小沢排除の不気味
小沢事件が小沢失脚を狙った、政治的なものであることは、ほぼ間違いがない。総理大臣を狙うような政治家には対抗する者が居る。小沢氏の方向性は脱官僚主導であった。各省庁の伝統的権力は小沢氏を、相当手ごわい存在と見始めていた。だれかが逆襲に回り成功した。マスコミ全般に反小沢が浸透しているのは、何か背景の力の大きさを感ずる。官僚に従わず、政治を進めるには、それだけのブレーンが必要である。選挙に強いことが要件である。それら為には、お金が必要となる。そのお金を様々な手法で引き出す能力が無ければ、反官僚を主張しながら、権力に近付くことは不可能である。小沢氏は誰よりもお金の管理には慎重であったはずだ。歴代の自民党のお金での失敗をまじかでかかわってきた人間である。その上手の手から水が漏れたこの機会に、あらゆる方法で小沢たたきが始まる。
最近では奥さんの私信なるものまで取りざたされている。どこかで深い恨みを買っているように見える。恨みを買わない政治家などいないだろうが、小沢排除はどこかやり口が不気味である。小沢氏が失脚しても政治的にがっかりはしないが。このつぶしかたは記憶しておく必要がある。司法から、官僚から、政治家から。3権力からの総攻撃である。その目的は十分に達成した。つぶれたものをさらに踏みつぶそうとする勢力に対して、国民がどう感じ、どう動くかである。小沢氏は上告が決まっている。今後は日本人というか、アジア的体質というような意味での、民主主義の成熟の課題である。確かに世論は流されるが、不思議なもので、正しく動く側面もある。民主党の中の離党の議員に対して、「小沢氏の捨て駒になるな。」管氏の発言である。こんな発言では、もう一度お遍路に行った方がいい。民主党が次の選挙で、崩壊するとしか私には見えない。
小選挙区制の失敗である。小選挙区制は日本人に合わなかった。若い政治家が政党の中の社員のようである。評判の良い企業や行政に就職したいというのが、日本人の将来の夢らしい。多分政治家も似たような気持ちが働いていて、有名政党に就職したいと考えているようだ。その上、小選挙区制である。大会社たる、自民党か、民主党に一番就職したい両方の入党試験を受けるのだろう。少し危ういが、ベンチャーの橋下党も大勢就職試験に参加している。今の小選挙区制では、政党の政策はサービス合戦になる。携帯電話の世界と変わらない。野田氏は、消費税問題に逃げた。肝心の事をどうにも動かす事が出来ないから、世論が引きつけられそうな、消費税に政治生命をかけて、誘導してしまった。ドジョウ的上手さだ。反消費税の民主党議員というレッテルで、敵対する者を自ら去らざる得ないかじ取りをしている。渡部黄門きどりは、早く止めろとまでの発言である。それが3党合意の狙いである。
では何故、中選挙区制に戻せないのか。それは政治家が社員的になったからだ。社員だから名前が出せない。本音が言えないというような気持で、生きている政治家の哀れさ。上役の顔色だけを伺っている政治家。警察官が、警察機構がおかしいと考えても、飲み込まれるか、辞める以外道はない。政治家もそうなったのだろう。だから、嫌われないどっちつかずの優等生が増えて来る。相手が嫌う意見を言わない。小田原を含む選挙区の衆議院候補のホームページを読んでゆくと、政党候補は自分の考えという個性が乏しい。誰かが反発するような考えは、打ちださない。当たり障りがない。例えば、政党として民主党も自民党も本音は原発推進である。しかし、そう言う事を正面切っては言わない。小選挙区制が政治家をつまらなくした。その結果小沢氏のような、自分の意見を譲らない人間は、邪魔になる。このままで日本の政治が良くなるとは思えない。まず、中選挙区制に戻す事だ。