のぼたん農園には仲間が居る。

仲間が居ると言うことはかけがいのないことだ。同志がいなければ冒険は難しい。のぼたん農園の冒険が始まり、すこしづつ仲間が増えてきた。今30人ぐらいがラインに登録している。関わり方はそれぞれであるが、一年の間にここまで参加者が増えるのはすごい。
今度、同じような田んぼグループが名蔵の方にも出来ることになった。先日みんなで見学に来てくれた。もっと遠くでも新しくやりたいという話が出てきている。お互助け合って石垣島のどこにでも田んぼグループが出来るようになれば良いと思う。
石垣島には移住者が多い。どの範囲を移住者と呼べば良いのか難しいのだが、住民の半分ぐらいが移住者であると考えて良いと思う。その結果他所から来たものへの排他的な空気があまりない。例えば、のぼたん農園の在る崎枝は半分ぐらいが宮古島からの移住者で、半分ぐらいが最近内地から来た人になっている。
田んぼをやってみたいと考えるのは最近石垣島に来た人が多い。石垣に来たら、農的な暮らしがしたいと思っていたという人が多数派である。そう思っていたからと言って来て始める人は少ないのだと思うが、中には本気でそういう暮らしに興味を持つ人が居る。
退職してから、石垣島に来た人も居る。若い人で何か仕事を持ちながら興味を持ってくれる人も居る。のぼたん農園の存在もすこしづつ伝わってきているので、まだ参加者は増える可能性はある。しかし、おおよそ8グループ30人というのはのぼたん農園の大きさには丁度良いメンバーの数ではないだろうか。これからは誰か止めないと入れないと言うことになる。
仲間で農業をやるというのは難しい。やれない人の方が多いと思う。のぼたん農園ではできる限り緩い繋がりにしている。また参加費に見合うだけの収穫物が配られなければならない。1田んぼで1万円で120㎏のお米が配られることが目標である。
また田んぼに付随する畑はそれぞれの田んぼで作りたいものを作ることになっている。その他に、果樹園と小麦と大豆の畑がある。ターイモもつくっているのでこれも収穫できたらみんなで分けたい。それぞれが興味があることをここやり、学んで独立してゆく。
こんど、ツリーハウスを作りたいという話が出ている。是非実現したいものだ。海の見える所におおきなヤラブの木があるから、その上に木製のパレットで床を作り、寝られるようにしたい。夏そこで寝てみたい。気分が良いことだろう。
いま、バイオガス発生装置も作られている。上手くトイレと繋ぐ予定である。ガスが出来たらば、このガスでお湯ぐらい沸かしたい。サウナは出来ないものだろうか。興味のあることは誰でも自由に取り組み、みんなの協力で実行されて行ければとおもう。
なぜ仲間のことを書いたかというと、多くの新規就農者が一人でやっているからだ。折角素晴らしいことをやっているのに、それがそれぞれの仕事で、一つの城のようにやっている。農業でも事業のつもりなのだ。確かにすばらしい経営者である。
当然のように見えるが、そのために農家も競争社会に飲み込まれている。経営が目的のようになってしまう。作物を育てると言うことは経営とは何の関係もない。稲を育てる面白さが、経営によって台無しになっている。経営と関係の無い農業ほどおもしろいものはないのに、残念なことだ。
そんな甘ちゃんなことを言っていれば生きていけないと考えているのだろう。しかし、暮らしてゆく才覚は作物を作る面白さとは関係が無い。今農業で生きてゆくのも、当たり前の農協出荷では不可能になっている。だから農業人口が激減している。
作物を作る面白さを突き詰めようとしたら、農業は止めなければならなくなる。しかし、絵が売れないからと言って絵を描くことを止める必要は無いわけで、自由に書けば良いだけのことだ。作物を作る面白さを突き詰めてゆくには自給農に限る。
自給農の仲間が集まることが出来ればこれほどおもしろいことはない。自給の技術も、専業農家に勝るものになる。当然のことだ、30人がそれぞれの得意を生かせば、どれほど優れた農業者をも上回る力になる。仲間の中で力が蓄積されてゆく。
仲間が集まれば後は継続である。上手く継続が出来れば、どんどん良くなるのは畑の土と同じだ。のぼたん農園でもまだ、仲間同士の付き合いは浅い。他のグループの人のことはほとんど分からない。だんだんに作業を共にすることで、互いのことが分かってくるはずだ。
農の仲間は共に働かなければ分からない。共に疲れるところまで働くことで、それぞれのことが見えてくる。作業を共にしなければ、農業の仲間の本当のところは分からない。こういう時代になれば、人間様々である。心を許せる仲間を作ることは困難な時代なのだと思う。
ある意味、仲間作りなのかも知れない。良い仲間が出来ることが人間の一番の喜びだと思う。必要なことだと思う。良い仲間が居れば大抵のことは乗り切れるものだ。誰しも不十分な存在である。その不足分を補い合う仲間でなければならない。
一人はみんなのために、みんなは一人のために。そういう仲間が生まれるためにのぼたん農園をやって行くのだと思う。もうそこまで来ている。それぞれがその良さを発揮し始めている。このまま必ず良くなる。そう信じられるところまで来た。