稲苗つくり研究
昨夜は稲の箱苗とセル苗の作り方を話し合った。13人だった。箱苗は随分不思議な技術だ。日本人らしい工夫の蓄積で出来た方法に違いない。一つの薄い長方形の箱に120グラムぐらいの、種籾が蒔かれ、根をマット状に絡ませて、田植えの機械に使う。本数は一枚で、3000本ぐらいの稲ができる。この狭い所に、膨大な数の稲が生えてくるのだから、相当に工夫が要る。ひとつに化学肥料と農薬の登場が、この技術を支えている。有機農法に切り替えるとき、一番困難になるのが、この苗作りの部分だ。農の会では、千田さんと、そらやさんが、とてもいい苗を作っている。お二人とも謙虚な性格で自慢しないが、相当高いレベルの苗を安定的につくる。昨日はお話を聞かせてもらおうと言う事だった。箱に入れる土が相当に、難しい。今からやろうと言うのでは、そもそも遅い。心がけが悪い。
雑草の種があってはいけない。カビが生えてはいけない。土が再発酵してはいけない。均一に成長しなくてはならない。それで、苗ががっしりと大きくならなくてはならない。一般に、乳苗が1,5葉まで。稚苗が3.2葉この辺までは、土に肥料分がなくても、何とか育つ。その後黄ばんできて、生育が止まる。普通の田植えなら、この辺のサイズで植えているから問題はない。これを、何とか中苗の5.5葉、あるいは成苗の6.5葉辺りまで、作って、田植えしたいと考えるので、難しくなる。ここは代かきの技術のなさが影響している。さらに、今ある田植え機を使うことを想定すると、どうしても箱で簡単に出来るやり方を、工夫しなくてはならない。
今年試して見る事になったのが、箱の土には肥料分を入れない方法だ。箱に野菜苗に使うような土を入れると、カビやら再発酵の不安がある。そこで箱土は山土だけにする。そして、箱の底の穴から、下の地面に根を伸ばさせる。下の地面に肥料分を入れておく。それで3葉期以降の生育をさせる。いつもの苗床に置けば、充分水もやれる。どうも保温に有孔ポリ(穴の開いたビニール)をかけておくというのが、いいらしい。これも実験だ。これでスズメが入らないなら、いけるかもしれない。これは、中井の田んぼの人達が、昨年やって上手く行った方法だそうだ。4月初めから苗床に種を蒔くと、まだ寒さのリスクが高い。初期成育が滞る。それなら少し遅らせて、有孔ポリをかけて保温し、時間短縮が出来れば、4月中旬播種に出来るだろう。育苗期間も短くなれば、リスクも低くなる。
注意点を整理すると、
1、苗箱の底には苗床の土と繋がる穴を開ける。どの程度がいいかは、数種類の穴を開け比較検討する。底紙を敷いた方がいいか。
2、箱の土はあくまで、山土だけ。赤土でいい。振るいながら、箱に入れる。田んぼの土を使う方法は、雑草の種をどのように取るか。土を焼くのか。この辺が検討課題。
3、正確に種が撒けるようにする方法として、板を重ねた。スライド式の種蒔きガイド板を試作する。
4、べたがけにするか、トンネルにするか。パオパオにするか、有孔ポリにするか。
5、苗床のベットの土は例年どうりでいいとすれば、早く鶏土を撒き、耕運する必要がある。
6、山北田んぼと、舟原田んぼでは苗床を自分の田んぼに移す。金井島の苗床は片側にする。たぶん川側がいいように思う。この場合の水管理等は大丈夫か。
7、セル苗の苗箱の注文をまとめた方が良い。100枚単位になる。