中国、化学肥料を輸出制限
中国が化学肥料の輸出を制限した。来るものが来た。化学肥料は「窒素、燐酸、カリウム」の3つが中心である。リンの生産量、埋蔵量とも中国はアメリカとならなんで、3分の1程度。中国自身が大量に必要になってきて、輸出できなくなって来たと考えていい。レアーメタルと似ているが、少し事情が違う。アメリカも数年前に輸出しなくなっている。当時から、中国も遠からず禁輸するとは言われていた。そうして年々化学肥料が高騰して、日本農業もいよいよ苦しくなって来ていた。高くてもある内は、まだ良かった。いよいよ中国に輸出余力が無くなったということになる。中国13億の人口を支えるには、食糧関連の産物は、輸出どころでなくなるのは当たり前のことだ。これは世界の食糧輸出の状況が変わる前兆である。レアーメタルならまだいい。食べるものが無いとなれば、これは深刻だ。多分戦争が起こるだろう。
農業生産量は、化学肥料と連動している。化学肥料の大量生産が出来たおかげで、農業生産量が増大してきた。世界の大半の土壌は肥料不足のような、作りにくい土壌である。気候も適地とは言いがたい土地に農業が広がっている。不適な地域で作るためには、化学肥料は不可欠なものである。一般の農業に遜色ない生産を上げる有機農業は、日本や一部の恵まれた国の農業である。人間が何しろ増えすぎた。本来人が住めないところまで住んでいる。もちろん化学肥料偏重の収奪的農業が、土壌環境をさらに悪化して、砂漠化してしまうとか、塩が蓄積してしまうということもある。いずれにしても長い将来は、有機農業で世界の人口が、今の半分くらいなら養えることになるだろうが。ともかく現状で化学肥料が無くなる、あるいは5倍の価格になれば、日本の慣行農業は壊滅的状況になるだろう。
有機農業の循環型農業の確立が急務となる。堆肥の利用を本気で模索しなければならない。化学肥料が高騰するということは、有機肥料が使える価格になってくることでもある。堆肥も割高では無くなる。生産性が低くても、自然農法のような方法も見直されることになる。しかし、このことは農産物価格が高くなるということである。果たして格差社会、貧困層の増大の中で、食糧価格の高騰で暮らしが成り立つかである。いよいよ自給の時代が来るということだ。今まで家庭菜園などやっていると、皮肉交じりに「良いご趣味ですね。」などと言われる空気があった。そう遠くない将来、もう少し真剣なこととして取り組む時代が来る。悪いことではない。暮らしが真剣になるということは、必要なことだ。今の時代、不安が増幅しているのは、バブルで浮かれた精神のまま、真剣な時代に突入せざる得ないという「不安」なのだ。仕事がないと言っても、農地は余っている。
下水汚泥や産業廃棄物にはリンが混ざっている。早急に回収する技術の確立が必要である。5年ほど前からリンの不足は分かっていたのだから、産業化できる生産コストにまだならないということだけなのだろう。分離の技術も確立されていたはずだ。リンが大量に掘り出され、海に垂れ流されていること自体が問題なのだ。汚泥利用で困るのは、危険な物質が濃縮されていることだ。そこには抗生物質から、重金属やら、生態系撹乱物質。農地に入れてはならないものが、下水汚泥には幾らでも混ざっている。よほど心して、分離をしなければならない。家庭から出る生ごみは当然全量たい肥にする。そうせざる得ない時代に入るということだ。それが価格的にも可能になる。ごみをいつまでも焼却処理するなどという、先の見通しのない社会は終わりを告げている。
昨日の自給作業:大豆の脱穀 1時間 機械整備3時間 累計時間:4時間