中国の多様性

   

中国は経済成長が鈍化してきたという事が言われる。GDPの数字が7%代になったというが、中国の統計的数字は、どの程度実態を表しているのか分からない。それほど正確なものは出されているとは思えない。むしろ意図的なものかもしれないと思う。中国は広く、多様である。中央政府が全体を統括しているかに見えるが、その実態は地方ごとに様々であるにちがいない。特に地方幹部の腹の内は、複雑に違いない。常に権力闘争の中にいると考えられる。経済発展と言う手柄を立てて、中央政府における権力を登ろうと考えている。そして、一般人民はある意味白けながら、ある意味利用しながら、日本人とは比較にならない位に、多様にしたたかに生きている。深く打算的であり、深く哲学的であり、そしてまた、その日暮し的な不可思議な場当たり的な生き方。この先日本人がいかに単純で無垢であるかを思い知るのではないだろうか。

地方都市の園芸市場に行ったことがある。日本の比ではない規模。複雑で多様で、幅広く、一人ひとりが、流行に流されない感じがある。伝統的なものを維持しながら、自分の感性を維持している。禁止され居なくなっていたはずの金魚や小鳥も忽ちの復活である。園芸趣味にも、奥深い伝統文化が横たわっていることを感じた。生き餌の多様さに驚く。父は7年間兵隊として戦中の中国で暮らした。民俗学を学んでいたので、その学徒の目で中国人と言うものを見て見ようと思ったそうだ。そう言う兵隊は少なかったらしいが、中国語はすぐ覚えた。長沙市の学者の話を良くした。3人の子供を3つの政府に帰属させた人の話がある。国民党政府、毛沢東革命軍、そして日本軍。現在日本の報道では、愛国と反日が中国全土を覆っているように言われるが、日本人的感覚では誤解をする。チベットを擁護する中国人もいれば、ソビエトを評価する人もいる。単純ではなく先の先を読むのが、中国の人である。

尖閣問題も意図的に強調されている。今これに乗ることが中国の利益であると考えているに過ぎない。もっと有利な発想が出来れば、領土などすぐに放棄する。中ソ国境はあっけなく解決した。むしろ何故、現在の状況で日本との対立を強調しているかである。日本をアメリカに対して秤にかけているのではないか。アメリカが本気で日本との同盟を考えているのか。距離を計っているかに見える。中国は中華思想である。アメリカを超えたいのである。それこそ一番でなければならない思想。そして、この中国共産党政権の政策はまるで、皇帝のような考え方である。日本も朝貢するなら認めてやろうという政権の思想。中国の人たちはそれほど一辺倒ではない。中国がこの高度成長の中で、失いつつある伝統的な文化をどうして維持すれば良いか真剣に考えている人も多い。その意味で日本を失敗事例として良く良く研究している。しかもその失敗の中で、生き延びようとしている技術や、生き方を十分に評価している。そうした人たちは、経済優先の現政権の考え方の限界を見て、いつか自分達が養っているものが生かされる時が来ると、しぶとく考えている。

今中国政府が、反日的な行動に出ているのは、もう日本の経済進出が要らなくなったからである。日本企業の利用期間が終わったのだ。全体としては日本に対して企業進出をお願いしていた経済状況に、終りの時が来た。中国は日本に学んだ、そしてその問題点を十分認識したから、日本と距離を取ろうとしている。日本の成功方式を、規模を数倍にして実行しようとしている。しかし、日本のずるずるした危うさを、日本以上に感じているのだろう。日本企業は中国を市場であり、安い労働力のある地域と考えてきた。中国は外国の食い物にはされたくないと考えている。市場であると言う事を武器に、世界一の経済大国に本気で成ろうとしている。その可能性もある。また崩壊する可能性も高い。危うい綱渡りの中にいる。日本は中国を崩壊させてはならない。2国間のきちっとした経済協定を結ぶことである。東アジア経済共同体をもう一度考えるべきだ。

昨日の自給作業:小麦の播種2時間 累計時間:19時間

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