尖閣諸島の外交的対応を始めて欲しい。

尖閣諸島は日中間の火種である。領土問題の中でも唯一緊急性のあるものである。この紛争の火種を絶やさないように燃やしているのが、日中両政府である。そんな馬鹿なと思うところだが、日本政府はこの火種をうまく燃やしては自衛隊を、敵基地可能な軍隊にしようとしている。これには報道も協力させられている。
尖閣諸島問題が国会で議論さえ無いまま、琉球列島の攻撃的基地化が現実に進められている。その理由が尖閣諸島なのだ。明らかな憲法違反である。その憲法違反に目をつぶらせようというために、尖閣諸島の火種を大きくしようとしている。
この愚かな戦略を受け入れているのが、日本政府の気力の無い現実である。方針が持てないから、何かに押し流されている。押し流しているのは武力主義だろう。もう少々の武力は持つ方が危険な時代なのだ。武力という物に正面から向き合わなかったため、日本人全体が自衛隊に関して現実離れしている。
尖閣問題を悪用して攻撃的武力の禁止を乗り越えようとしている。すでに琉球列島の多くの島に、対中国を想定した敵基地攻撃ミサイル基地が配備されている。琉球列島は防人の島になろうとしている。アメリカ軍基地の軽減どころでは無い戦略拠点になっているのだ。
これを仕方がないと考えているのが、日本本土の人達である。この防人の島の基地が琉球列島を守るための物でないことぐらい、普通の知性があれば分かるはずだ。これは日本本土とアメリカへの攻撃に対して時間稼ぎをするための犠牲作戦だ。特攻隊や戦艦大和の最後と同じ発想である。
琉球列島のミサイル基地で中国の攻撃を防げると考えている日本人はいるのだろうか。菅総理と防衛大臣はそう考えているのだろうか。まさかそこまで頭が回らないとは思えない。中国は日本とは違う。コロナを見れば分かるだろう。日本に攻撃をするときには、自国民の少々の被害など気にもしないだろう。
日本はさすがにそうはいかないのではないか。日本政府は沖縄の人なら、殺されてもたいしたことは無いと考えているのだろうか。その節はあるが、まさかそれは信じたくない。さらに言えば、アメリカの沖縄基地は、アメリカ本土が犠牲にならないように、日本に置かれているのだろう。
どう考えてみても、対中国の日本の防衛体制は現状を把握しない、荒唐無稽な考えである。琉球列島の攻撃的ミサイル基地で、日本を守れると考える自衛官がいるなら、是非ともその作戦を教えて貰いたいものだ。どこかに書いてあるものがあれば、教えて貰いたい。もう通常兵器の競争の時代は過ぎたのだ。アメリカにしてみれば、日本は捨て石作戦の材料に過ぎないだろう。
こうした現実は石垣島に住んでみると、実感できることである。日増しに自衛隊基地の建設は広がって行く。海上保安庁の船舶は以前よりも随分と増えた。そして中国の領海侵犯の報道が繰り返されている。たぶん本土の人には感じにくい緊張感がある。
そして、住民の反対意見は一切無視されている。自衛隊からは基地の必要性の説明すらない。住民の避難計画など何も示されていない。この国は民主主義国家ではなかったのか。住民に理解されない軍隊など何の意味がるのだろう。
10年前には、尖閣諸島近海で中国の漁船と称する船が日本の海上保安庁の船に体当たり攻撃をした。あの衝突以来様々な形で中国は進出を高め、繰り返している。この10年間の中国と日本の経済的立場の逆転は、中国の軍事的野心を高め、対日本と言うより、対アメリカの意識が高まっている。
中国政府の主張によると、尖閣諸島の現状は、遠からず尖閣諸島に上陸しますと言う、直前の所まで来ている。それは、台湾の中国帰属問題と深く関係している。香港問題が片付けば、いよいよ台湾の併合と言うことが中国政府の計画に上がっている。
この台湾併合計画のなかで、尖閣諸島の領有権問題をどう見るかである。台湾への圧力を高めるという意味で、先行して尖閣への圧力を高める方が得策であるか、あるいは尖閣への上陸に対してアメリカがどのような反応を示すのかまず様子を見るのか。このあたりの判断で尖閣諸島の判断が決まってくるのではないだろうか。
この状況下、日本政府は尖閣諸島に領土問題は無いというのが公式見解である。だから、外交交渉もしないのだろうか。あるいはよく言われるように、経済優先の中で、経済を阻害することは目をつぶると言うことなのだろうか。この辺がどうにも政府の姿勢は見えてこないし、煮え切らないところだ。
石垣市では尖閣を守るために、尖閣諸島に港湾を作る。灯台を作るという、実質占有状態の明確化を計るための具体的行動を、政府に要請をしている。石垣市長は国防は国の専権事項と言いながら、何故か、中国を刺激するような作戦を提案するのだろう。極右勢力に洗脳されているようにみえる。あるいは完全に買収されているのかもしれない。
さすがにこれには、政府はわずかの反応もない。又国会では一向に尖閣諸島問題が、議論されている様子もない。この石垣市の要請と政府の沈黙は了解済みの示し合わせた行動と考えていい。日本政府のやっていることは中国政府を刺激して、火種を消さないと言うぐらいのことなのだ。
しかし本当に爆発を起すわけには行かないので、まるで装ったような沈黙である。現実的には、アベ政権以来琉球弧に自衛隊基地を並べ、アメリカに提供しようという動きは継続されている。これがアメリカ軍の沖縄負担軽減の見返り条件である。そして、琉球この自衛隊基地に敵基地攻撃ミサイルを配備しようと言うことになっている。
先制攻撃計画を実行するためには、尖閣諸島に中国が攻撃を仕掛けることが必要と考えているのでは無いだろうか。中国の行動を待っている可能性はある。そのための政府の沈黙と考えていいのかもしれない。菅内閣の外交方針のなさと言うことならまだましである。
今政府がやるべき事は、中国に対して外交交渉を始めることだ。尖閣には領土問題が無いなどと、建前論を主張したところで何にもならない。日本の国力という物はすでにアジアでも中堅に後退しているのだ。決して中国に軍事的に対抗できるほどの物は日本にはない。あるのは日本の豊かな国土だけだ。この国土を生かして生きれば良いだけのことだ。
日本政府は、中国が尖閣諸島を占拠してしまうことを待っている。さすがにこれ以上無策でいることは許されない。現実を認識した上で、中国と外交交渉を始めるべきだ。アジア各国と連携して中国と話し合いを持つべきだ。国連に協力を要請することも必要だろう。