柿酢の作り方:2015
柿酢づくりをやった。と言っても庭の富有柿が熟したので、それをもいで入れただけである。30分ぐらいの物だろう。これだけのことをやっておけば、2年後お酢になっている。毎年のことで新しいことはないのだが、やってみたが上手くゆかなかったという人の話を聞くことが重なった。なぜ失敗するのか、気づいたことがあるのでまず書いておく。それは柿から果汁が染み出て、その液体に全体が浸るまでにカビさせてしまうということのようだ。最初の1週間の状態で悪くなる。そのためには熟柿柿が良いということになる。木で熟すのを待って、そのまま瓶に入れるだけである。ふたは密封している。ときどきビンを振り回して、早く液が全体に上がるようにする。上がらなくても液が被るようにする。中では小さな泡が少しづつ湧き上がっている。液は濁っている。今日の様子では、ほぼ上の線まで液が来ている。つまり1週間ぐらいで液が覆ってしまう方が良いということなのだ。写真では15と書いてあるが、16日の雨の後に仕込んだはずだ。強い雨が降って、柿がきれいになった後にやることにしている。
こちらが去年の物である。暗いところから出してきて写した。又すぐに戻した。柿酢を作るのは本来光は良くないと考えている。だから壺で作った方が良いのだが。中の様子が良く見えるように、瓶でやって見ている。ついでだが下に敷いてあるのが、柿渋染めの結城紬である。ムラがあるのは意図的なもので、何度か洗いながら落ち着くように考えている。去年の柿酢はすでに完全にお酢になっている。前の物を使っているので、もう一年暗い所に置いておく。上部にこんにゃく状の物ができるのは、光と酸素の影響らしいという経験を聞いたので、早速暗いところに置き変えて、蓋は密閉している。こんにゃく状の物が出来たからと言って、お酢がだめになることはないのだが、今は出来ない方が良いと考えている。一年物のお酢の味は、2年物より少しきつい感じがあるが、柿の果物感はむしろ残っている。だからこの段階で使ってもいいとは思う。ドレッシングに使うならこの方がおいしいかもしれない。
柿のヘタは昨年は取ったが、今年はそのままである。おととしもそのままである。今年の試みとしては、富裕柿で作ったということだ。何しろ今年は柿の当たり年で、あちこちに大量に実っている。食べきれるものではないので、甘柿の方を柿酢にすることにした。渋柿の方は下に敷いてある布を染めた柿渋になってしまった訳だ。絞った柿渋も縁の下の暗いところにしまってある。1年たった柿酢も同じである。ときどき味見をするときだけ蓋を開ける。その程度の酸素で十分だと考えている。ふたを閉めたまま、瓶を振ってかき回す程度である。棒を入れてかき回して作るような方法は時間の短縮法なのだと思う。ゆっくり時間をかけても構わないと考えれば蓋をしたままの方が良い。まあ、発酵で蓋をするのかどうか。かき回すのかどうか。この辺は良いものを作る分かれ目である。ただ醤油の経験で密閉方式で3か月に一回ぐらいのかき回しで良いものが作れる経験をしてから、密閉の良さを考えるようになった。そういえば、私は味噌づくりでもかき回すことはしない。
自給生活は手間をどれだけかけないかの工夫だと思う。あれこれ面白いことがあるので、全部に手間をかければきりがない。上手く手抜き法を工夫するのも大切である。雑菌を必要以上に畏れて、消毒だ、手を洗えと、瓶は熱湯消毒だなどと、神経質になるなら面倒なことになる。ちなみに瓶は日に晒してからしまう。気楽に、ダメでもともとぐらいの気分でやってみる。発酵の感触を知れば、雑菌など畏れることはないということがわかってくる。問題の一番は、保管する環境だと思う。鶏の餌の発酵を町場でやると失敗事例が増えるということに気づいた。山の中でやれば、失敗が減少する。町場にはよい菌が少ないのだろう。だから、除菌とか、衛生管理とか、神経質にならざる得ない。自然の調和というものは微生物が司っている。そいうことを教えてもらうために、お酢を仕込むわけだ。自然の持つ時間の経過と、自分の時間との波動を合わせて、命移ろいということを感じる。
追記 ——瓶がいっぱいになるほど、柿を加えた。そうしたら泡が上がっていたので、あふれ出た。それで200CCほど取り出した。まさか水位が上がるということはどういうことだろう。柿の中に気泡が出来ているのだろうか。取り出した液をなめてみたが、なんとなく酸っぱいような。