復活・土地改良事業
農業予算の中に土地改良事業というものがある。自民党が政権を取ったので、この予算が復活倍増すると言われている。言葉通りであるなら、土地改良は農業にとって必要なことである。しかし土地改良事業の名のもとに、膨大な予算を注ぎ込み農業が衰退したという現実がある。長年の悪弊で、行政や農協と癒着した業界の体制が出来上がった。事業仕分けでは、事業効果の低さが、目的外の事業指摘が相次ぎ、廃止された事業も多々ある。例えば、私の家のそばにある。小田原から南足柄の山麓を抜ける広域農道は、みかんなどの農産物の輸送の為となっている。この道路を特別に農業者が利用しているというようなことは無い。実際には朝夕だけ交通量が急増するような通勤道路である。しかし、この事業が廃止と言われた途端、小田原市では抗議をしていた。道路が必要なら、農業予算で行うべきではない。農業予算なら取りやすいのでというご都合主義が、悪い慣習を作り上げた。
農業生産基盤整備事業:かんがい排水事業(農業用のダム、頭首工、用排水路、用排水機場の整備)、経営体育成整備事業(ほ場整備)、畑地帯総合整備事業農村整備事業:農道整備事業(広域農道・一般農道・農免農道)、中山間総合整備事業(生産・生活・環境交流基盤の整備)農地等保全管理事業:農地防災事業(防災ダム、ため池等の備)、農地保全事業、土地改良施設管理事業(維持管理)とずらずらと幅広くなっている。例えば、復興予算が使えきれないので、原発輸出推進予算まで、復興予算に入れ込まれたように、土地改良予算が、農業予算の莫大な増額が、FTA対策として行われる。すると直接の農業振興では使う範囲が狭いので、訳の分からない農道飛行場などというものを作る。干拓事業も当初は農地を作り出すはずが、結局はコメ余りで有効利用がされない。農道を作ると言う名目で、農業予算で作られた道でも、一般道として使われることの方が普通である。
山の中に立派な建築物がぽつねんとあって、看板を見ると、中山間地交流拠点などと書かれている。ダム建設でも、農業用水とは言えないものが農業予算からつくられたものは多々ある。自民党的予算分配法の温床であった。今回自民党が復活したので、早速土地改良事業が大規模になるらしい。土地改良事業の適性判断は、当然会計検査院が行うとされている。しかし、実際は費用対効果という事になると、適正に運用することは困難なことだとされている。伊藤大一埼玉大教授によると、費用対効果が生産の増加だけでは判断できないうえに、社会的な意味の特定が難しいとしている。政策の意味付け自体が幅が広すぎると言うことらしい。離農抑止効果を政策目標に挙げることが正しいのかどうか。
諫早湾干拓事業は無意味な土地改良事業となった事例である。1950年当初の目的は食糧増産に始まり、水田開発である。計画が具体化する頃にはどこの干拓事業も米余りが問題になる。灌漑(かんがい)用水の確保や優良な畑地の開発に目的が変わる。さらに農業的な利用者が見込めなくなり、89年の着工前には目的は水害防止が中心となる。実際には漁業者からの反対もあり、何のための干拓事業であったのかもわからないのが現状である。結局は漁業者からの訴訟で国は敗訴した。公共事業による税金の使い道は分かりやすくなければならない。必要な事業であるなら、その分野の事業として行えばいい。いかにも農業振興と言いながら、農業的効果が検証されないのであれば、農業ばかり無駄な税金を使っているかに見える。景気浮揚のために、地域の土建業の為、地域の雇用確保のために、不要不急の事業が行われるような状況ではない。
昨日の自給作業:竹伐り1時間 累計時間:18時間