技能実習制度の問題点

外国人の技能実習制度を巡り、2023年4月時点で1万2千人が所在不明の状態にあることが分かった。
日本の技能実習制度は外国人労働者を日本人がやらなくなった仕事の穴埋めとして利用しようというとんでもない制度だ。現代の奴隷制度と言われるほど良くない制度なのだ。日本人が3K職場を嫌うために出来た制度だろう。職業差別はあるし、日本人社会には外国人を受け入れない壁がある。
そうした3K現場には、たこ部屋と言われるような逃げるに逃げれないような囲われていることもある。最悪の労働環境で働いていることも多い。もちろんよい雇用主の方と楽しく働いている場合も知っている。すべてが悪いというわけではないとは思う。石垣島で働いているベトナム人の方は楽しそうだった。
日本の社会はこの制度の御陰で成り立っている。そのことをもっと感謝をしなくてはならないだろう。遠からず、来てくれなくなる。その時には日本社会が回らなくなるのだ。その技能実習制度を厚生労働省は以下のように説明している。
外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。
白々しくないか。この説明を公式見解として、来てもらっているのだ。余りに現実と乖離していている。建前が余りに空疎に聞こえる。現実の労働実態と違いすぎる。技能を学ぼうとして日本に来ているとは到底思えないだろう。これは3K職場に日本人が就職しないので、外国人で代替しようという制度だと認めなければ解決に向かうことはできない。
当然、これだけ絵空事が語られるのであれば、いたたまれないで逃げる人も出るだろう。その人数が1万2千人もいるということだ。これが氷山の一角であろう事は容易に想像できる。日本に出稼ぎに来る人達は本国で騙されて、かなりのお金を取られて斡旋されるような人もいるらしい。
日本に来てくれる人がいるというのは、それ以外に日本社会が成り立たないのだから、有り難いことだが。日本のいわゆる3K職場は日本人がやりたがらない職場なのだ。日本人の方角としてそのことに問題がある。このままで良いとは到底言えないだろう。まず日本人が身体を使う労働を、喜んで出来るようにならなければならない。農業もその一つだ。
技能研修制の多くの人が、来て働いてこれは話が違うと考える人も多々いるだろう。昔満州の残留孤児が日本に戻って話が違うというので、帰った人がいた。春陽会と言う支援組織に入っていたのである程度実態を知った。よいことばかりではなかった。日本の実態を知らないで来る人が多かった。
技能研修制も話だけで来てみて違っていたと考えるはずだ。もう日本は稼げるような国ではなくなっている。円安と言うことはそういうことだろう。ますます、不満が募ると言うことになる。問題は日本社会にあるので、来てくれている人の問題に転嫁してはならない。
そもそも3K職場を外国人で埋めようという国がおかしいのだろう。しかし、それは日本だけでなく、フランスなどは植民地出身者がそうした職場で働いていた。アメリカなどではラテンアメリカからの密入国者がひどい職場で働いているようだ。
どこの国でも外国人が辛い仕事をやってくれている。そういうことはあるのだろうが、このままでは技能研修制度は必ず行き詰まることだろう。つまり、3K職場を技能研修という言葉でごまかしていることがおかしいのだ。石垣島でも厳しい草刈り仕事を東南アジアからの技能研修制がやってくれている。
日本は外国籍の日本在住者を増やそうとしている。実際に増え始めている。コロナで一事増加は止まったが、また増え始めている。日本社会が外国人の受け入れ体制が出来ていない中で、政府は経済のためには、つまり人口減少の穴埋めとして、外国人を受け入れようとしているわけだ。
総人口に対して、2.4%の外国人が在住している。外国人が多い地域では20%を超えているし、10%を超えている市町村が12ある。技能研修制は一定期間日本で働いてもらい、5年を限度に日本を離れなければならない制度である。この制度が働いてもらう側には問題になっている。
日本は外国人の在留を歓迎していなのではないか。この問題が議論されないまま、必要に迫られて穴埋めとして始まった制度が、繰返し変更し積み重ねられてきたために、意味不明の制度になっているのだ。ところが抜本的な改革が出来ないまま、いよいよ日本には来てくれなくなる時代が迫っているのが現状だろう。
日本で対応が遅れているのは日本語の学習制度である。教育制度全般に外国人に対する対応がないに等しい。在留者の子供達が修学しているのかどうかすら、把握もされていないのだ。把握しても受け入れ体制もない市町村が多いわけだから、制度自体が整備されていないわけだ。
日本では経済のために、企業と政府が外国人を受け入れることを決めた。そして無理矢理制度を作った。ところが社会全体としては、外国人の在留が議論されたこともない。曖昧なままなし崩し的に、制度だけが進んだため、まだ社会としてはどうしたらよいかが分からない状況だろう。
リゾート地は外国人労働者が増える傾向がある。石垣島はそもそも八重山合衆国と言われる島だ。様々な人が入り乱れて暮らしてきた歴史がある。そもそも石垣島に100年前から暮らしてきたような家族は少数派である。上手くこの特長を生かして、外国人が在留しやすい島を作り出すことは、島の未来に意味あることではないだろうか。
先ずは日本語教育機関を行政が作ることだ。そして義務教育への在留外国人の受け入れ態勢を作ること。そして、医療や福祉や行政に対応する外国語対応をする窓口を行政が準備する。実際には把握されていない、外国人も多いはずだ。観光客なのか、長期滞在者なのか。現状では住民登録はしていない人が多数いると思われる。