軽減税率をごまかすな。
政府は消費税導入時には、軽減税率を導入すると説明していた。野党時代の自民党は民主党に軽減税率を主張した。ところが10%になる時に考えればいいのではないかというような、ごまかしを、最近は匂わせ始めている。消費税によって起こる、弱者対策はやらないと決めているようだ。軽減税率をやらないというなら、やらない方法もある。いずれにしても、所得格差対策を考えることは約束のようなものだ。普通に考えれば、食料品の除外である。現在食料品でも5%の消費税は課税されている。この機会に一切の課税を止めてしまえばどうだろうか。食料品は値下がりする。人間が食べる量は限界があるから、平等とは言える。又、一番簡明な手段になると思われる。高級食材がどうなるか。キャビアやトリフまで食料品かという問題である。そんなものは嗜好品であり、食料品とは呼ばない方がいいと考えたらどうか。この線引きは業界からの反発もあり、難しい事ではあるが。政府が格差対策を示すという意味で、明確にラインを引き、法の網の目を細かくする以外にない。
軽減税率をどうするかは、広く議論をすべき重要な政治的課題だ。野党はどうなっているのか、発言が弱い。積極的に案を作り政府に突き付ける必要がある。食品については現状維持より、消費税撤廃の方が分かりやすい。食費は月1人2万円とか言われるが、実態はかなりの幅があり、よくわからない性格のもののようだ。消費税が10%になれば、年間で24000円となる。この分がなくなれば、所得格差対策になる。それでは消費税が不足するというなら、法人税を値下げしないことだ。せめて食品の中の主要品目と決めることはできないか。このあたりの調整を、国会で議論する必要あある。共産党などは消費税反対に傾いて、軽減税率をあまり主張しない。民主党はほとんど消費税論議を避けようとしているかに見える。そのほかの政党も消費税反対にとらわれている。民主主義は自分の主張とは違う政策を受け入れて、少しでも良くするという姿勢がなければならない。
消費税軽減税率の問題は、基本的な国の成り立ちと、連動して考える必要がある。日本の食糧をこの先どう考えるのかという、大議論と結びつける。これは国土保全から、日本の国の経済の方角を定めることでもある。幸い、安倍氏は瑞穂の国、美しい日本という、大きな枠を主張する国家主義的傾向のある人だ。遠慮せず、どんな国が望ましいかの議論を展開してもらいたい。その中では、今後の社会福祉の在り方。食糧生産。国土保全。財政赤字の解決。グローバル企業と法人税の問題。重要な問題が山積している。それらはすべてつながっていることである。総論から議論して行くことで、国民全体にも方角が見えてきて、力を合わせることが可能になる。今、絆とか言われても、どう連帯して行けばいいのか、何がこの国にとって望ましいのか、霧の中にある。
食料品等に対する軽減税率の導入問題 髙田 具視税務大学校研究部教授が、国税庁のホームページで食料品の導入について、研究を書かれている。ここでも結論として、10%になった場合には、食糧品の軽減税率は必要であると書かれている。複雑化する原因は食料品だけ、5%にとどめる場合である。それよりも、食料品は税対象外にした方が簡素化できる。それに税が足りなくなるのであれば、消費税をさらに上げるほかない。消費税の名前の通り、消費するものに対する税だ。食料は消費しているのではない。土地取引、住宅の貸し付け、学校教育や社会福祉事業等によるサービスの提供、にはかからないはずだ。この考えをもう少し広げれば、食料品の例外措置は、法的な精神からも可能なはずだ。