維新の会の船中八策
維新の会の政策が出てきた。3ヶ月に1回世間を騒がさると橋下氏発言していたからこれなのかと思った。全文を読んだ訳ではないので分からないが、農業問題とエネルギー問題に触れていない。いかにも関西の感覚である。自分達を維新の志士にみたてるあたりは、タレント弁護士らしい感覚だとは思う。時代錯誤なグロテスクさが分からないことが少々哀れである。明治政府の見方がテレビドラマ的なのだろう。江戸幕府を変えると言うことは、歴史の必然だろうが、天皇制を採用したことや富国強兵策の方向性の間違いが、第二次世界大戦の敗戦に繋がったのである。今さら明治維新を想起する船中八策の言葉を持ち出す感覚の底には、国民の今置かれている、耐え難い不安感への理解が出来ていないのだろう。国民の多くは、国に何かをしてほしいではなく、これ以上迷惑をかけられたくないのだ。
テレビタレントとして現われた橋下氏への理由なき期待は、政治の失望感。しかし、ここで出てきた八つの政策を表面的に見ても、特別な解決策の提案は無いことが分かる。参議院の廃止を言えば世間が騒ぐ。震災を契機にした新しい国づくりの方角が、この八策には見当たらない。経済政策ではTPPを進めると言うことである。現政権とも自民党とも変わらない考えである。同盟国アメリカの要求には逆らいきれないという諦めと、日本のグローバル企業がこのままでは経営が成り立たないという、お前もかと言う感じ。経済が人間の力量に従うのは自然の成り行きである。今の日本の能力でTPPにはいれば、ずたずたになるだけである。グローバル企業にしてみれば、企業の存在の方が日本国よりも重要な理念である。能力の割に給与が高ければ日本人を雇用しなくなるだろう。企業が生き残った所で日本人が置いてきぼりになることは目に見えている。経済は人間作りから出直す以外ない。
経団連の会長は東電国有化するのは、政府の勘違いだと決めつけている。確かに今の政府の能力では、東電の始末は付かないであろう。しかし、何と何を勘違いと言うのだろうか。東電自身に何とかできる能力がないのも見る通りである。東電はそもそも民間企業ではなく、独占の半分政府に従うような企業であった。こんな企業形態のどこを経団連では評価しているのだろうか。競争原理が働く、本当の民間企業を目指すべきだ。いずれにしても、様々な分野で崩壊が続くだろう。どこにソフトランディングするかを考えるしかない。憲法改正を賛成多数で、簡単に出来るようにするなど、そら恐ろしいものがある。今の政治家たちのレベルで、あれこれいじれば、どう変えようが混乱を深めるに違いない。八ッ場ダムを見ればわかる。あんな調子で憲法をいじくれば、大きく方向を誤ることになる。
橋下氏は大阪市でまず、その力を見せて欲しい。足元の改革が出来るかどうかを見たい。改革するということは誰れもが公約するが、出来た人はまずいない。食糧自給の地域に戻る。これが地方の自立の基本だ。地方が権限を持つということは、市長ではなく、市民自身が権力を持つということである。権力の回復分散である。大阪市に政府が持つ権限を委譲し、橋下氏が大阪の権力者になるのは大阪市民の勝手であるが。その時には大阪市民の食糧に対しても責任が必要だろう。エネルギーについても同じことが言えるだろう。維新前のいわば幕藩体制のようなものだ。各藩がそれぞれにバランス良く成立していて、初めて国家と言う集合体が成り立つ形ではないのか。藩制度を復活する船中八策と言うのもおかしい。地方が自立するということは、地方そのものが一定完結する循環を持つ必要がある。一切の食糧を生産しないというような形では、安定した自立もないし、単なる自立した気分と言うに過ぎないのではないか。