中国での新型コロナウイルス肺炎

   



 中国での新型コロナウイルスによる肺炎で感染者が中国国内だけで830人。死者が25人となった。致死率は低い。しかし、前回のSARSの時より感染速度は速い。まだまだ増えるはずだ。そして、医療関係者が15名が感染をした。すでに、海外でも15名の感染が見つかっている。
 一番良くないのはパニック的対応である。すでに日本にも入っている可能性はある。中国から戻った二人が感染している。少なくともそう考えて、注意深く生活する必要がある。冷静な対応こそ感染予防になる。武漢からの帰国した人を差別されるようなことがあると、感染者が隠れてしまい、より深刻な事態になる。
 残念なことに前回のSARSの経験が生かされていない。発生した武漢は鉄道と飛行機は封鎖されたが、自動車での脱出は続いている。すでに300万人以上が武漢を出たとされている。誰だって出たいと思うだろう。そのことが他の地域にも感染を広げる可能性が高い。

 新型感染症を上げれば、エボラ出血熱、エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)、鳥インフルエンザ(H5N1)、サーズ(SARS、重症急性呼吸器症候群)、マーズ(MERS、中東呼吸器症候群)、O157(腸管出血性大腸菌感染症)などがある。そしてコロナウイルスの変異。

 SARSの起きたときのデータによれば、報告症例数は、中国を中心に8,096人で、うち774人が死亡している。1,707人(21%)の医療従事者の感染した。SARSは感染経路など分からないままで終息した。

 コロナウイルスはそもそもネズミやアナグマが持っているウイルスらしい。それが変異して人ひと感染がおこるらしい。前回のSARSの時も感染状態が様々なで、特定の患者からは広がるが、感染を広げない患者もいたらしい。新型ウイルスの実態は分からないままで終息したが、同じようなことがまた再燃したという事だろう。

 中国政府はSARSの経験を全く生かせず、初期対応をすることが出来なかった。SARSの時は1か月も情報隠しをした。今回も発生した武漢では初期段階では情報を統制して、全く対応できなかった。武漢の患者の情報を流した人を処罰したらしい。そして、ことが深刻になってから武漢への出入りを制限することになった。

 中国政府の前近代的な頑迷な姿がまた浮き彫りになる。こういうところが直らない限り、中国が国際社会の仲間入りすることはできないだろう。中国から世界へと患者は忽ちに広がる。地球で生きる人類すべてが、情報を共有しなければ生きて行けない。ひた隠しにしたとしても何もよいことなどない。

 今回のコロナウイルスの変異はまだ人ひと感染力が強くはないようだが。患者の隔離以外に有効な手段はない。予防策として手洗い、うがい、マスク着用、体力や免疫力の増強をはかる、人混みへの外出を控えるという事になる。

 国際保健規則(IHR)によって、感染症が発生した場合には、当該国は責任を持ってその情報を多国間で共有しなければならないと定められている。にもかかわらず、中国のように大したことはないと考え、情報を抑えることが、世界中の迷惑になる。

 新型感染症が何故発症するかには2つある。ウイルスが変異して人間が死に至るような病気になる場合。もう一つは人間が初めて接触するウイルスとの遭遇。いずれにしても、世界の人口が増加して都市化が進んでいる。あるいはかつて人跡未踏のような場所に人間の暮らしが入り込んでゆく。発展途上国で起こりやすいのは急激な都市化に、社会の公衆衛生が追い付いていない場合が多い。

 家畜の問題ある大量飼育によって、ウイルスの変異を起こし、人ひと感染をするものに変異することもある。今回のコロナウイルスは野生動物アナグマを良く加熱しないで食べたことが直接の原因と思われる。

 かつて石垣島ではマラリアが大流行した。あちこちに水たまりができて、ボウフラが増える。ボウフラが増えると蚊が増える。人口の多い地域で蚊が増えると、感染患者を刺した蚊が媒介する。今まで人の住まなかった地域に人が入ることで、マラリア患者が急増する。

 自然界のなかにいたけれど、人間が触れていなかったであろう微生物との出合いが生まれ、新しい感染症が人間の世界にもたらされることも起きている。エイズやエボラ出血熱などはそうしたことが疑われている。地球温暖化も関係していると言われている。温暖化によって、微生物の環境が変化して、人間の生活圏にウイルスが入り込んでくる。

 日本の場合であれば、島国であるまず防疫体制である。最近の豚コレラの事例でもわかるように、海外との人間の交流の増加。物流の増加に、日本の防疫体制が完全に後れを取っている。岐阜で起きた豚コレラのウイルスが、食品に混入しているのだ。

  沖縄県で発生した豚コレラのウイルスの侵入経路を究明する疫学調査チームの検討結果を発表した。侵入経路として、国内の他の感染発生地域から沖縄に流入したウイルスを含む肉製品を使用した飲食店などから引き取った残飯を、農家が加熱しないで餌にしていたために感染したとした。

 内地から沖縄本島まで移動している。そして生きた状態で沖縄の養豚場で餌になった。これはワクチン由来という事はないと言い切れるのだろうか。遺伝子的にその点は確認できているのだろうか。このチェックが出来なくなるから、汚染国からの肉の輸入は禁止になる。

 今回の武漢からの帰国した人がコロナウイルスに感染していたことが、数日経過してから確認された。成田空港経由である。この人は解熱剤を接種していたために、熱感知が出来なかった。

 しかし、熱があり解熱剤を使っているのだから、申告してもらわなければならない。しかも感染が起きている武漢からの入国である。その義務もあるはずだ。今回は人ひと感染力がそれほどは強くないウイルス変異の様なので、大ごとにはならずに済んでいるに過ぎない。

 次回、さらに恐ろしい伝染病がやっていることは確実である。アフリカ豚コレラが来る可能性も大いにある。何とか防げているのは幸運にすぎない。一日も早く防疫体制の根本的な見直しが必要になっている。

 現状の検疫体制では時間をとれない事情があるのだろう。人員も相当に不足しているという。今の倍の人員と窓口があれば、一人に対して倍の時間がかけられる。今すぐにでもその対策をしなければ、経験のない感染症が日本に上陸してくる。

 マラリアも狂犬病も海外で感染して日本の入国する人がいる。その人が感染を広げる可能性もある。狂犬病などは水際で食い止めることが一番有効である。犬にワクチン注射をする以前の問題である。

 ワクチンがある病気ならば対応が出来るが、コロナウイルスにはワクチンはない。ワクチンのない病気が次々に出現してくる。ワクチンに頼らないためにも、日本への水際で防除する体制を作らなければだめだ。

 個人が現状で出来る対策は免疫力の向上である。どの感染症も感染する人もいれば、感染しない人もいる。その理由も解明された訳ではないが、免疫力が高ければ感染しない可能性が高い。免疫力の向上は常に感染をしていることでもあると思っている。余りに無菌状態のような環境にいれば、わずかなウイルスとの遭遇でも感染してしまう。

 

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