農の会田んぼ緑肥の報告
この文章はずいぶん前に書いてあったものだが、一応報告として新しく書き加え残しておく。緑肥の効果を考えると、後作の作物がどうなるかという事があり、いつ状態を報告すればいいのかがよくわからないまま、中途半端な報告になった。
舟原の上の田んぼではクリムソンクローバが咲いた。下の田んぼはあまり生えなかったが、先に漉き込んだ。欠ノ上田んぼでは菜の花がある程度は咲いた。大麦が収穫までできたのは初めての経験だった。後はレンゲだがそれなりの出来だっただろう。ミツバチの為もあって、畔に播いたヘヤリーベッチは後になって茂った。久野地域はどこの田んぼも緑肥の生育が悪かった。寒さだと思う。後半にきていくらか回復したが、充分とは言えない。緑肥は継続の問題で、5年の内4年よくできれば、土壌の腐植が減少するようなことはないと思う。小田原有機の里づくり協議会の実証圃場として、農の会の田んぼで緑肥について記録してきた。その中間報告をまとめるている。緑肥というものは短期的なことよりも、永続的に利用して田んぼの土壌の腐植の増加という事になる。緑肥を5年間十分に作ると、畝取りできるになる。これが実証圃場の結論である。こうした長期的な視野に立つ技術が有機農業の技術ではなかろうか。地域に美田を残すのが有機農業である。現在の有機農業基準はやっていけないことが決められているに過ぎない。やるべきことを示して初めて農業技術と言えることになる。
欠ノ上田んぼの苗床の菜の花である。飼料用からし菜を蒔いた。緑肥は同じものを継続しないことが大切だという事が見えてきた。土壌の状況に従って、麦科、菜種科、そしてマメ科。この3つを変化させてゆく必要がある。土壌の窒素分が多くなると、収量は上がるが、稲が倒れるようになる。草を抑えるという事と、土壌をよくするという事は、つながりはあるのだろうが、やはり別に考えるほかない。
大麦は毎年何故か生育が悪い。しかし、今年初めて、大麦からイネの2毛作が出来た。今のその麦茶を毎日飲んでいる。なかなかおいしい。大変だっただけの味である。緑が濃く出ているのが、ソバカスの追肥の後。このように冬の間でもソバカスを撒けば、草は反応してくれる。草が緑の色を増してくるという事は、冬の間も微生物が活動しているという事ではないだろうか。冬の間のソバカス撒きは、田んぼには良い効果を上げる。
苗床準備。菜の花が一面に咲いていて、もう花が終わりかかったところ。歩く部分だけ耕さないで、アラオコシをした。その方が歩きやすいからである。この通路部分は田植えの前日に代かきをした。
この通り、耕さなかった跡が黄色に出ている。毎年のことだが、田んぼと緑肥の関係がここに出ていると思う。二度代かきになる苗代部分と、直前代かきになる通路部分では緑肥の肥料効果が違うのだろう。苗代を作るために、菜の花を漉き込んだ。苗床では過去最高の苗が出来た。7月4日の勉強会で見た範囲では、農の会の田んぼはなかなか良い。7月21日の定時観測でも、例年通り畝取りの可能性が出てきている。天候にも恵まれている。
農の会の緑肥の実証実験は今年で終わる。緑肥の状態の違いが、田んぼにどのように影響するのかは短期間には見えないようだ。緑肥は5年10年と続けて初めて良い土壌が作れるという事とおもわれる。緑肥による抑草対策とはまた別なことになる。