時代には何度かの変わり目があった

   


 直播き田んぼのトヨメキの大きな穂。粒張りも良いようだ。ただ分ゲツは多くはない。

 時代は変化している最中では変わり目を、実感として感じることは難しい。今が次の時代への転換期であるらしいことは、ウクライナ侵攻とコロナの流行で、何か社会に大きな変化が起こりそうなことだけは感じている。

 高度成長期とはどの年代を意味するのだろうか。バブルの時代とは一体いつからいつ頃のことなのかとか。色々の見方があるようで明確な区切りが出来ているわけでも無い。私は大島の噴火が一つの区切りと感じているのだが、これは開墾していた山北の山中で見た大島の噴火の明るさが示したものだ。

 1949年に生まれた私は戦後復興期の日本に成長した。山梨の山中の山寺で生まれ、東京と山梨を行き来しながら、高校までを暮らした。高校を卒業したのが1968年と言うことになる。この辺りが日本の時代の変わり目だと感じる。大学紛争の時代である。私の体験的な感覚ではこの頃が、戦後の日本が次の時代を模索し、転換したように感じている。

 その後の日本は経済至上主義に向かって行く。「ジャパンアズナンバーワン」というアメリカ人の書いた本がベストセラーになったのが、1979年である。日本の時代が来るかのように言われた時代である。この頃に、経済が良くなればそれが成功という、拝金主義の時代に入ったのだと感じている。金色夜叉である。

 1975年フランスから戻った。私が時代に飲み込まれて、拝金主義に巻き込まれながら絵描きを目指していた時代かと思う。若い絵描きの仲間がどこかで個展を開いていて、オープニングに集まっては飲み歩いていた。若さを楽しんでいたわけだが、いい気な独りよがりの時代だった。

 10年そんな暮らしを続けて、1985年絵も描けなくなる。絵も行き詰まり、自分の世界を描くことも出来なくなる。自分というものを見失い、最初からやり直すほか無いと考えるようになった。そして山北で開墾生活に入る。1986年大島の噴火がある。時代が崩壊したように感じていた。

 この辺りから訳の分からないバブルの時代が始まるが、それがあだ花に過ぎず崩壊するだろう事は予測が出来た。1995年に起きたオウムサリン事件はまさにバブルがはじける終焉であった。1993年に農の会を始めている。農業崩壊の危機を感じてのことだったと思う。

 〇戦後の復興から大学紛争の時代まで。1945年から1970年。〇高度成長期から大島の噴火で終わる時代。1986年まで。〇拝金主義が蔓延したバブル時代。1995年まで。〇新しい日本を見付けようとした時代。2010年まで。〇第三の矢が飛ばなかった、日本経済の失速の時代。

 ここまでが今までの状況。日本の失速の時代は、コロナが蔓延し、ロシアのウクライナ侵攻が起こる時代で終わる。次の時代から見ればコロナと核保有国の侵略戦争で、無理矢理さらに悪い方向に変えられていく時代に見えてくる。社会の時代から、個人の時代に入るような気がしている。孤立の時代なのかも知れない。

 戦後社会は、今は6つめの時代に入っているようだ。第三の矢という新産業が創出できない日本になる。次の新しい社会が見いだせないうちに、コロナ蔓延とロシアの侵略戦争という不安に満ちた時代に押し流されるらしい。資本主義が拝金主義によって悪い側面が表面化した時代。階層化社会。貧困層の固定化。

 時代の移り変わりが起きている。次の時代はかなりひどい時代になると思わざる得ない。戦後社会の平和と民主主義の希望が潰える時代。どん底まで落ちて行く時代なのだろうか。それは反対側から見れば、つまり未来から見れば希望をそれぞれが見付けなければならない孤立の時代と言うことなのだろうか。

 今は影の薄いスガ総理大臣が所信表明演説で宣言したように次の時代は、自助の時代なのだ。社会は弱者を救済できない時代。コロナになれば自宅療養である。自宅療養で死ぬ人が居ても仕方がない社会。コロナに感染しても、保健所との連絡も十分には取れない。さらに日本が戦争を始めても止むえない時代と言うことになるのかも知れない。

 アベ氏の最後っ屁のような無責任な連続発言。プーチンの核攻撃をちらつかせる蛮行。トランプ主義の出現に見るアメリカの独善。世界はこういう異常者達が、選挙によって支持されて動かされて行く時代になっている。民主主義を支える健全な市民が少数派になる時代にはいったのだろう。

 選挙で健全な政治が選択できない時代になる。民主主義の敗北が見えてきた時代なのかも知れない。一人一人が自由に意思を表明すれば、利己的な結論に陥るという結果。プーチンの利己的判断が、侵略戦争になり、国民に支持される。独善のトランプは自分が大統領なら、プーチンを抑えられたと言うがその抑え方はさらに悲惨な戦争に繋がったことだろう。

 それぞれが勝手に自国の有利だけを考えて動き出している。中立による平和を目指した北欧の国が、より強い軍事同盟に入らざる得ない結果である。世界は中国の動向を注視しているのだろう。中国はロシアの失敗から学び、どんな方向を打ち出すのだろうか。

 より軍事力を強化し、ロシアの二の舞をしないようにするのか。軍事力による現状変更の難しさを認識して、さらに国家資本主義に傾いて行くのか。次の世界の状況は、中国の動きで変わってくる事だけは確かだ。いずれにしても、中国はさらに大国化して行くことは確実である。

 日本は経済的に中国と関係を持つことで、活路が見つかるはずだ。中国は経済大国に相応しいルールをなかなか持てないとされているが、間違いなく世界の経済ルールに従うようになる。そうしなければこれ以上中国の経済は成長できないからだ。

 民主主義や自由主義を是とする資本主義は全体主義的資本主義に敗北をする。それを中国は証明しようとしているのだろう。日本の現状を見ると、民主主義は成長を止め、むしろ幼児化し始めている。利己主義に陥り始めた。健全な社会は遠のいた。

 信用ある商売が成長するのは当たり前の事だ。温暖化対策でも、中国が先導するような状況も出てきている。環境破壊も止むえないというような高度成長期を中国も終わろうとしている。再生エネルギー発電や電気自動車は中国の時代になる可能性が高い。

 日本がアメリカとの関係にこだわりすぎて、何時までも中国との関係を仮想敵国扱いをしていることは、経済から見れば出来ないことになる。それは、韓国の中国との関係を考えてみることだ。韓国文政権は中国に接近した。その結果は成功とは言いがたいが、日本よりは可能性は残している。

 中国を仮想敵国とするのはアメリカであって日本ではない。日本はアメリカの糞ではないのだ。日本はもっとしたたかに中国との関係を模索しなければならない。韓国は中国の影響が大きすぎて、韓国人の中には反中国意識は昔から強い物がある。何しろトランプは韓国は昔は中国だったと習近平との会談で発言したくらいだ。

 日本は尖閣に何時までもこだわるようでは、未来がない。少なくとも解決するために日本は動き出さなければならない。政治家は領土問題を口に出来ない。口にすると票が逃げるからだ。選挙のために領土にしがみ付いている。これが民主主義の終焉を表している。

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