農業環境技術研究所

   

農業環境技術研究所は自然環境に調和した、農業技術を研究している。環境憲章を掲げている。「農業環境問題にかかわる研究活動を強力に推進するとともに、環境の保全・改善と持続可能な循環型社会の構築に寄与するため積極的に行動する。」研究の一つにとても興味を持った。「セルロース系バイオマスから固体発酵でバイオエタノール生産」―農業・醸造型発酵法で農村地域の資源循環を可能に―最近の研究として公表された。バイオ燃料は食糧生産としての農業に、質的転換をもたらすのではないかと思ってきたので、この研究には注目させられた。簡単に言えば、稲を丸ごとサイレージする。そしてエタノールを抽出して、残りかすが飼料化できるという研究である。研究の基本は伝統的な発酵技術の応用と言う事だ。先日伺った、小田急エコフードの乳酸発酵による食品廃棄物の飼料化などと同系列で、とても期待できる発酵技術である。

この方法は、酒や漬物などの日本古来の醸造技術と牛の自給型飼料 (サイレージ) の発酵貯蔵技術を応用するものです。セルロースやデンプンを分解する酵素や乳酸菌と酵母の自然な共生関係を利用した農業・醸造型バイオエタノール生産技術と言えます。セルロース系材料からエタノールを生産する際には、「原料の貯蔵方法」、「発酵阻害物質の発生抑制」、「蒸留コスト」、「廃液処理」 といった課題がありますが、収穫後低水分のまま貯蔵するのと同時に酵素や微生物の力で糖化・発酵させる 「固体発酵法」 を用いることにより、これらの課題を解決することができます。飼料イネホールクロップ (穂と茎葉を含んだ植物体全体) を用いた 「固体発酵法」 によって生産したエタノール量は、213 L/t となり、この原料を用いた生産目標値(317 L/t 程度)の約7割の実績を得ることができました。以上が研究概要にある。養鶏場には稲藁を撒く。稲ワラが養鶏場の床下にもぐると、サイレージ状態になる。これを掘り起こすと、鶏たちが寄ってきて、ついばんでいる。藁を直接は食べないが、漬物にすれば食べる。

この研究所がどんな所かは私には分からないが、研究内容と成果を見てみる。研究者は全て尊敬はしているのだが。素人の感想としては、研究内容が多岐にわたっている。もう少し絞る必要は無いのか。その研究一つ一つは、残念ながら浅い。そしてその研究方法は、科学的研究といえる、正確さに欠ける。例えば、遺伝子組み換え菜種のカナダでの野生化については、あっさり無いと結論している。この程度の調査では、途中経過観察がいい所の気がするが。水田での調査も多いが。研究の設定に、曖昧さが残る。例えば、残留カドミュームの研究。つくば市の水田(100m×54m、土壌総Cd濃度0.35mg kg-1)を調査対象としました。灌漑水および排水の量は、三角堰を設置して水位の変動をモニタリングし、水位―流量の回帰式により水量を求めました。灌漑水および排水の採水を水稲栽培期間中の降水の無い日を選び、1回/週の以上の頻度で合計24回行い、試料中の溶存態及び懸濁態Cd濃度を分析しました。降水中Cd量は2003.5-2005.11のつくば市の降水中Cd濃度を測定し計算しました。Cdの下方浸透量は、2002年の土壌溶液試料中(水田の周囲5地点で合計8回採水)のCd濃度と浸透水量から計算しました。肥料中のCd濃度は日本の水田で用いられるリン酸肥料の平均的な値である20mg kg-1P2O5を用いて計算しました。

農業環境ではデーターの採取方法が難しい。これが学問的測定法と思うしかないが、何となく充分とは思えない。70年代の日本の農薬が北極に残留していると言う研究も出ている。生育期間中の露地栽培トマトの全細菌数は約108個/g(生重)で、温室栽培トマトの全細菌数(最大で約106個/g)の約100倍でした。チェルノブイリ原発事故以来最大となる137Cs大気降下量が記録されました。この時に浮遊粒子状物質(SPM)濃度の上昇も観測されており、砂塵の飛来が降下量増大の原因であったと推定されます。この事例では、同時期に大陸の草原域において砂塵の発生が顕著でした。都市ごみの腐熟度テストの研究なども初期に行われている。下水汚泥の農業利用にまで及んでいながら、腐熟度テストをして見てももどうなのか。以上個人的メモ。

 - 環境関連