法制局長官の適格性
東伊豆海岸 10号 相模湾を初島の方向を見ている。
法制局長官の小松氏が交代する。次の人事は重大なことになる。内閣法制次長の横畠裕介氏のようだ。この人は検察出身者で少し期待が出来る。もし、法制局長官が厳正な法律家であれば、憲法のゆるぎない解釈をしてくれるはずだ。現状の社会情勢から、憲法の解釈を変えるなど、法律家にはあり得ないやり方だ。法律が時代に適合しなくなるということはよくある。その時は法律の方を変えることになる。憲法は法律の上位に位置する、統治の原理であり、方向を示している。万が一、時代にそぐわないのであれば、憲法は改正される。憲法の改正は96条に明記されている。現状で日本国憲法が時代にそぐわなくなっていると考えているのは自民党である。先祖がえりと考えた方がいい、憲法草案を提案している。憲法の解釈は一つであり、変えがたいものである。憲法を都合によって、時の政権が変えるようでは、世界から信頼されない国になる。法律というものは、存在する以上命がけで従うというのは、ソクラテスのいう悪法も法なり、ではないか。
その意味で、安倍人事で法の解釈を変えられるというのは、全くひどい話だ。法律家は信念を持って、法の番人でなければならない。法制局は法律の専門家としての、歴史に恥じない解釈をしてもらいたい。憲法学者の中にも、日本国憲法の平和主義の解釈に置いて、集団的自衛権を認めているという人がいる。全く驚くべき学問である。集団的自衛権の解釈の拡大は、同盟国、あるいは友好国が戦争状態の危機に陥った時に、自国の危機と同じと考えて、日本も戦争に参加することができる。と言う驚くべき解釈をしている。国際紛争を武力によって解決しないと、憲法は定めている。何故、戦争に参加できると解釈が出来るのか。まともな学者であれば、憲法を変える必要があるとい言うべきところだろう。日本国憲法はまさに平和憲法である。積極的平和主義というのは、戦争によって平和を導き出す。つまり、国際紛争を武力によって解決しようとう考えである。
維新の会は憲法改定して軍事力を保有する国家を目指している。その為に、隣国との軋轢をわざわざ作りだしている。これは、安倍政権と連動しているのだろう。軍国極右政策の党として存在し、安倍政権がまだ穏健な政党であるかのように幻覚を作り出そうとしている。石原氏の尖閣購入事件。棚上げして、友好関係を作り出そうとしてきた、長年の努力が無になってしまった。あれ以来中国との関係は、一気に悪化した。そして、従軍慰安婦に関する橋下発言。相手の感情を逆なでするような、河野談話をこれまた無にするような発言。そして、安倍氏の執拗な靖国神社への参拝。どれもこれも、近隣諸国をいきり立たせるために行っている。そして、安重根の記念館の様な、反日行為がエスカレートする。当然、日本側は弱腰外交だ。武力的対応が必要だ。こういう世論が強まってゆく。これはすべて憲法改定の為に演出されたものだ。
法律をつかさどる人たちは、こうした世論の動揺に、一線を引いていなければならない。前任の小松氏が外交畑に長年居て、憲法に歯がゆかったことは理解できる。憲法を変えたかった一だろう。しかし、変えられないなら、解釈の変更で対応するしかないという考えを持った人だった。今度の法制局の長官はどうだろうか。安倍氏のことだから、解釈の変更を認めないような人を長官にする訳がないとは思うが、まともな法律家であることを、祈っている。本来であれば、一人の人が法解釈するのでなく、最高裁判所のように、憲法判断について、複数の人が合議を持って多数決で示すべきではないか。今回の憲法解釈の変更問題は、それくらい日本の未来にとって重要な判断である。政治の都合で憲法解釈が揺れ動くようでは、まともな国家とは言えないだろう。