のぼたん農園の種まき
苗床田んぼの均し。
苗代田んぼに直まきのための線を張った。左側が苗床になる。
苗代田んぼ全体をトンボで平らにしたあと。余りきれいに出来なかったが、この程度で大丈夫だろう。一番左側に1メートル幅くらいの苗代を作る。あとは全体に直まきをしてみる。
のぼたん農園では明日16日稲の種籾の播種になる。9日に溜め池2に浸した種籾は芽が出ている。水温は23度前後で少し高めであった。芽が出過ぎていても良いかと考えている。袋に入れて下してある種籾は毎日一度水から上げてまた戻している。
箱苗と違い、苗代の土に直接蒔くのだから、芽を折らないように丁寧に播種すれば、芽が伸び始めていても大丈夫だ。昨年の経験では、休眠期間が短かったせいか、石垣島の方が小田原よりも水温が高いのに、意外に発芽が遅かったのだ。播種前日の今日の夕方水から上げて、新聞紙に広げて陰干しをしておく。
種籾は1,さとじまん 2,はるみ 3,とよめきの3種類を400グラムずつ浸種した。それ以外にとよめきを1キロ浸種した。これは苗床田んぼの直まき用である。400グラムを一メートルに100グラム以下で蒔く。五メートルづつ3つに区分して、蒔く予定である。苗床には分りやすく立て札が必要だ。
苗床の準備は12日に水を一度落とした。13日にトンボで均した。ある程度苗床を乾かして置いて蒔く。その後の管理は芽が出るまでの一週間は水遣り程度である。発芽してきたら溜め池からわずかづつ水を入れてゆく。水は徐々に増やしたいが、どこまで増やせるかはまだ分からないが、現在の溜め池は満水状態で、溜め池田んぼにも10㎝は湛水できる量がある。
とよめきは熱研の小林先生が石垣にある熱帯農業研究所で栽培されて、作りやすいようだという品種である。一番期待しているものだ。他の2つは小田原で自家採種採取した様子の分かっている品種である。これを比較して観察して、石垣島の稲作に適合する品種を探りたい。
将来は台湾で栽培が推奨されているという、インディカ米とジャポニカ種の交配種という新品種が一番良いと思うが、日本で作らせてもらえるのかどうかがまだよく分からない。台湾は熱帯農業の先進国である。すべての分野に真剣である。
日本では稲作の新品種の研究自体が縮小された。お金にならない研究には予算が付かない。政府が主食作物よりも国際競争力のある農産物をと主張する状況ではそうならざるえないのだろう。なんとしても石垣島の気候に適合する品種を栽培したいものだ。
田んぼの準備の方は苗代田んぼと1番田んぼの1度目の代掻きが終わり満水にしてある。準備はほぼ終わった。今2番田んぼの準備に取り掛かっている。田んぼの形を作る工事が出来上がるところである。だんだんユンボの操作もみんなができるようになってきたので、たぶん大丈夫だろう。
2番田んぼのおおよその形が出来たならば、水遣りを行い。均平を出す。そして全体を平らに直して、石拾いをしながら一度土壌を固める。ユンボで行ったり来たりして基盤をしっかりさせる。そしてもう一度土壌を崩して、石拾いをする。
そこで、水を一番田んぼから落として、2番田んぼの代掻きをする。この時に水が足りなければ、2番火3番の溜め池から水を入れる。ポンプを使い1番田んぼに水を入れれば良いだろう。一番田んぼから2番へは排水路で繋がっている。
福仲先生の溜め池の作り方は神業である。溜め池を手際よくすでに4段も作った。つまり沢は溜め池が連なっている形になっている。水の増加に伴い、溜め池を増やし広げてきたのだ。3つの田んぼが耕作できるだけの水を溜められる溜め池がすでに出来た。
まったく見事である。与那国島の暮らしから生まれた知恵と、長年の経験が生かされているのだろう。毎日学んでいるところだ。水の方はもうこれで十分と思われるが、下の方に水牛の池が2つぐらい必要である。そうすれば夏でも水牛がしのぐことが出来るだろう。
田植えまでに2番田んぼの準備が出来るように進めている。今の調子であれば、来週中には2番田んぼの整備が終わりそうである。そこまで行けば、3つの田んぼを合わせて5畝ぐらいの田植えが出来ることになる。田んぼを始めたと言えるだけの規模になる。
5畝田んぼの作付けまでやれば、それなりの形になるだろう。石垣島でのイネ作りの課題も見えてくるはずである。土壌の還元化の問題。水の回し方の問題。今回の苗代では3種類1200グラムの種籾を播種した。2本植えにしても5畝の田んぼがまかなえる量である。
とよめきは1,5キロ浸種したので充分植えられる。しかし、5畝あるのならば、どこかに比較の為のサトジマン、ハルミも植えてみたい。生育を比べて見て、どの品種が石垣島に適合するかを判断したい。もう少し違う種籾を手に入れたかったのだが、田んぼ作りに熱中してしまい余裕がなかった。
今回農地をお借りする前に、崎枝の牧場跡地の土壌を検討した。シーラ原の土壌と競べて、これは水を溜めやすい土壌だと言うことが分かった。田んぼ予定地を掘っていると、粘土が出てくる。田んぼをやっていて出来た粘土ではなく、土壌にそうした地層があるようだ。
去年シーラ原田んぼを耕作してみて良かった。これなら少ない水でも田んぼが可能な土壌だと判断できた。そして湧いている水の様子を牧場に通い数ヶ月観察した。これなら田んぼが可能だと判断が出来た。これが冒険の日和見だった。
お借りする決断が出来たわけだ。この時点で可能だという人は居なかった。水がなくて田んぼが出来るわけがないと言われていた。石垣の土壌なら、天水田が可能なのだ。天水田に加えて、湧き水があれば、あとは土壌だけの問題である。
溜め池で湧いた水が、常に、溜め池田んぼ、1番田んぼ、2番田んぼと流れてゆく状態である。水の量はこのところの雨の性もあるが、不通の水道水ぐらいの水が、湧いている。この水量は石垣の土壌では二反の田んぼがまかなえる水量である。常にそうなるというわけには行かないのだろうから、流し水管理を心掛けるという範囲かもしれないが。
苗床田んぼの作り方。まず苗床予定地には糸を張る。一メートル幅に線をとり、種籾を4分割して一メートル毎に100グラム蒔く。苗床にはかなり余裕があるから、80グラム蒔きぐらいで良いだろう。残りの苗代にはとよめきを苗床の長さに合わせて、多く播くことになる。
そして60㎝苗床の脇を空けて、30センチ毎に苗床田んぼに線を張ってしまう。線に沿ってスジ蒔きをする。ここは直まきの田んぼになる。線は張ったままにして、鳥よけにする。鳥よけに出来る、ニズクリヒモを使うと良いと考えている。これは14日にすでに行った。