土砂災害危険個所公表せず
2016/04/19
新潟県加茂市では土砂災害危険個所が1年間公表していない。新潟県の調査内容について、地元加茂市が納得しないために公表が出来ないでいる。報道はその内容を確かめず、公表を抑えている加茂市を悪者扱いである。とんでもないことだ。この土砂災害危険地区の調査の実態を知れば、当然待ったをかけなければならない。何故調査報道をしないのだろう。神奈川県の調査の実態から言えば、県の職員の目視で間違った判断がされている。県の職員と言っても土砂災害の専門家という訳でもない。話を聞いていても専門的知識も全く不十分である。私は4回県土木の職員と土砂災害危険地区について話しを聞いている。例えば、舟原地区と同様の事例で、実際に土砂災害が起きた事例を教えてほしいとお願いした。3か月待った回答が、何と分からないという事だった。久野川上流部の雨量計の位置ですら、箱根という事で。私が指摘するまで何年も間違ったままだった。調査の実態を知れば、誰でも驚くような杜撰なところがある。
土砂災害危険個所の指定は実際に土砂災害が起きた時、指定がないと報道から批判を浴びるので、ともかく適当に指定をしておけという事が主目的になっているのではないか。指定の内容を問いただすと、基準は国が決めたものということで内容までは示さない。土砂災害が起こるだろう沢などの起こる扇頂部から角度2度という事になっている。これが傾斜角度を勘案しないために、全く実態を反映をしないのになる。地図上でそうしたところを探して指定している。その為に、どう間違っても土石流が流れ落ちるはずもない所にまで指定をしている。沢の深さを無視する理由については何度聞いても分からなかった。つまり流れ落ちる沢の深さと上流から流れ落ちるだろう土石流の量からして、私の家の高さまでどうして土石流が来るのかがわからない。私の家が、がけ崩れのほうの危険個所ではなかろうかと考えている、ところがこちらはそうではないというのだ。これもまた分からない。細かく問いただすと、分からないという回答である。土砂災害、がけ崩れの実態を反映していない。
加茂市は立派な対応である。住民に知らせる前に、県に任せるのではなく、自分たちの調査を行い、現地の細部を精査すべきだ。県に任せておくのは良くない。地域のことがわかるのは、まず地元の住民である。現地の聞き取り調査など十分に行い、実態に即した指定を行う必要がある。小田原市に至っては、県の言うことを精査もせず、従っているだけである。小田原市に質問しても県に聞いてくださいというだけになる。つまり責任は県にあるのだから、関係ないという態度である。神奈川県の態度は国からやれと言われたので、やってはいるが十分職員がいるわけではない、予算もないから、現地調査と言っても目視程度しかできないという事である。基本は地勢図から計算上の危険個所を探し出し、現地確認をするという程度のことだ。結果危なそうなところは広めにとっておけという事になり、状況から言って到底あり得ない指定がなされている。
土砂災害の危険個所の指定はやるべきである。災害列島に住んでいるのだ。徹底した土壌の調査を行い、がけ崩れ、土石流災害を十分に調査する必要がある。そしてやる以上最新学問の知見に基づき、科学的な姿勢で間違いなくやるべきである。科学的でない指定では、100年先に必ず笑いものになる。舟原の指定では杞憂である。天が落ちてくるという事を指定しておけば、もしかして天が落ちた時に責任を足らないで済むという事なのだろう。確かに災害が起これば行政は批判される。補償もしなければならない場合もあるかもしれない。だから危険個所の指定を出来るだけしておけという感覚になる。しかし、科学に基づかない対応をしていれば、オオカミ少年になる。現在行われている地域の防災は、本当に災害の起きた時の防災にはなっていない。