自民党の農政転換の評価

   

2013年産米の全国の作況指数(15日時点、平年=100)が、2年連続で「やや良」の102になった。主食用米の作付面積は152万2000ヘクタールと前年から2000ヘクタール減少する見込み。主食用米の予想収穫量は、前年実績を3万5000トン上回る824万5000トン。予想収穫量に今年6月末の民間在庫226万トンを加えた年間供給量は約1050万トンで、今年7月〜来年6月末の需要予測の786万トンより約260万トン多い。これが今年の稲作の結果である。平均の反収が543キロ、おおよそ9俵である。日本の稲作農家が、気象の大きな変化の中頑張っていることが分かる。日本の気候条件で、いい加減にやっていて9俵平均は間違っても取れない。しかし、豊作貧乏というが、お米が260万トンも余るようでは値下がりが予想され喜べない。その内、備蓄や来年への在庫を除いたとしても、農水省が7月に公表した需要見通しの786万トンを38万5千トン上回ることになる。単純計算なら、稲作農地が7万ヘクタール余分ということか。しかし、作況指数が98ぐらいになれば、カツカツともいえる。

政府はコメの生産調整に参加した全農家に配っている補助金を2014年度から半額以下に減らす方針を固めた。作付面積10アール当たり1万5千円の支給額を減額し、将来無くすとのこと。その分の支給先を大規模農家にして奨励する案のようだ。飼料米推進のために、10アール当たり、8万円の補助を出すというが、これならやってみたいと思う。しかし、こういう補助金がいつまで継続できるものでもない。補助金の削減で浮いたお金は、山間部などの農地の維持を目的に14年度の創設を目指している交付金「日本型直接支払い」に充てる等と本当かというようなことも、加えている。減反を正式に始めた1970年の頃は、米所の北陸金沢に居て、米農家の友人が何人もいたから、減反の問題点はよく話した。2012年度までの41年間で、麦や大豆などへの転作補助金の累計として8兆2千億円になるそうだ。これは生きたお金になったのだろうか。無駄なコンクリート公共事業と同じで、地方を支えた費用ということになるのだろうか。転作奨励金で、本気で稲作農業をやるという気持ちが、おかしくなってしまったことだけは確かだ。戸別所得補償の方がもっと農家の気持ちをダメにするのだろう。

豊作になれば、大量に余るお米。余るから減反政策を進めた。しかし、人口の減少、お米の消費の減少もあり、さらに余るようになる。政府は競争原理を持ち込むというのが、基本的な方針のようだ。国際競争力を持つ稲作として可能な、大規模機械化できる地域を中心に、生産性を上げてゆく。そのために、企業参入の条件緩和や、企業農家への補助金の支給。農地法の改定を進める。一方に、山間部などの農地の維持を目的に14年度の創設を目指している交付金「日本型直接支払い」を進める方針である。実はこれは整合性のある様で、今後大きな課題を残している。どこの農地は守り、どこの農地は辞めさせるのかが、調整がついている訳ではない。例えば、神奈川県の稲作は、大規模化できない。山間地というような場所での稲作でもない。それでも神奈川の農家は副業の収入が大きい。簡単に稲作を止めないだろう。日本型直性払いというような補助金政策が、矛盾の先送りになる可能性もある。そこで農地バンクである。これも政府の方針にあるようだから、こちらの具体案を先に出さなければ、進めることができない。

維持すべき農地を農地バンクが、預かり、貸し出す制度の整備である。この貸し出す価格を耕作可能価格に調整する。景観、環境維持のために、瑞穂の国を守るために、守るべきだとする農地は、耕作可能な価格で貸し出す。お金を付けて貸し出す農地も存在するということになる。環境に従う伝統的農法に限定する。農地バンクが機能するためには、神奈川県のような、大規模化はできないが、環境維持や洪水調整としては、田んぼは必要である都市型の中間的地域の問題が残される。日本国内の食料の余剰は世界の食糧事情を考えれば、幸運な特殊例である。世界には飢餓の国が増えている。食料援助を考える必要が増している。現在日本は1500億円程度の食糧援助を行っている。転作補助金と同等である。その分政府が買い取り食糧援助に回すことはできないのだろうか。

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