九州電力の報告書

   

九州電力の報告書と郷原氏を委員長とする、第3者委員会の報告書が、もっとも大切な部分で食い違った。両者を比べて読んだ訳ではないので、正確なところは分からないが、社長の記者会見を見ていて、原発事故が起こる原因が見える気がした。1、第三者委員会の報告は100%に近く受け入れていること。2、メールやらせ問題に対する責任の取り方は、同様の事例よりは重い処分を行ったと考えている。3、第3者委員会はもう終わり、郷原氏はすでに委員長でないのだから、発言をしないように。この3点を述べていた。自己正当化の体質がぷんぷんする。この体質こそが、原発を絶対安全なものと神話化して行く姿に見えた。この報告書に求められているのは、何故九電が関係会社に対して、賛成のメールを出すように指示したのかの事実関係の報告である。第3者委員会では、佐賀県知事が賛成の意見を出すように発言したことが発端であるとしている。

ところが、九電の報告では、知事の発言を誤解を生むようにメモしたことが、問題の発端としている。知事は悪くないのであって、誤解しておかしなメモを残し、そのメモを他に流した社員に責任があるということらしい。この理解の違いは、180度捉え方が違うということである。100%に近く同じであるとは到底言い難い。にもかかわらず、ほぼ同じと発言出来る社長の感性が、世間からづれている。長年電力会社の中に居ると、こんな感じの人間が出来上がるという見本のようだ。何でも都合よく考えて済ませることが出来る。原発の安全性も、全くこうして塗り固めているのだ。独占企業を作り上げてしまった失敗である。もし、九電社員が知事の発言を誤解したとしたら、その社員の責任は重い。古川知事との面談メモを作成した佐賀支社長も1カ月の報酬カットにとどまり、更迭や異動はなかった。

この処分が同様の事例から言って、むしろ重い処分と考えるようでは世間を知らない。九電の主張を信ずるとすれば、この支社長は会社にとてつもない迷惑を与えた人間である。大切な知事との面談メモを、会社を危機におとしいれるように間違って理解したのだ。理解能力が著しく低い事は間違いない。そんな人間がいつまでも支社長のままでいいという会社は無いだろう。実は、知事の発言を正確にメモして、九電の趣旨に沿った対応をした、忠誠な社員であると理解しているとしか思えない。世間体があるから、1カ月報酬カットで我慢して下さい。こんな処分である。たぶん知事の発言を正確にメモしたのだから、罪は軽くなければならない。第3者委員会は終わったのだから、郷原氏に発言するなとは何事か。全く終わっていない。報告書はその原因を明確にするには、社内調査では信頼性が無いから、世間の要求に押されて作ったものであろう。その肝心な部分を忘れてしまった。

電力会社と言うものの、仕組みが悪い。独占し、利益が保証された企業。そうであれば、政府や行政と癒着が起こることを、第三者機関が監視さなければいけなかった企業である。政治献金を東電が行う。利用者にしてみれば、NHKが政治献金をしているのと大差ない。にもかかわらず、原発の推進と言う路線に乗って、批判を一切認めないで済む、仕組みになっている。結局は電気料金と言う形で、すべては利用者の負担だ。にもかかわらず社員は世間と比べて際立って優遇されている。公務員並みが普通だと、枝野氏は発言したが、公務員の待遇だって世間から見れば優遇されている。こんな仕組みを作り上げた末に、日本を滅ぼすような、原発事故を起こした。こうして、原発推進勢力の逆襲が起きている。7月に予算委員会で一度退任を発言した社長の続投は、世間の風向きが変わってきたと見ているのだ。九電の今回の姿を肝に銘じておく。

 - Peace Cafe