水彩人の画集

   


撮影の様子

水彩人では画集を作っている。掲載作品の撮影を昨日13日に行った。アートラインという会社の倉庫である。東京の足立区の谷在家というところである。日暮里から舎人ライナーという案内軌条式鉄道というもので行った。高いところを不安げに走るものだが、モノレールやケーブルカーとも違う。どうなっているのかはよく分からないが、自動走行で運転している人もいない。行きはともかく案内地図に従い、それで行ったのだが、帰りはバスにしようと思った。谷在家というところはもちろん初めてのことだ。足立区というところに出掛けたのも多分初めてだと思う。東京と言っても全体が新しくできた地域のようだった。名前を良く聞く大型店舗と新興住宅地が組み合わさったようなところで、便利で都会的な暮らしがある。畑は残っていないかと探したのだが、一か所それらしきところがある位で、あいた空間と言えば、公園であった。

その道路公園に接した、便利の良い、環境も良いところにアートラインはあった。いつもここから小田原まで作品を取りに来てくれていたのかと思うと、感慨深いものあった。家からだと、2時間30分はかかった。ちょうどそろそろ撮影を始めますというところであった。私は特に役割がある訳ではなかったので、すべての作品をチェックして、全体を把握くして置く。同人が18名。会員が18名。36枚の作品を撮影した。今年は15回展ということで、5回ごとに画集を出すので、3回目の画集ということになる。36枚の多様な水彩画が並ぶことになる。水彩人の水彩画とはどういうものなのか、この画集を見ていただけば、その意味はほぼ理解してもらえると確信した。絵はそれぞれのものだから、反応するものもあれば、理解しがたいものもあるだろうが、水彩画というものを考える上では、間違いなく参考になる画集である。一般に公募展にある図録というものとは、少し違う。

水彩画を制作する上での参考図書と考えてもらえるようなものになっている。これから印刷にかかり、水彩人の初日、9月25日までに画集は出来上がる予定である。気生堂印刷が撮影、編集、印刷をやってくれる。水彩画は最も印刷が難しい。透明感と微妙な色のニュアンスが、作品の大きな要素になっているので、どこまで仕上がるか不安でもあり、楽しみである。18日に最終調整がされることになっている。売価は1800円くらいになるが、これでも採算となると難しい。我々のような小さな組織で画集を作ろうというのは、なかなか難しいことであるのだが、展覧会はという京都美術館まで来てもらわなくてはならないが、記録を残しておけば、必ず役に立つことがあると考えてのことだ。

作品は一通り見せてもらい。なるほどここまで来てさらに進化するのかと喜びの驚きのある人が、何人かいた。変化のない人もいた。悪くなっていても挑戦している人の方がいいのだが、悪くなるというより、衰える作品であり、人であるということも感じた。一般に50歳くらいをピークで作品が衰えてゆくというのが、普通のことだと考えている。人間というものがそういうものだからである。しかし、本当に優れた作品は80歳を越えての晩年に描かれていることが時にある。それが本当の絵であり、天才なのだと思う。死ぬまで50歳レベルを継続出来れば、すごい努力の人だ。良い努力をすれば、平行線ぐらいは保つが、その程度である。私が見たいのは、お釈迦さんのような人が晩年到達したところで、描いた絵である。村山槐多のデッサンのように、若い天才だから描くものもある。しかし、私が見たい絵、描きたい絵は最晩年に到達した人間が絵とし残されているものである。

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