パナマ文章で揺れる世界

      2016/04/19

パナマをタックスへブン地として利用していた世界の権力者たちを、公開した文章がパナマ文章である。自国の税金が高いと考えより安い地域に逃れて、税金の安い国に名目だけの会社を設立して、そこで取引をしている事にする。これは活動拠点の土地から脱税をする行為である。OECDは法人税減収額を年間2400億ドル、世界全体の法人税収の約1割としている。日本も法人税を下げないと、企業が海外に出てゆくという政府の主張の背景にあるものである。企業は活動した国で税金を納めることが、近代国家の根幹である。租税回避は資本主義経済を崩壊させるものだ。もし法人税が高いから日本から出てゆきたいと考える企業はさっさと出て行けばいい。そして、そうした企業の日本での活動を禁止すればいい。租税主義は民主主義国家の根幹である。国民が税金を納め、国は税収によって運営される。

納税の義務とその使用目的を見届ける事が民主主義政治の在り方である。企業が日本の地域で活動を行う為には、教育、医療、道路であれ、港湾であれ、様々な公共投資の恩恵を受けている。消費者は日本で暮らしている人々である。日本の地域から利益を上げたとすれば、日本に納税することが義務である。それを法人税が高いから、名目だけの本社をパナマに移すとすれば、それは犯罪である。法律が不十分であるがために、そうした抜け道を利用する企業が登場する。そうした抜け道を良しとするような、姑息な企業にはさっさと出て行ってもらえばいいのだ。その方が日本の社会が健全な社会になる。アベ政治はそうした悪筆な企業も温存しようとしている。法人税を引き下げるなど、アベ政治は企業だけに恩恵を与え続けている。そうしなければ、企業が海外に逃げてしまうなどと国民を脅している。そうした活動地域を大切にしない企業は、日本国民が購入をボイコットする以外にない。法人税を下げるなど、国の財政がこれほどひどい状態において、とんでもない話だ。

消費税は上げ、法人税を下げる。これがアベ政治の本質をよく表している。政治の方角は入りと出を見れば本質がわかる。この結果何が起きているかと言えば、格差の拡大と子供の貧困である。日本はアメリカ以下になったという。貧困層の固定化である。景気は一向に回復しないが、企業は儲けを増やし、内部留保は増大を続けている。法人税を下げる理由など全くない。しかし、アベの背景に存在する、利権集団は企業グループが利益を上げることで、日本経済が活性化すると言い続けている。安保法案も海外での企業活動の保護が直接の目的である。海外での企業活動の保護を自衛隊が行うという事は、企業の警備を自衛隊が税金で行うという事である。自衛隊はセコムではない。企業が警備を行いたいのであれば、自費で警備会社に頼めばいいのだ。当然のことだが、海外での企業活動分の税金は、その地域に税を払う必要がある。その分まで日本で税を納めるという必要はない。

企業の脱税には甘いのはアベ政権だけではない。日本の報道機関は企業に配慮して、企業のタックスへブンを問題として取り上げない。パナマ文章では政治家が話題になっているが、それは権力者の汚職問題である。むしろ重要なことは、国家と企業の関係を明確にする機会にすべきだ。国家が法人税の値下げ競争をして、企業を誘致するという事は、資本主義経済を崩壊させることになる。自由競争と国家の関係を議論すべきだ。韓国出身の、あるいは中国の企業であれ、日本で活動した利益は、日本に納税する。同時に韓国、中国で出た利益は当事国に納税する。このルールを明確にすべきだ。TPPが締結される前に、納税と国家のルールを各国間で明確する必要がある。国家を超えた取引が増大して、このルールがあいまいであれば、国というものが崩壊しかねない事態が待っている。企業はアベ政治を牛耳っている。そのために企業の目先の利益追求ばかり打ち出している。日本がどうなっても企業が利益を上げられれば構わないという事になっている。

 - Peace Cafe