個展巡り

   

久し振りに画廊めぐりに出かけた。友人の何人かがこのタイミングで、個展をしている。私自身は個展を止めて10年もたつ。個展をやる意味がわからなくなった。最近はめったに見にも出かけないのだが、画廊めぐりに出かけると言うことは、以前より楽しみが大きい。鶏の世話を午前中に済ませて、慌てて出かけた。小田急のロマンスカーで、弁当を食べながら行く予定だ。飲み物やら本やら、あれこれ持って、一年ぶりくらいのロマンスカーだ。タイミングよく新車で、なかなかきれいな車両になった。読み物は自然農法センターの稲作の報告。要領よくまとめられていて、ここでの研究が年々深まっている事がわかる。資料ではEMの事はでてこない、研究報告では意識的に除かれているのか。その点読みやすい。画廊めぐりだった。最初は目黒のクラマーでの小笠原みどり展。水彩人の同人。北海道の札幌時計台画廊の個展が終わり意気洋々というところだろう。

クラマーは
目黒の権の助坂を下りきって右に曲がったところにある。抽象作家の作品発表が多い。小笠原さんは120号や80号の大作から、小さな0号までの多様な作品を出していた。やれるところを全部見せてしまう所が、どうか。大作に黒の展開があった。作品展のテーマのようなものが見えてこない。前回の千葉銀ギャラリーン個展に比べると、何を目的にした展示になるのか。上手そうな作品とかあるし、悪い個展ではないが、明確な意思の表明していない。とつい皮肉が言いたくなるような空気だった。勉強させてもらって余計なことだが。感じた事は口にする約束だ。帰りは上り坂で足が重いはずだが、意外に軽やかに、次のやはり水彩人同人の郡司宏さんの個展に向かった。目黒から、三越前まで、地下鉄で行けるのだから便利になった。
ギャラリー砂翁郡司さんも個展を連続している。いつもコンセプトが明確。これだけ頻繁に個展を繰り返しているのに、揺らぐ事がない。ロウを使う作家の管野美榮さんとコラボレーション。この人は質感が優れている。自然に対するマナザシがある。郡司さんの気持ちの深さが、一段と強調されていて、いい呼応をしていた。

この後は歩いて、阿部隆さんの新作展。SPC GALLERYこの場所は小笠原さんからの紹介で、水彩人で借りて運営をしたらどうか。と言う提案があったところだ。その2階の場所は流行の癒しマッサージ室になっていた。阿部さんとは渋谷にあった洋画人体研究所の頃からの知り合いだ。その頃から色彩に傑出したものがあり、それは30年少しも変わらない。セザンヌを思わせる、色面であったり、ジャスパージョーンズ的なハッチングであったり。空間に、色の面が位置する。このことの探り方がすごい。その空間意識が、少しずつ動いている。今回は空間を塗りこめると言う、新しい要素が加わり、誠実に制作を進めていることが見える。空間の中に衝立を置き、そこにさらに色面を置くと言う設定が出てきた。前もあるにはあったか。この辺次の展開が見たい。
さらに歩いて、ギャラーリくぼたの加藤貫さんの2008展独特の素朴派、この人の作品展は、不思議な絵だ。宗教画家なのかと思うような、深い精神性の濃厚に漂うものもあれば、突然、ただの下手な人なのかと思う場合もある。しかし、気になるところはいつもあるから、又見に行ってしまう。

さらに歩いて、K‘sギャラリーに行くが、外から見て中には入らなかった。この後ギャラリーゴトウの天野純治展に行く予定が、疲れてここで終了。残念。しるべ展をやっている東和ギャラリーに向かった。6時過ぎになっていた。もうここで、7時まで居る事にする。素晴しい絵もある。今日一日見たどの絵とも違う。不思議な絵が並んでいる。絵づらはごく普通の風景画なのだが、その気になって観察すると不思議な仕事が色々ある。こんなに個展を楽しませてもらって、自分はやらないと決めてしまったのもずるいと言う事か。

昨日の自給作業:畝タテ、草刈2時間 累計時間:14時間

 - 水彩画