りゅうちぇるさんの自殺

   



 りゅうちぇるさんが自殺をしてしまった。沖縄の若者が東京に出て元気にタレントとしてを頑張っている姿を、遠くから応援の気持ちで見ていた。子供時代から虐めに遭い自殺を考えたこともあったが、何とかのりこえたと話していた記憶がある。彼の子供時代の楽しい思い出話は興味深かった。

 だから同じような境遇にいる若者達を励ます存在でありたいとも言っていた。実際にそういったRYUCHELL WORLD 動画を投稿しているそうだ。その記事を読んでいたら、「夢は何ですか」と聞かれて、何でこの人に自分の夢を語らなければならないのかと思ったそうだ。

 夢を持てなくて当たり前。夢など決められないと言うことを語っている。「絶対に夢って持たなきゃいけないのかなって思うよ」 「人生そんなもんで良い」と言うのがりゅうちぇる流らしい。なるほど夢を持つことが大変なんだと思ってしまった。夢にもよる。タレントの夢は大変だったのだろう。

 夢を持つとは夢に向かって努力をしなければならないと言うことと考えてしまうのだろう。夢を持たなければ努力をする必要も無い。そういう曖昧さやいい加減さをゆるそうと言うことなのだろう。そう周りの人達を励ましていた当人が自殺してしまうとは、どれほど辛かったのかと思う。
 死んでしまった理由は想像も付かないし、ただ残念なことだけど、りゅうちぇるさんはとても厳密に考える人だったと思う。自分の考えることに従おうとしてしまう人かも知れない。夢を考えてしまえば、夢に縛られてしまう。そう考えていたかも知れない。

 タレントとか、俳優とか言う人の自殺が最近目立つ気がする。人気稼業の世界は、人間を使い捨てのいくらでも代替えの効く材料と考える人がいる。今問題になっているジャニーズ事務所の仕組みを見れば分かる。性被害に遭いながらも競争を勝ち抜こうしなければならないと洗脳される。

 りゅうちぇるさんは子供がいながら離婚をして、独特の家族関係を目指した。新しい結婚の形を模索しようとしていた。そのために攻撃され続けていた。保守的社会の痛いところを突いたのかも知れない。人間を生産的ではないなどと決めつける国会議員がいる社会だ。
 そして子供の1歳の誕生日翌日に自殺をしたという。これは日本の社会の未熟さが追い込んだ自殺だと思う。本当のところは私には分からないが、新しい価値観を叩くことで、過去の家族像を守れると考えている人達がいる。人のことはどうでも良いだろうとおもう。

 言葉とは裏腹に、真面目すぎる人だったからまともに攻撃を受けてしまった。人生そんなもんでいいとできなかったのだろう。他人の違いを許せないいじめ社会。攻撃することで相手が傷つくことが見えない人達が増えている。ウエッブの幻想社会。

 それは若い人だけではない。年寄の間でも最近よく見かける。何もかも悪くだけ言いつのる人が現われる。他人の問題ではなく、自分に問題があるから攻撃的になるのだ。自分の可能性を見付けた方が良い。自分の行き詰まりを他人を原因にして逃げている。誰にだって良いところも悪いところある。

 自分自身の行き詰まり、劣っている不満を、周囲を攻撃することで鬱憤晴らしをする人が増えているのではなか。自分のダメさを周囲の問題に転嫁しようとする。落ち着いて自分の出来ることを考えるべきだろう。この癖を無くさなければ、どんどん悪方向に落ち込んで行く。

 社会が階層化している。階層が徐々に階級化している。タレントは階層超えの幻想なのかもしれない。結局はどこまで行っても階層を越えることは出来ない。階層は内なる意識的な物なのだから、自分の意識を変える以外にどうしようもないもの。

 まず問題点が見えてしまう人がいる。実にそんな人に会うこと多くなっている気がする。私にもそうした一面はあるのかも知れないが、一呼吸入れて、問題点ではなく自分のやれることを探すことを努力している。「ダメだっていいじゃん」呪文を唱える。案外に効果がある。

 夢を持つことを、大変すぎると否定しなければならない社会。こういう社会が続いてきた。夢を持つことで生きづらくなる社会。だったら夢など持たなければ良いじゃん。確かにそれもある。しかし、夢を見付けることは諦めなければならないだけじゃ無い。夢があるからそれに向かい努力が出来ると言う可能性も消してしまう。

 努力が出来るか出来ないかは、夢にかかっている。私は絵を描くという夢を持った。中学生の頃は絵描きになるという夢だったのだが、35歳頃に絵を描くという夢に変えたのだ。夢を諦めないでは無く、夢を自分のものに変える。諦めたわけでも無い、誰にも絵を描くということは可能だと気付いた。

 何とかなる。ダメだって何とかなる。ダメだっていいじゃん。人と競べないことだ。自分でもやれる道を探すことだ。自分であることが一番大切だとおもう。夢だと思ったタレントの世界の現実で、夢が消えていったのかもしれない。夢を見失ったのかも知れない。

 - Peace Cafe