少子高齢化は悪い事ではない。
1985年の「経済白書」は3章のうち1章を割いて、人口の高齢化とそれに対応するための社会保障制度のあり方をまれ細に記述している。
2020年代にかけて高齢化が急速に進展していくこと、「こうした世界に例をみない急速な人口の高齢化に伴って、公的年金や医療保険の給付も大幅に増大する可能性が高い」こと、そうした中にあって、「給付と負担の両面において制度間調整を進めることが必要である」(公的年金)
「医療費を適正・効率的なものにしていくとともに、国民の間で給付と負担の公平化が図られるよう、適切な措置を講じていく必要があろう」(医療制度)という指摘がなされている。ーーー中里透 マクロ経済学・財政運営
40年近く前にすでに政府は問題を把握していたのだ。40年無策で来て、いまになって異次元の対策をするという、少子化対策は40年間政府が無為無策の結果生まれた側面もあることなのだ。十分な備えがなされないままここまで来てしまった政府の責任が問われなければならない。
日本の政治はいつも責任が明確にして、その責任を取ると言うことがないから、行うべき対策にも責任者がいない。異次元な少子化対策だろうが、過去に例を見ない対策だろうが、少子化は進むと誰もが考えていると思う。どのみちダメでも岸田総理大臣が責任を取るはずがないと考えている。
ついでに書いておけば、少子「高齢化」と言われる高齢化の方はその一員として、早く死ねと言われてもそれはさすがに困る。40年前と言えば、33歳の頃に政府は気付いて心配をしていた人が居たと言うことだから驚く。人口減少が始まるとは考えていなかった。私に自身も反省がいる。
打つ手打つ手が裏目に出て、40年前の予想以上に悪い状態になっている。分かっちゃ居るけど止められない。例えば、中国など何しろ10年前までは、まだ一人っ子政策を続けていたぐらいだ。中国は高度成長期が終わるときに、一人っ子政策を止めたことになる。
政府が高度成長が続くと考えている間は自然に人口は増加すると考えがちなのだろう。経済成長が予測されれば、人口は増加するし、経済が停滞すると考えれば、人口は減少する。中里氏の考察でも経済と人口の増減のことには触れていない。
触れていないが、少子化は対策でどうなるものではない気がする。社会の空気の反映なのだ。日本人は今現在未来に不安を抱えている。原発事故があっても、原発を止められない。止められないどころか使用期限を延長して、老朽原発を補強して使うことになる。こんな国が安心できるわけがない。
お隣の国を仮想敵国にして、ミサイル攻撃を出来るようにしている。お隣の国は原発を保持して、ミサイル基地だけで300もあるらしい。日本をはるかに軍事力で上回っている。何故、お隣の国と対立しなければならないのかの理由は、人権が軽視されているからだという。まったく戦争しなければならないような理由ではない。戦争の方が人権を無視する。
それでもアメリカの同盟国ということで、訳の分からない軍事国家日本が進んでいる。国民もそれを許容しているかのようだ。確かにロシアのウクライナへの軍事侵攻は許されないことである。まさか、大国ロシアがかつてのソ連の仲間のウクライナと戦争を始めるとは、恐怖である。理不尽の極みである。
こんな国際情勢下で、日本の経済的低迷を考えると、子供を産むどころではないというのもうなずける。まして、AIが登場して、この点遅れがちな日本社会に暮らす若い人達の、将来に対する不安は当然増して行くことになる。財政が大赤字の中の対策にどれほど期待できるだろうか。
少子化対策で唯一、子供が増えると期待できるのは現金給付である。3人子供を産めば、なんとか暮らして行けるぐらいの現金給付である。一人につき月7万円は必要だろう。5人子供が居れば、普通に暮らしが出来るぐらいにすれば、大家族が至る所に現われるだろう。10人居ればちょっとすごい。
ここまでやれば地方創生にも成る。産業がないから、地方は衰退する。どこでも子供は育てられる。子供が増えれば一大産業が創出できたのと同じことになる。異次元と言っても良いが、そこまでやれるか問えば、財政を見れば不可能だろう。その度胸も岸田氏には無い。
希望がある社会なら子供は増えて行く。その実感が団塊の世代の一人としてよく分かる。みんな頑張れば何とかなると感じて生きていた。前の東京オリンピック前はまだ貧しい国ではあったが、希望だけは十分にあった。前向きな空気が社会を覆っていた。現状とは又別のことなのだ。
中学生卒業生が金の卵と言われて、都会に集団就職していたのだ。その人達が、日本の高度成長を支えて、経済先進国に日本は登っていった。そういう経済の中では当然子供は増えて行く。国家予算の半分以上が借金という状態では、何しろ子供に配るお金も借の財政赤字が異次元の状態である。
国の財政
赤字が異次元の状態で、少子化対策と言っても効果が出ない。まず財政赤字を解決することだ。解決できないのであれば、少子化の事実を受け入れ、人口減少の中での国家体制を考えるように、発想を変えるべきだ。出来ないことにしがみついて居れば、さらに悪い状況になる。
赤字が異次元の状態で、少子化対策と言っても効果が出ない。まず財政赤字を解決することだ。解決できないのであれば、少子化の事実を受け入れ、人口減少の中での国家体制を考えるように、発想を変えるべきだ。出来ないことにしがみついて居れば、さらに悪い状況になる。
このさきの日本は、子供が減り、地方が消滅し、経済は中堅国になる。発想を転換して、ゆるやなな安定した国造りを考えるべきだ。出来ないことを受け入れることが、次の道を模索する第一歩である。発想をもう一度し直す必要がある。
幸いなことに日本には豊かな国土がある。確かに災害は頻発する地域ではあるが、四季に富み、雨量も十分にある。人間が生きて行くためには十二分な美しい国土だ。この日本で地道に生きる事を見直すべきだ。日本は農業を基盤にしなければならない。
食糧自給率の低下が国の不安定を感じさせている。自給率が100%の国になれば、目標の出生率も少しは上がるはずだ。出来えば急激な減少ではないほうが良い。農業をして生きて行ける国になれば、国は安定する。農は国の本である。特に主食たる稲作をもう一度見直すべきだ。将来日本が米輸出国になるぐらいの気持ちでやり直すべきだ。