秘密保護法の教訓
秘密保護法国会は、今後の国会運営の小手調べだろう。自民党が選挙で多数派になり、国会はねじれが解消された。一方野党の方は、一向に再編の気配がない。ぶつかる前に砕け散っている。選挙の投票に於いて、自民党が圧倒的に勝利した訳ではない。比例代表の得票率27.6%だった。この政党が、国民に圧倒的な支持を受けているような錯覚が起きていないだろうか。小選挙区制と、公明党との連立という、離れ業でかろうじて政権を維持している。もし、野党が連合することが出来ていれば、全く状況は違う。民主党は政権党の時に、政府の運営に失敗をした。官僚をはじめとする行政と、離反が起きた。いずれ政権から追われる政党に、同調する官僚や行政職員が居るわけがない。こうして追われた民主党をはじめとする野党は、分裂し、さらに破裂し、求心力がない。秘密保護法国会に於いては、維新の会やみんなの党は自民党にすり寄り、結局見捨てられた。
へんてこ野党は政権党にすり寄ることが、自党の有利につながると思いきや、圧倒的な世論の傾向は、秘密保護法を否定する方向に進んだ。みんなの党の党分裂は、この世間感覚との認識のずれにある。自民党は餌をばらまいたのだろう。渡辺氏に対して、行政改革について、ずいぶんおべんちゃらを発言していた。行政改革相のポストぐらい匂わせたかもしれない。機を見るに敏な橋本氏は、世論をよく見ていたと思う。いずれ、自民党の寝技は巧みで、野党を上回っている。このままでは野党は統合へは進まない。第2、第3のへばりつく公明党の出現の方が可能性が高い。国会的には、すでにそういう状況に進んだ。自民党は今回の秘密保護法国会の成り行きの観察で、どのように運営すれば、集団自衛権問題を上げられるかを探っている。反政府的な行動を、すべてテロとみますよ。これは、自民党が発信したのろしである。反原発では、若い人たちの多くが、デモに出掛けるようになった。下手をすると、ファションになるかもしれない。
案に、自由な考え方に抑圧をかけたのが、秘密保護法の唐突なやり方だろう。就職差別もあるし、公務員の身上調査もやりますよ。政府としては、デモに出るような人間は採用しません。秘密保護法ではこういう調査もすることになっています。たぶん企業の方にも、情報は横流しします。就職には熱心な大学生に対して、大学が昔のように反政府の拠点になることに、黄色信号を点灯した。安倍政権の本質は戦前の社会の再現を志向している。そういう瑞穂の国を示している。軍隊があり、特高警察のある社会が点滅している。まさか、亡想だろうと思うかもしれないが、そうでなければ日本が国際競争で勝てないと、本気で思いこんでいる人が結構いる。明治の富国強兵時代と何らその点では変わらない。中国、韓国に経済で追い込まれて、国家主義が庶民に再燃してきている。戦前の社会も経済で追い込まれたことが、軍事力競争に向かうことになった。植民地を広げる政策が経済的な困窮を生んだ。
野党の再編以外に日本の政治がまともになる道はない。野党は現状を反省し、建設的に日本の将来を考えるべきだ。自分の権力志向を捨てるべきだ。本当に日本のことを考えるなら、野党としての価値を再認識すべきだ。現在の野党は、何とか自民党にへばりつこうとあがいているとしか見えない。民主党の失敗を踏まえた、成熟した野党の統一以外に、日本の政治は良くならない。現状は自民党が小選挙区制によって、一色になってしまった。異分子の存在できない政党になってしまった。だからいまさら、小泉さんが目立つような状況なのだ。次の選挙で自民党に投票しなければ、あっさりと変わる。消費税が実施され、格差社会はさらに深刻になる。TPPが結ばれ、大企業だけが有利に国際展開し、生き延びることになる。競争社会、能力差別社会。これでは幸福社会は遠のくばかりである。弱者の側に立つのが、野党の役割のはずだ。