新しい車を購入した

石垣島では車の購入がとても難しい。私が購入したい車はダイハツハイゼットトラックの比較的新しいものである。ところが石垣島で散々探したが、売られていない。中古屋さんを五軒ほど回り、ダイハツの看板のある新車販売の店でも聞いたのだが、新車は半年待ちだと言われてしまった。
半年も絵を描くなと言うわけには行かない。それは私にとっては大げさではないほどの問題だ。アトリエカーで絵を描くことが日々の生活の中心なのだ。確かに車の衝突事故を起したことは行けない。私にはまったく落ち度はない。両者の車が大破してしまった。
幸い身体はなんともない。上手くかわしたものだ。三橋さんに言われていた、「命は最後の1秒で決まる。最後まで意識を持って、事故をいくらかでも軽くするための努力をしろ。」この言葉の御陰である。ぶつかり、跳ね飛ばされて行くまで、しっかりと意識して、身体を守った。
心配を多くの方におかけしたようだが、両者の車が壊れたが、両者が無傷だった幸運。相手が居眠り運転である。せまい2車線の道路で、対向車線に暴走してきたのだ。まさかそのまま直進してくるとは驚いたが、直前に必死にハンドルを切り、左前20㎝だけが衝突をした。
車は横回転をしながら、後ろに飛ばされたのだが、それで衝撃が回転方向に変わったわけだ。だから身体への負担が小さくて済んだ。意識して衝突したことが良かったのだと思う。また思いだして書いてしまったが、今は車の購入で苦労している話だった。
一時は諦めて、小田原で渡部さんに頼んで買って貰おうかと思ったのだが、探して探して、鹿児島の中古車屋さんに新古車が見つかったのだ。良かった。ところがこの車屋さんは、次々に訳の分からない費用を上乗せしてきた。足下を見られたわけだ。何とも不愉快で止めにした。
次にカーセンサーで探して探して、平塚の自動車屋さんにあった。小田原に行った時購入して、東京の有明港から送れば良いと考えた。これは要領が慣れているから出来る。ところが平塚の自動車屋さんが嫌だという。近所の人以外には売らないというのだ。売らないという物は買えない。
さらに探している内に大分で車が見つかる。ほぼダイハツのハイゼットの新車だ。価格も普通。車屋ドイというお店。電話で社長と話したのだが、とても良い人に感じた。鹿児島と大分では大違いだ。まあ人によるわけだが。電話だけですぐこの車に決めた。
安心してお金も振り込んだ。書類が届いたら、今度は石垣の行政書士さんが車を登録してくれて、それでナンバーをもらって車に付けてからいよいよ、大分港から送られると言うことになった。8月初めには遅れるから、8月の初旬には車が来る。
車が来たら、今度は奥平自動車に持って行き、荷台にアトリエを載せてもらわなければならない。荷台の煽りの留め金にぴったりはめ込めるはずだが、これはやってみなければ分からないところがある。合わなければ切断して溶接のし直しになる。さてどうなることか。
保険のこととか、よく分からないことばかりだが、まあ何とかなるだろう。保険については、おなじ損保ジャパンの保険会社に入っていたので、割合スムースに進んだのではないかと思う。事故の責任は100%相手にある。わたしに1%でも責任があるといわれたらおかしい事故だ。
私が支払う物は一切無いと考えている。車が元のように使えて、新しくなり、アトリエが問題が無く上手く使えればそれでいい。気になるのはどうも窓の開け閉めが少しおかしい。まあ乗せてみれば何とかなるとも考えている。窓がスムースに開かないくらいはたいしたことではない。
車の免許を取得したのは40歳を過ぎていた。車など使わない暮らしをしようと考えていたし、東京にいたときには必要も無かった。しかし、山北に移住してから、だんだんに開墾生活に車が必要になった。最初は原付バイクの免許を取得した。それで水など山の上まで運んだ。
学校に行くときに、東名高速のバス停までは原付バイクで通うようになった。それを数年続けて、ついに車の免許を取ることにした。開墾生活が一段落した頃だ。その時に春日部先生にこの一年は絵など描かないで良いから、車の運転に専念しろと言われた。写生で絵を描くには車ほど重要なものはないと言う教えだった。
確かにその通りだった。免許を取ってから、日本全国を絵を描いて歩くようになった。車でどこまでも出掛けて行って絵を描いた。春日部先生がここはおもしろいよと教えてくれて、そこに行くと言うことが多かった。日本中北海道から九州四国と絵を描きに通わないところはないと思う。
それでも沖縄は絵を描きに行きたいとも思わなかった。何か自分の描く風景とは違うという感覚があった。それが今では石垣島の風景ばかり描くようになったのだから、不思議な物だ。石垣島には田んぼがあったからだと思う。田んぼのない風景に一番惹きつけられる。
もちろん田んぼでなくて、海であったり、湖であったりしても良いのだが、水のある風景に引かれたのだと思う。そのうち自分が田んぼをやることもあり、田んぼへの興味が深くなっていった。人間の生きると言う切実な姿が、田んぼに現われているような気がしてきた。
太古の自然という物には興味は無い。人間の自然との関わり方の方に興味がある。畑であったり、耕作放棄地であったり。人間が暮らしのために自然に関わった農地という物に興味がある。人間の生きる姿がある。そこが何とも悲しいというか、燃えている感じがする。人間が手を入れて関わり、また自然に戻って行く姿。
自分にはそういう物が描ければそれでいいのだろう。まだまだその本当のところまでは描けないが、すこしづつそこに向かい進んで行きたい。進んでいるつもりでいる。慌てているわけではないので、遠回りしながら、いつかそこまで行く日を考えている。
車を買ったことだった。ハイゼットトラックの農用スペシャルというものである。待ち遠しい。石垣島では車を買うのはなかなか難しいと言う経験。アトリエカーは車を買い換えるのが難しいという話。荷台の様子がすこしづつ変化しているらしい。
おなじ車体を探すためには車体番号を付き合わせなければならない。それでもよく分からなかった。後は仕方がないので、現場あわせでお願いするほか無い。車に乗せるのだから、しっかりと固定しなければ怖いことになる。何とかなると思っている。