箱根駅伝東洋大優勝
正月の楽しみは箱根駅伝である。自分が走っているぐらい熱が入る。今年の駅伝は最長区間の山上り5区で柏原竜二(東洋大)選手に尽きる。金栗杯最優秀選手賞も2年連続受賞である。今までの伝統校の作ってきた、山上がり区間の走り方の常識を変えた。昨年の潰れるに違いないと思われた走りだった。最初から突っ込んで走り抜いてしまう常識破りの体力が桁外れである。柏原選手の時速18,2キロ。最短区間の4区の区間賞選手の時速が19.8キロ。あの急な上り坂を平地と変わらない速度で走っている。もうひつとがシード権争い。シード権獲の半分の5大学が予選会からの勝ちあがり校である。駒澤大学、東京農業大学、日本体育大学、城西大学、青山学院大学。予選会を走る不利の定説が覆されている10月17日に一度調整を持ってゆくことが、必ずしも不利とはいえない練習計画が出来てきたと思われる。
東洋大の連続優勝。昨年は川嶋監督の駅伝部員の不祥事による、引責辞任を伴い、何となく特別出場の形での優勝。今年は若い33歳の酒井監督による優勝。監督交代の影響を受けない強さが素晴しい。昨年、出場選手がゴール地点で整列して、コースに深ぶか頭をおとした。不祥事に対する謝罪のように誰しも思えたが、今年も同様の整列礼拝が見られた。このチームの伝統なのかもしれない。いずれ柏原選手は昨年は4分58秒差をひっくり返し、8人抜きの快走、往路優勝。今年は首位と4分26秒差をひっくり返した。箱根の山登り区間は実は2006年の第82回大会から4区が短縮され、5区を2・5キロ延ばした変更がある。理由は世界と戦える選手を作るという理由であった。そこで登場したのが、山の神様と呼ばれた、順天堂の今井選手である。その記録は当分破られるものではないと思われたが、意外にも柏原選手に破られた。二人が福島県出身の選手である所が面白い。あの円谷選手も福島出身である。福島には三浦弥平氏というオリンピック村を作ったマラソンの先駆者がいる。
花の2区と呼ばれ、エース区間とされてきたが、いまや5区がエース区間となった。東洋大はエースを山上り5区に当てている。「大学3冠か。」と呼び声の高かった日大は山登りに失敗し、シード校落ちになった。5区途中までトップできた明治大学もやはりブレーキとなり、シード権獲得ギリギリの10位と下がった。5区での順位が全ての明暗を分ける結果となっている。何しろ柏原選手は2位の選手とのタイム差4分以上。そのまま、東洋大学の優勝タイムの貯金である。何故こういう変則的な変更をしたのか。以前は往路も復路も中継所は小田原の街を出たスズヒロかまぼこの所であった。今度は街中のウイロウの向かいあたりである。何か駅伝競技とは関係のない力が働いたかのようにさえ見える。わざわざ山上りを長くする意味などあるわけがない。この間日本の男子長距離は世界からおかれてきている。失敗の変更である。早急に前に戻すべきだ。
今年のテレビ中継はデジタルで情報表示を見ながら見た。これは良かった。デジタルテレビの意味がはじめてわかった。今までは総合順位だけしか分からなかった。各選手の各測定地点での通過タイムを見ながらの観戦である。どの選手がどんな追い上げをしているか。区間記録はどうなっているか。区間新記録の可能性はあるか。逐一確認しながら見る事が出来る。コマーシャルの間すら、確認が出来る。気になった点は、読売新聞社の宣伝カーである。選手の露払いの格好で、読売新聞を連呼している。「開催は読売新聞。読売新聞を宜しく。」を繰り返しがなり立てる。駅伝を宣伝に利用の商魂が見え見えで不愉快である。開催経費は大変なのは分かるが、広告というのは控えめにしなければ逆効果である。私は大声で、調べてきた通過する選手の名前を叫ぶ。ユニホームの色で、すばやく見分けて大音量で叫ぶのだが、帝京だと思った赤が城西大学で間違えてしまった。帰りはすっかり喉をやられていた。