば勝利すると言うことである。

 例えばダムを造る、道路を作る、公共施設を作る、子供は一人だ、この村ではお米を作れ、この村では畜産をやれ、国のためであると政府が考えれば、そこにいる住民の意志や人権を無視した政策が強行して行われる。田舎に暮らすものはそこの地を移動することもままならない。

 そういう独裁国家の国家資本主義は結果として、日本やアメリカの自由主義的経済以上の競争があるのかもしれない。遠からずあの巨大なアメリカさえ中国に追い抜かれるだろうと言われている。中国の国家資本主義はわるい実験例になっている。

 自由と民主主義と言う、大切な理念が無いところで、経済だけが優先されれば、単なる拝金主義になる。資本主義の最も悪い側面だけが現われることになる。しかし、中国式国家資本主義に出し抜かれ始めた、世界の資本主義国家はむしろ、自分たちも自由や民主主義を捨てた方が良いと考え始めているように見える。

 台湾は素晴らしい国である。人間らしい人々が暮らしている国である。日本は大いに学ばなければならない国である。小さい国であるにもかかわらず、歴史的に過酷な状況に置かれた国が、その過酷な状況を抜け出して、今の反映を独力で気付き上げた立派な国である。

 こうした、自由と民主主義を尊重する国同士が、連携して正義を守る以外に世界の安定はないのだろう。もし台湾が中国吸収されるようなことが起これば、一気に世界は不安定化することだろう。ここは日本ははっきりと台湾側に立たなければならない。

 台湾の独立を守ると言うことはまったく他人事では無い。国というものは武力によって動かされてはダメだ。日本国憲法に示されているように、国際紛争はあくまで平和的努力によって解決されなければならない。

 尖閣を守るために中国へ向けた長距離ミサイル基地を並べるような愚は相手を強化するだけのことだ。話し合いの努力を見せなければならない。簡単に解決できないことは分かるが、その努力を世界に見せることが必要である。国際的な裁判で結論を見付けるべき事だ。
 
 

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