日本、韓国、台湾の三国連携

日本と韓国との関係が改善された。韓国の尹錫悦政権に代わって以降、反日政策が転換された。日本側もそれに呼応して、韓国に対する経済制裁を解除した。韓国経済の躍進は大企業に集中して、世界での競争力を強めた結果である。韓国の経済は日本を追い越した。
韓国は中国との経済関係を日本よりも踏み込んだ。日本の企業も中国に進出はしたのだが、韓国の方がより比重が大きかった。中国の急成長の経済の好影響を受け、韓国経済は日本を越えるまでになった。もちろんそのためのリスクは高かったのだが、現在は中国よりもアメリカとの経済関係に移行している。
台湾の経済も好調で、近い内に日本や韓国を追い抜くだろうと言われている。台湾に行くと、すでに日本よりも進んだ国だと言うことを感じる。日本はマイナンバーカードをまともに運用できない国であるが、台湾はIT技術に於いては相当に進んでいる。
この東アジアの三国は経済的におなじくらいのレベルにあると言えるのだろう。もちろん台湾の半導体産業、韓国のサムスン電子、日本の自動車産業、などそれぞれに特徴は違う。もし経済連携が行われることになれば、中国やアメリカや、EUと同等の規模の物になる。
この三つの国がその特長を生かしながら、経済圏を構築することが出来れば、中国に対して対等な関係を持てるはずだ。政治的にはこの三国は議会制民主主義の、ある程度成熟した国である。自由主義を標榜する国家である。二国間の関係はそれなりにあるわけだが、経済の三国関係強化の意義は大きいだろう。
対アメリカと言うことがある。アメリアおよびEUの中国脅威論の背景には黄色人種に対する差別を感じる。中国がアメリカの経済を追い抜き世界一になると、白人世界が追いやられてしまうのではないかというような潜在的な不安意識である。
この中国脅威論が根にあるために、ことごとく中国批判を高めることになる。確かに中国には、習近平政権の強権政治がある。自由主義や民主主義とは一線を画した、独裁政治を行う、国家資本主義国である。問題の大半は中国にあるとは思うが、中国の高度成長が落ち着き、変化を待つ必要があると思っている。
中国を追い込む政策に、アジアの三つの国が同調させられている。この三つの国は、ロシアに対するウクライナのようなものだ。そこで戦争が起こり、膠着することを望んでいるような節がある。アジア内の対立によって、アメリカやEUが優位に立つという構図である。
中国とロシアとは違う。ロシアは軍国国家である。資源が豊富であるために軍備を強化し続けているだけの国だ。実体の生産的産業はほとんど無いに等しい。資源国が産業を興そうとしてもなかなか出来ないと言うのが今のロシアの状況だ。その焦りがウクライナ侵攻に繋がっているのだろう。
中国は経済大国になった。様々な産業で世界水準に達した。教育水準が上がり、学習意欲も能力も高い。膨大な数の中国人が生活向上のためによく働くのだから、まだ経済は良くなる。アメリカを凌駕すると考えておいた方が良い。その時のことを想定して、隣国である、日本、韓国、台湾は三国経済同盟を結ぶべきだ。
中国は覇権主義的である。これは確かにそう考えておいた方が良い。中華思想を持ち続けている。中国だけが優秀で、世界を制覇し、支配し指導する国だと考えているところがある。この考えは中国が国際化していないためのものなのだろう。中国の内なる思想としてはそれで完結しているわけだ。
しかし世界は多様であり、中国もその一国に過ぎない。そうしたことは中国が国際化されていく過程で学んで行くはずだ。学ばなければ、排斥されることになる。中国が経済大国になり、恩恵があるからと言って、中国に指導されることを喜ぶ国家はない。
特に東アジア三国は、中国の覇権主義に対抗するために協力をする必要がある。中国とおなじ黄色人種として、中国に対抗する意味は大きい。アメリカのようにただ対立的に対抗して行くことは、対立を深めることになり、戦争に繋がりかねない。
特に台湾に関しては、中国にいつかは帰属する国である。しかし、中国が今のままの独裁政治であれば、自由主義国家として存在する台湾が、帰属することは不幸になる。中国が民主的な国家になると言うことが、台湾が中国に帰属する前提であろう。
中国が世界一の経済大国になり、安定して時間が経過すれば、民主的な国家になる可能性が高まる。中国人は商人的資質が高い。商売人として世界に受け入れられるためには、民主的な国家にならなければならないことは良く理解しているはずだ。
中国が民主主義国家になるためにはまだ時間がかかる。それまで時間稼ぎの意味で、東アジア経済三国連携を作ることは意味が深い。二国間の連携よりも三国の関係の方が良い。もちろん上手くゆけば、ASEANとの連携にも進んで行くべきだ。
この三国連携はアメリカとの関係を距離を置かなければならない。アメリカは中国に対して異常な対抗心がある。それが中国脅威論になり、この三国を利用して中国を抑えようと考えることになっている。中国が汚い手を使いアメリカの経済を追い越そうとしていると思いたいのだ。
中国の経済成長は必然である。今ある世界での技術はどの国でも学ぶことが出来る。学んだものを基礎にして、さらに新しい技術革新を生むことは、勤勉で努力をする国であれば、必ず達成できる。日本も、韓国も、台湾もそうであった。中国はその上に13億の人間が存在する。
中国が世界一の経済大国になるという前提で、東アジア三国連携も作らなければならないだろう。その意味でもアメリカから一定の距離は必要になる。中国との経済関係は、この三国の将来を決定するはずだ。中国を敵視するアメリカは今後より迷惑な存在になるはずだ。
アメリカとの関係も重要であるが、徐々にアメリカとの軍事同盟は比重を下げて行くべきだ。アメリカはこの三国をアメリカ本国の防波堤として利用している。そのことが、今のところは日本の安全保障に無駄ではないのだろう。しかし、中国の軍事力がアメリカ並みになることも想定しなければならない。
アメリカと中国の狭間に入り込むはずだ。アメリカ一辺倒であれば、中国の脅威を強く受けるはずだ。むしろ、アメリカとの距離を徐々に離れて行き、その分中国との関係を深めるべきだろう。それがこの三国の安全保障になるはずだ。
以上の想定で東アジアの情勢の変化を考えたとき、日韓台の三国連携を模索することが、日本の経済の安定、また東アジアの平和の為には必要になる。台湾侵攻はそう近い内にはあり得ない。中国は読みの深い国だ。しかも、ロシアと違い、経済成長を続けている。
まだまだ時間はある。早急に日韓台の三国連携を模索すべきだ。