石垣島の田植えが終わって

   



 2月23日のぼたん農園の田植えが3番まで終わった。34名の参加だった。強い風雨の中子供も10人も参加してくれた。ひとまず良かった。残念ながら報道は2社以外は来てくれなかった。市長選挙で手一杯と言うことだったのか。雨に負けたのかもしれない。
 正月明けから種まきをした。5週間苗を育てて準備を進めてきた。そして、23日にみんなに呼びかけての田植えが終わった。一段落した。残りは4番田んぼに最後の田植えをして、5番田んぼには種まきをする。

 この苗作りの間晴れた日は数日しかないという、厳しい天候が続いた。一月の日照時間が54時間。2月25時間。余りに成長が滞るので、不安で仕方がなかった。苗床の苗は徒長気味であった。ただ、直播き田んぼの苗がそこそこのできだったので、何とかなりそうな気がしている。

  農地をお借りできたのが、12月半ば。田んぼを作り始めたのはそれからだったから、まだ二ヶ月しかたっていないのことになる。田んぼの土木工事をしながらの苗作りだった。正直、溜め池作りを始めた頃には、一反以上の田んぼの耕作が出来るとは思わなかった。

 それでも苗代に4枚の田んぼに田植えが出来るだけの種は蒔いたのだから、4番まではやるつもりで居たと言うことになる。現在田んぼは6番田んぼの土木工事が終わりかかっている。一反以上耕作できることになったのだから、何とか参加者がお米が食べれるくらいはあるのではないだろうか。

 牛の放牧場のあとの、何も無い雑草の茂った入ることすら大変だった。水牛を繋いで草を食べさせるところから始まった。溜め池を作り、田んぼを作り、苗を育て、ついに田植えまで来た。心からほっとした。安堵した。まだ冒険は続いてゆくわけだが、ひとまず最初の目的地には到達した。

 毎日楽しくて仕方がなかったのだが、出来るのかという不安も無いわけではなかった。食糧自給と言うことは命がけのことだ。だからおもしろいわけだが、趣味の田んぼは楽しみで良いなあと、農家の方には言われるが、実は自分で作ったお米しか食べないと決めれば、趣味の田んぼも命がけのものになる。だから自給の田んぼは農家どころでない本気のことになる。

 この最悪の天候の中、何とか田植えが出来る苗に成長してくれたことは、イネの強健さに感謝しなければならない。主食作物はこれくらい丈夫なもの出なければならないのだろう。そして、熱研で紹介してくれた、「トヨメキ」がやはり成長が良い。品種はやはり重要なことになる。

  熱研の小林先生が紹介してくれたトヨメキの様子を、お願いして見ていただいた。直播きの苗はそこそこ色が濃くよくできていると言うことだった。初めての土壌なのに、何故色が黄色くならないのか、色々理由を考えてくれた。いずれにしても腐食も少ないし、肥料分も不足するだろうから、追肥のタイミングを考えるといいと言われていた。

 水生植物による緑肥栽培と言うことならば、やはりアゾラだろうといっしょに来てくれた斉藤先生が言われていた。八重山に自生していた、アカウククサをどうしても探したいものだ。また、見に来て下さると言うことで、とても嬉しくなった。

 みんなに田植えして貰った苗は4葉期から5葉期の苗であった。いくらか分けつの出ている苗があったぐらいで、24,5センチの背の高さだった。茎は細く十分とは言えないものであったのだが、病気が出たりはしていなかった。

 石垣の農家の方で育苗をされている人はイモチが出てしまったと言われていた。消毒をしていてもそういう状態である。早く一月中に田植えをした田んぼを見ると、一ヶ月経過しているのに、ほとんど成長していない状態に見える。

 やはり、昼間の時間の短い1月の田植えでは、日照時間が雨ばかりで極端に減少すれば、生育に遅れが出るのはやむを得ないだろう。例年の半分位の日照時間と言うことである。例年雨の多い1月2月である。それがさらに半分と言うことでは、厳しい。得に自然に従う、伝統農法だから厳しい状況である。

 それでも、直播きの苗はなかなか健全に育っている。苗代の苗よりも色も濃いし、がっしりしている。分ゲツが出始めている。根の張りも良い。背丈は低いが悪くはない5葉期まで来ている。そこで直播きの田んぼを急遽増やすことにした。6枚の内、3枚を直播きにすることした。今年は初めての田んぼなので、草がほとんど出ないと言うありがたさがある。

 田んぼの土は田植えをしていると、赤虫がかなり現われていた。田んぼの土作りが短期間にもかかわらず、それなりに成功したのかもしれない。期待できる兆候である。土が何故か悪くなかったのかもしれない。地下の掘り起こした土を使っているのに悪くないのは、水が良いのかもしれない。

 田植えをしていると田んぼはやはり石が多く、足にあたる。随分取り除いたつもりだが、まだ石が田んぼの中にゴロゴロしている。これからも根気よく取り除く以外にないだろう。

 田植えは2畝を6人で行って、1時間少しだった。それほど時間はかからない。初めての人には短い横向きの6メートルだけを植えて貰った。往復できる人は往復。無理な人は一方向だけでも経験して下さいということにした。もちろんどんどんできる人は植え終わるまで。

 今回まだ、4番田んぼは線を引いただけで田植えは出来ていない。その線も雨で消えてしまった。つまり予定通り進まなかった。こういうことは初めてのことなのだ。なんとなくこれでいいと思っている。以前なら、やりきらなければならないことは、何があっても終わりまでやった。

 いまはなんとなく無理をしないで、これで十分だと思った。こういうことが歳をとったということなのかも分からないが、少し妥協的になったということだろう。昔は豪雨の中雷が落ちる中でも田植えをしていた。やりきらなければ居られないところがあったと言うことだろう。

 いまはまあ最善で無くとも、ほどほどで良いだろうと思うようになった。良いのだから悪いのだかは分からないが、突き詰めないようになったということだろう。それでも苗取りをしてあるのだから、出来れば今日の内に4番田んぼは田植えをしたい。

 そして、土曜日辺りには5番田んぼの直播きをしたい。6番田んぼももう一息で完成するから。6番の直播きも可能かもしれない。ユンボがまだ借りられているなら、三月中には10番田んぼまで完成させることが出来るかもしれない。

 果樹園や畑の予定地には、向日葵を蒔くことにした。緑肥作物と景観作物を兼ねてのことだ。上手くゆけば田んぼの風よけにも成るかもしれない。果樹の苗も購入する必要がある。さらに一番下の策の辺りには風よけの扇芭蕉が必要になるだろう。2頭になった水牛についても、放牧場所や水場の整備を考える必要がある。

 

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