ウクライナ問題で中国は動かない

   

農の会の小麦畑3月8日
 中国は世界の暴力国家の後ろ盾になりつつある。ロシアに唯一影響を与えうる国になった。その中国は動かないと思う。世界が批判するロシアに対しても、抑えることが可能であれば中国であろうと期待されている。それはアメリカを中心にした自由主義陣営と対立するという、ロシアと同じ立場に立つ国だからという昔の枠組みから来ているのか。

 中国がどのような行動をとるかは相当に重要になる。ある意味世界の運命がかかっている。もしこの機に乗じて台湾併合に進むとすれば、世界はまた暴力の時代に戻るという事になる。もし、台湾併合に進みたいとすれば、中国はロシアにウクライナせん滅戦争を止めるように、仲介するようなことはしないのは当然である。

 中国が仲介してロシアを引かせれば、台湾併合に進むという意見があるが、その理屈は理解しにくい。暴力による現状変更に対して、一定の理解が広がると考えた方が当たり前ではないか。一番怖いのは今を良い機会と考えて、攻撃を始めることだろうが、そこまではしないだろう。

 中国が覇権主義であるならば、ロシアと欧米諸国が対立して共に力をそぎ合うことは望むべきことになるだろう。もし、中国が平和を望む国であるならば、ロシアの暴挙を見て、中国自身の平和への道を学ぶはずだ。あの殺戮を世界が許せば、中国は何をやっても許されると考えるだろう。

 しかし、その期待はわずかしかない。中国は傍観しているだけで、より優位な位置に進むからだ。打算的な思想の国中国は、この濡れ手で粟の様な状況が傍観しているだけで転がり込んでくる。戦争が起これば、それで儲かる奴はいるのだ。被害が比較的少ないのが中国になるだろう。

 ロシアが経済封鎖になれば、小麦でも石油でも中国に買ってもらうほかない。中国も欧米諸国から経済制裁を受けていて、苦しいところがある。ロシアという国が、中国以外に販売先が無くなれば、それは悪くない話になるのではないか。

 世界情勢からみれば、中国は何か手を打たなければならない訳ではない。黙っていれば優位な立場に転がり落ちる訳だ。ウクライナがロシアになるとしても、中国にとってはどうでも良い話しだろう。人道上の問題で動くようなことは中国はやらない。ミャンマーや香港の対応を見ればわかる。

 あるのは中国の大国としての経済成長だ。経済が良くなるという事で、国民の統一を図り、不満が抑えられている。経済が苦しくなるという事が、中国にとって、習近平の独裁が崩れるときだろう。ロシアの孤立化は中国にとって有利に働く。

 世界と特に日本がやらなければならないことは、ロシアのウクライナ戦争を失敗に終わらせることだ。ロシアの侵略戦争が成功すれば、中国は台湾でも同じことが可能だと考えるだろう。それは、日本や東アジアで悲惨な戦争が起こるという事にもなる。

 と言って自衛隊の装備をウクライナに提供するというようなことではない。それでは暴力主義に日本が加担することになる。日本の平和外交の努力をする以外にない。具体的行動という意味では、ここに至っては効果のあることはない。こんな状況だからこそ、平和的な世界にするための努力を不断に続けなければならないのだろう。

 独裁者は結局のところ狂気に化す。プーチンが今行っていることは、まともな人間のやれることではない。自己利益を考えて、必要なことだと考える人は居るだろうが、こんなことを実行してしまう人は、狂気に陥った独裁者だけが行う仕業だろう。

 プーチンの狂気を世界は甘く見ていた。アベ元首相はプーチンと数多く面談した人間だ。今までの北方領土交渉において、全くプーチンの本質を理解していなかったことになる。アベ氏が蒙昧な人間であるのはこのことからもよくわかる。騙され続け、極東開発に利用されて終わっただけではないか。

 相変わらずの脳天気顔で、ペラペラと日本も核保有まで口にしている。病気で途中退陣して、国政を放棄したことをもうすっかり忘れている。この人も世界を崩壊させる独裁者の一人の可能性があった。幸いなことにアベノマスクぐらいしか、出来ることもなく総理大臣を投げ出してくれた。不幸中の幸いと言えることだ。

 世界は戦後最大の危機に立っている。これから一人一人の暮らしにも影響が及ぶに違いない。日本の食糧自給も危うい状況に進むだろう。スガ元総理大臣はこの危機が起こる時代を前にして、日本は主食作物の生産を止めて、輸出できる農産物に変えようと主張していた。

 愚かにほどがある。リンゴやイチゴよりも主食である。小麦が無くなれば、お米を食べるほかない。日本人は米を食べる生活に戻るほかなくなる。それだけ稲作農業は国の安全保障の作物なのだ。食糧輸入の困難が遠からず来る。
 
 アベ流にいえば、地獄のような自民党政権が続いている。国の安全保障が深刻化する時代が読めない政権が続いているのだ。世界は食糧危機に向っている。身近に迫る危機は食糧不足だ。コロナへの対応を見る限り、日本には危機対応の準備がまるでない。

 もう、そういう事を国に期待できる状況ではないのだろう。国を支える政府が、自らの既得権にしがみつき、衰退する古い経済体制を維持することだけになっている。こうなっている以上、それぞれが自分の暮らし自分で作る覚悟がいると思う。

 いつもの主張であるが、暮らしの自給自足を確立し安心立命の場に立つほかない。この先食べる物ほど大切なものは無くなる。しかもその食べるものを作る暮らしは、実に豊かでゆったりとしたものだ。まさに人間らしい暮らしなのだ。
 
 今ウクライナで起きていることは、あの11年前の福島原発の爆発事故以来続いてきた、最悪へのシナリオがさらに1ページ進んだという事だろう。20年以上も独裁者としての自らの悪魔を育ててしまったプーチンという存在。正義と権利を主張して、平然と人殺しを行っている。

 まさに現代の悪魔の登場である。プーチンを止められるとすれば中国ではない。ロシアの中にある、良心的な人々である。自らの命に代えても、ウクライナの人々の命を守ろうという人々の登場以外にないだろう。果たしてロシアの国民の中にその良心がどれほどあるだろうか。ロシア人一人一人は優しい人たちだ。期待できると思っている。

 ウクライナに対して、長い戦争の中で許せないものが、蓄積しているかもしれないが、だからと言って命を奪って良い訳がない。戦争によって解決できる問題など一つもない。戦争は問題をより深刻化して先送りしているだけである。

 暴力によって問題が解決することなど一つもない。戦争は事態を悪化させるだけだ。日本政府がもし平和憲法を理解しているのなら、今やるべきは世界の紛争に対して、平和的手段による解決を呼びかけることだ。無駄だからやらないでなく、日本の姿勢を打ち出さなければならない。

 黙っていて少しでも有利を得ようなどと、卑しい行動はとるべきではない。ロシアが今行っていることは、人間が200年かけて克服しようとしてきた、暴力の世界を、一気に崩したのだ。この暴挙を許せば、世界はまた暴力の時代に戻ってしまう。

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