衛生状態の改善
衛生的な状態とは、どんなイメージが出来るだろうか。雑菌の数が少ない状態。ないし無菌の環境。埃のない、小さなダニのような昆虫のいない状態。空気中の微粒子の少ない状態。こんなイメージかもしれない。最近家庭用空気清浄機でも極めて、高機能な物が出てきている。ちょっと前まで、不可能だった一般家庭においても、清浄室、病院等のクリーンルームのような状態が可能になってきている。こうした背景には、花粉症や化学物質過敏症がある。複合汚染が現実化してきているのだろう。我が家には6匹の猫が室内にいる。だから、見えた方に、くしゃみ鼻水がはじまることは良くある。それだけ、汚染物質が漂っている訳だろう。ところがこのザッキンに満ち溢れた状態こそ、衛生的な状態だと、私の身体には感じられるのだ。汚いところが衛生的に適応している身体。
汚いさに耐える能力。人間が生活して行く上には、実はこれが極めて重要になって来ている。近頃の若い者はとよく出る言葉だが、はっきり違うのは、この汚さに耐え切れない。これは感性としてだけでなく、肉体においてもだ。水洗トイレ以外は使えない。当然汲み取りの作業など、もっての外。土が汚いものの部類に入って来ている。自然である事が自体が、不衛生に感じてしまうようだ。これもある種の教育の成果だろうと思っている。この汚いという感じは、どこから来るかといえば、基本的には食べたら毒という、本能的判断力にあるのだと思う。鶏にとっては、汚いなぁーは、上手そうだなぁーだ。食べられそう、あぶなそうの判断力の背景に、美しいと、汚いがある気がする。暮しやすそうな感じが、美しいの基本だから、食べるが生きる根本である以上、つながっていて当然の事。
BCGがアレルギーを防ぐという研究がある。理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターというところの研究だ。BCGは牛の結核菌に感染すると言う事だ。身体に菌が入ると言う事だ。その結果幾つかの病気にかかりにくい場合、軽度ですむ場合。効果がない場合。などがある。いずれにしても、何かの菌に感染することが、アレルギーを起こしにくいこともある。と言う事が確認された。これは自然養鶏では当然の結果で、鶏のいる床を発酵状態にして、菌が満ちた状態にしておく。それで病気が防げるのだ。それは特別な菌という訳ではなく、辺りにいる菌だ。だから自然養鶏は町場では出来ない。どうも菌の状態が悪いというか、質が違うようだ。山にいる菌の方がいいようだ。ともかく、理研の研究は腑に落ちるものだった。
しかし、厚生省や日本の医学界は、こういう考えはまだ認めていない。強毒鳥インフルエンザに於いても、自然界に幾らでも存在するはずの、弱毒鳥インフルエンザタイプに自然感染することで、免疫力を生じることになる。その他の病気も同様で、あれこれ感染して、克服することが、免疫力を高める事になる。弱毒に感染しても、産卵率さえ下がらないこともある。病気になることで、病気を克服する。病気と共に生きる。これは、人でも鶏でも同じはずだ。衛生的であると言う事のイメージを、クリーンルームの清潔より、森の中のような菌に満ちた状態に変えたほうがいい。このままでは、人がウインドレス鶏舎の家から出られなくなるだろう。回虫がアレルギーには効果がある。と言う話もある。これも同じことで、衛生観念の変更を迫っているのだと思う。